現状・先行き共にDIは先月を上回り先行きは水準値に届く…2015年1月景気ウォッチャー調査は現状上昇・先行き上昇

2015/02/10 11:00

内閣府は2015年2月9日付で2015年1月時点となる景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によれば現状判断DIは先月比で上昇して45.6となったが、水準値の50.0を下回る状態は続いている。先行き判断DIは先月から続き2か月連続して上昇し50.0となり、水準値の50に届く形となった。結果として、現状上昇・先行き上昇の傾向となったが、軟調な雰囲気はなお継続している。基調判断は前月から一部変更され「景気は、このところ回復に弱さがみられる。先行きについては、物価上昇への懸念等がみられるものの、燃料価格低下への期待や賃上げへの期待等がみられる」との文言が使われ、物価上昇が景況感の足を引っ張っているものの、燃料価格の下落や賃上げへの期待を反映する形となった(【平成27年1月調査(平成27年2月9日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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現状指数は高安まちまち、先行き指数は全項目で上昇


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧や用語解説ページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

2015年1月分の調査結果はまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前月比プラス0.4ポイントの45.6。
 →「やや良くなっている」「変わらない」が増え、「やや悪くなっている」「悪くなっている」が減少。
 →家計は小売りと住宅関係の上昇があるも、飲食関連が大きく下がり下落。企業は非製造が上昇、製造業が下落。雇用は求人増加が大きく上昇。

・先行き判断DIは先月比で3.3ポイントプラスの50.0。
 →物価懸念は続くが、燃料価格の下落と、賃上げへの期待があり、全部門で上昇。

2014年4月の消費税率引き上げの際に発生した、同年3月までの駆け込み需要の反動、そして税率上昇に伴う消費マインドの直接的・表面上の低下は同年5月頃から鎮静化の動きを示し、同年7月までにはほぼ収束している。そのおかげで同年7月においては現状DIは上昇したものの、同年8月では天候不順が大きく足を引っ張る形となり、低下。同年9月以降はその余韻を残しつつ、エネルギー価格をはじめとした輸入原材料の高騰から生じる物価上昇への懸念と消費マインドの深層部分における低迷が足かせとなり、停滞・下落を続けている。昨今では原油価格の大幅な下落に伴い、ガソリンや灯油価格も下落が生じており、それが景況感を底支えする形となっている。

先行きDIにおいては先月同様に電気料金の高騰に対する懸念が強いものの、昨今の原油価格下落に伴う燃料費の負担が減少する事への期待が大きい。冒頭コメントでも「燃料価格低下への期待」と明記されており、ガソリン価格の下落がマインドに大きなプラスとなったことがうかがえる。

↑ 景気の現状判断DI(全体)推移
↑ 景気の現状判断DI(全体)推移

↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移
↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移

現状判断DIは雇用のみ下落


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向について、その状況を確認していく。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2015年1月)
↑ 景気の現状判断DI(-2015年1月)

今回月は消費税率改定後10か月目の月。小売店側から見た駆け込み需要の反動に関する文言はすでに消えている。直接の駆け込み特需の反動は、その文言が消えたタイミングの半年経過でほぼ消失したと考えられる。一方で深層部分で影響を及ぼし続けているマイナスの景況感を回復させるに必要となる材料が見当たらず、低迷感は継続。さらにエネルギーコストをはじめとする物価上昇を起因とする消費心理の減退が上乗せされ、景況感は押し下げられているのが現状。

また今件調査の回答者は一般消費者自身の立場ではないため言及もそれほど多くないが、消費税率の再引上げの延期を好感する意見は多いものの、その延期の話が持ち上がったことで改めて消費税そのものが思い返され、消費性向を押しとどめる感も否めない。

今回月は上記にある通り前月から続く形で、原油価格の下落に伴いガソリンや灯油価格が値を下げており、これが心境的にはプラスに働いている。特に自動車を多用する分野の人には、日々のように目に見える形で負担が減るのだから、マインドに大きく貢献したことは間違いない。水準値(50)以上の項目は唯一雇用関連のみで、また前月からの変動も上昇・下落の動きが部門によりまちまち。低迷感からの離脱との判断にはほど遠く、むしろ踊り場状態との認識の方が正確なようだ。

