4マス大よそ軟調、ネットは相変わらず堅調(電通・博報堂売上:2015年1月分)

2015/02/11 15:00

博報堂DYホールディングスは2015年2月10日、同社グループ主要3社(博報堂、大広、読売広告社)の2015年1月分の売上高速報を公開した。一方、電通は同年2月6日付で、同じく同社1月分の単体売上高を公開している。これにより日本国内の二大広告代理店における2015年1月次の売上データが揃って確認できる形となった。今回は両社の主要種目別売上高の前年同月比、そして各種指標を過去のデータなどを基に独自に算出し、その動向などから各種広告売上動向、さらには広告業界全体の動きを確認していく。

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博報堂で一部プラスがあるが4マスは大よそ軟調


データ取得元の詳細な情報、各項目における算出上の留意事項、さらに今件カテゴリーの過去記事は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】に収録・記載済み。今件記事に合わせ、そちらも確認してほしい。

まずは両社の主要項目ごとの前年同月比。

↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2015年1月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2015年1月分種目別売上高前年同月比

4大従来型と呼ばれる主力メディア、具体的にはテレビ・ラジオ・新聞・雑誌は、博報堂の新聞とラジオがプラス以外はすべてマイナス。電通は4部門すべてマイナス値を示している。前年同月においてはラジオ以外すべて堅調だったこともあり、その反動によるところも大きい。もっと、今回月で4マスでは最大の下げ幅を示している電通の新聞(マイナス9.6%)は、前年同月ではプラス5.6%であったことから、単に反動でマイナスとなっただけでは説明できない(2年前同月比を試算するとマイナス4.3%となる)。前月は衆議院総選挙で特需的な動きもあったことから、その反動もいくぶんは見られるのだろう。

かろうじてプラスを示した2部門のうち最大の上げ幅を持つ博報堂のラジオ(プラス6.8%)だが、前年同月ではマイナス1.9%。2年前同月比ではプラス4.8%となり、反動だけでなく実力として大きな上昇幅を示したことになる。

4マスが凹み気味な一方で、インターネットは引き続き堅調。電通・博報堂共に1割を超える伸び率を計上している。前年同月でも両社とも2割超えのプラス値を示しており、額面はともかく成長ぶりはホンモノに違いない。

4マス以外の従来型広告ではOOH(アウトドア)メディアの減少が大きく目立つ形。グラフには「一部は反動」とあるが、電通はともかく博報堂は反動だけでは説明できない下げ方である。

なおあくまでも試算だが、電通において2年前比を試算すると次の通りとなる。

↑ 参考:電通2015年1月度単体売上(前々年同月比)
↑ 参考:電通2015年1月度単体売上(前々年同月比)

インタラクティブメディア(インターネット)の成長が本気であるのが分かる。2年で4割強の成長は普通の広告ではよほどの小規模か新興市場でないと滅多にありえない話。また4マスでは意外にも雑誌やテレビがそこそこ堅調に伸びている。4マス以外の従来型広告の手堅さも合わせ、広告市場そのものには追い風が吹いてきた感はある。

今回月となる各年1月における電通の売上総額の推移を確認


次のグラフは電通の今世紀(2001年以降)における、今回月となる1月を基準にした毎年1月分の売上高総額をグラフにしたもの。同月における比較となるので、特殊事情(例えば総選挙があった前回分の12月分)が無い限り、季節による変動を気にせず中期的な動向を推し量れる。あくまでも電通だけの話だが、大いに参考になる。

↑ 電通月次売上総額推移(各年1月、億円)(-2015年)
↑ 電通月次売上総額推移(各年1月、億円)(-2015年)

大よそではあるが景況感を反映した値動きを示している。ITバブルの崩壊と不況、景気の回復、金融危機の勃発、リーマンショックによる景気悪化の加速、そしてそこからの立ち直り、震災や極度の円高に伴う低迷感、そして回復へ。直近となる2015年1月では前年同月比でいくぶん失速をしており、景気の後退が懸念視されるところではある。

なお今件記事では日本の大手広告代理店として、売上高、取扱領域の幅広さ、対象地域の広さなど多数の面でツートップとなる電通と博報堂2社の動向を精査している。しかも両社は同じ規模では無く、売上・取扱広告の取扱範囲には小さからぬ違いがある。ところが今件記事上記グラフでは総額では無くあくまでもそれぞれの部門における前年同月比を示し、両社の分を併記しているところから、その値がそのまま両社の売上と誤解する向きがある。例えば今回月ではインターネットの伸び率が両社でほぼ同じことから、売上額でもほぼ同じではないかとするものだ。もちろんそれは間違いでしかない。

そこで次に両社部門の具体的な売上高を併記したグラフを生成し、その実情を確認する。それぞれの部門の具体的な市場規模や、両社間における違いが、成長度合いでは無く現状の売上の観点で把握できる。

↑ 電通・博報堂DYHDの2015年1月における部門別売上高(億円)
↑ 電通・博報堂DYHDの2015年1月における部門別売上高(億円)

インターネットは毎月目覚ましい成長率を示しているものの、売上金額=市場規模としてはまだまだ他のメディアと比較すると中堅どころでしかないこと(とはいえ4マスと比べるとテレビ、新聞についで大きいのだが)、4マス以外の従来型広告市場が一定額の規模を示していること、テレビの広告市場が巨大であることなどが一目でわかる。

なおインターネット部門の広告売上だが、他部門との比較でも少々低めに見えるかもしれない。特に広告売上で今件と同じタイミングで毎月分析記事を掲載している経産省の「特定サービス産業動態統計調査」の結果と比べると、新聞との立ち位置をはじめいくぶんの違和感を覚えさせる。

これは電通と博報堂以外の中小広告代理店、さらには代理店を通さない直の広告の売上では、電通や博報堂よりもインターネット広告の売上比率が高い状況によるものである。中にはインターネット広告のみを取り扱う代理店もあるだろう。

一方電通と博報堂間では、全項目で電通の方が単月売り上げは上。部門によって得手不得手があるため、マーケティング・プロモーションのようにほとんど変わらない部門もあれば、クリエーティブのように2倍近い差を示す部門もある(「その他」は多種多様な項目の総括的なものなので、単純比較は難しい)。



前回月となる2014年12月は年末に加え総選挙の実施もあったことから大きく盛り上がったものの、その分今回月の2015年1月は失速気味の形となった。毎年12月と比べその翌月の1月は売上が減る動きはあるものの、選挙分の勢いがそのまま反動となり、結果として前年同月比でもマイナスを示してしまった感は否めない。従来型広告が多くの部門でマイナス値を示しているのも、その裏付けとなる。

他方、広告動向は多分に景況感の影響を受ける。景気が悪ければ多くの宣伝の公知対象となるイベントや商品、サービスそのものも不活性化し、広告費に充当される予算も減らされるため、費用対効果を明確に算出可能で効果の高い媒体にリソースが集中される。「景気が悪いからこそ広告を集中投下してセールスを底上げしよう」との方向性も戦略の一つに違いないが、その考えを実働できるだけの予算がすべての企業にあるとは思えない。

昨今の景気ウォッチャー調査の動向を見るに、景況感はお世辞にも良いとはいえない。今回月のようにインターネット広告が抜きんでて伸びを示しているのも、一因としては景気の足踏み状態があるのだろう。

無論経産省の「特定サービス産業動態統計調査」でも言及しているが、インターネット経由による通信販売が急激な伸びを示し、これに伴い連動する形での広告需要が高まっているのも要因として挙げられるに違いない。



■関連記事:
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ)(上)…4マス+ネット動向編】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ)(下)…ネット以外動向概況編】

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