景気の先行き判断DIは前月から続き全項目で前月比プラスとなった。

↑ 景気の先行き判断DI(-2015年1月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2015年1月)

最大の上げ幅を示したのは雇用関連でプラス5.9、次いでサービス関連でプラス5.8。前回大きく上昇した住宅関連はわずか0.1のみと最小の上げ幅に留まっており、景況感回復にはまだ遠い状況にあるのが分かる。もっとも今回月の上昇により、水準値(50)を雇用関連・企業動向関連はすべて、家計動向関連でもサービス関連が超えており、明るい見通しが見えてきた雰囲気は強い。特に景気の先行指標ともいえる雇用関連が大きく上昇したのは頼もしい動きといえる。

ガソリン代の言及はプラス面で登場、物価上昇の影響もじわり


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたって用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国での統括的な内容、そして各地域ごとに細分化した上で公開している。その中から、世間一般で一番身近な項目となる「家計(現状・全国)」そして「家計(先行き・全国)」の事例を抽出し、その内容についてチェックを入れてみる。

■現状
・ガソリンや灯油の価格が下がったことで、客の気持ちにゆとりが生まれており、出費がほかの物にも回るようになった雰囲気がある(美容室)。
・例年1-3月は増販期であり販売台数は増加しているが、それを差し引いても10月頃と比べると多少景気が良くなっている。4月からの軽自動車税の増税も影響している(乗用車販売店)。
・ガソリン価格は低下しているものの、急激な円安により、衣料、食品類の価格が上がり、消費マインドは依然低迷している(乗用車販売店)。
・3か月前と比べて、各種商品、特にラーメン、粉類商品が値上がりしており、客の節約志向が強くなり買上点数が減少している(スーパー)。
・国内旅行の申込は順調だが、海外旅行は円安や海外で続発するテロの影響でヨーロッパを中心に申込が激減している(旅行代理店)。

■先行き
・消費税増税が延期され、昨年に続いて賃金のベースアップも広範に実施されそうである。実質所得の増加による消費へのプラスが期待できるため、花見が行われるころには明るいムードが広がってくる(スーパー)。
・国内では主要なエネルギー源である原油の価格が下落しているため、余暇の消費は増えると思われる。また、インバウンド関連では円安傾向が続いているため、3月末から4月にかけての桜のシーズンも、昨年よりも順調に予約を伸ばしている(都市型ホテル)。
・3月より輸入商品を中心に商品原価の上昇が見込まれ、売価を上げることになっていく。消費者の売価に対する目がより厳しくなることが予想され、利益の確保は難しくなる(スーパー)。
・県内の消費動向、入域観光客数の安定度合からみても、県経済は安定して推移するものと判断する(コンビニ)。
・地方の消費者は収入が増加していない。ガソリン価格は下がってきたが、食品等の値上げが消費者の負担になる(商店街)。

今回引用している範囲は「家計」の全国における代表意見のみだが、昨今の景気情勢が非常によく表れる形となっている。ガソリンや灯油価格の下落による景況感の改善、4月からの軽自動車税の増税に伴う駆け込み需要の発生、円安などを要因とした物価高への懸念、年度替わりに伴う賃金引き上げへの期待、さらには中東情勢に伴う海外旅行の需要減退などなど、まさに現状、そして先行き感が手に取るように分かる。

今件では引用していないが、現状・先行き共に大きな上昇を示している雇用関連では、正社員求人数の増加をはじめ、ポジティブな言及が相次いでいる。雇用は消費の源となる収入の確保には欠かせない存在であり、また雇用する側の立場で考えれば「雇用の増強が必要なほど事業の上向き感が期待できる」ことから、言葉通り「景気の良い話」とみることができる。

数か月前まではネガティブな意味合いで使われていたガソリンや燃料などのキーワードも、今回月では押し並べてポジティブな文面で使用されている。「ガソリン価格の安値も行動範囲を拡充する要因」「加工食品の値上げなど悪い要因もあるが、ガソリンの大幅値下がりで閉塞感は相殺されている」「ーガソリンについては、地域内で120 円台の看板も出始めた。個人顧客は、定量購入から満タン購入にシフトしているようだ」などのコメントが確認できる。一方でそれと相対する形で物価上昇が語られることも多く、景況感の引上げまでには至っていない場合も多い。他方「電気料金」については高値が続いているものの、言及数は減少している。

燃料価格は国内でコントロールしにくい要因であることから、昨今の下落は「燃料価格に限れば」僥倖に違いない。一方電気料金は一部に海外からの輸入資源価格の上昇があるが、多分に震災以降の発電様式のアンバランスな状態を起因としており、大部分の原因は国内問題によるもの。早急な対応が求められる。

乗用車の特需的動き、飲食の大きなマイナス…詳細精査


2014年4月分の公開値を基に、消費税率動向について細かい部門別に別途記事として精査をした【景気ウォッチャーの指標動向から消費税率改定後の景気行き先を推し量ってみる】の手法を用い、簡略的にではあるがしばらく継続的に現状・先行きDIの詳細動向を確認している。今回もその例にならい、2015年1月分とその前月の2014年12月分との差異、つまり一か月分の変化を詳しく見ていくことにする。まずは現状DIについて。

↑ 2014年12月から2015年1月における現状DIの変動値
↑ 2014年12月から2015年1月における現状DIの変動値

上記でも触れたが、今回月に限れば現状DIは部門による浮き沈みが激しい。大きく上昇しているのは軽自動車の増税周りで生じた特需で大きく盛り上がっている乗用車・自動車備品販売店と衣料品専門店、そして住宅関連。大きな下落が生じているのは飲食関連とその他小売店、家電量販店。飲食関連の下げ方は一見すると先の大手ファストフードにおける異物混入周りが影響しているようにも思えるが、コメントを見る限りではむしろ原材料コストの問題で頭を抱えている感が強い。合計ではかろうじてプラスとなったが、実情としてはもみあい状態にあるのが改めて確認できる。

↑ 2014年12月から2015年1月における先行きDIの変動値
↑ 2014年12月から2015年1月における先行きDIの変動値

↑ 2015年1月における先行きDI
↑ 2015年1月における先行きDI

現状DIと比べると先行きDIでははっきりとした動きが見受けられる。前月比は赤文字が無い、つまり全部門でプラスの動き。飲食関連が相変わらず足踏み状態、住宅関連がほぼ横ばいなのは気になるが、サービス系を中心に多数の分野で大きな期待感が確認できる。先行きの場合ガソリン価格の低下に加え、賃上げに伴う需要喚起がプラス要因として加わるのが大きいのだろう。特に雇用関連の値がプラス5.9、結果として57.1となり、先行きDIの各部門中最大値を示しているのは非常に頼もしい。



現状DIの上昇感や各種コメントを見る限り、少なくとも現在の景気低迷感はようやく底についた、あるいは底を打ち反転に転じた雰囲気を覚えさせる。しかしその勢いはまだ弱い。単なる底打ちに加え、何か加速をつけるような材料が欲しいところだが、現状では原油価格の下落によるガソリン代・灯油代の引き下げ位しか見当たらない。先行きで、それに加えて賃上げへの期待がある程度。消費税率引き上げの延期はさらなる消費減退傾向を押しとどめてくれたものの、引き上げ要因にはつながらず、しばらく後に再び低迷が起きるリスクを多分に伴うものとなる。

原油価格はチャート的には2月頭で底を打ち、上昇の気配が見受けられる。価格下落の原因は複数存在しているため、先行きを見通すのは困難ではあるが、今後このまま上昇が続くと、再び国内のガソリン価格も上がるため、景況感には確実にマイナスとなる。

他方円安に伴う、さらには資源価格そのものの上昇により、食材を中心に春先からの値上げが相次ぎ予定されていることから、消費マインドの冷え込みへの懸念も大きい。その上、ガソリン代はともかく電気代は高値をつけたままなのも、不安材料として見逃せない。この電気料金周りは震災後の悪癖を引き継いだ現況が大きく影響しており、理性と知性をもってすれば必ず解決しえる問題に違いない。あるいはこれを果たすことで、経済面でも大きな転換点となる可能性は高い。

食品などの値上げは春から。電力の消費がかさむ夏に向けて電力周りで準備を行うためには、この数か月内における動きが望まれる。今夏までの半年で、景気動向は大きな変化を迎えることになるかもしれない。


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