吉野家牛丼値上げで客が減少・客単価は増加…牛丼御三家売上:2015年1月分

2015/02/06 08:00

牛丼チェーン店「吉野家」などを運営する吉野家ホールディングスは2015年2月5日付で、吉野家における2015年1月の売上高や客単価などの営業成績を公開した。その内容によれば既存店ベースでの売上高は、前年同月比でマイナス3.0%となった。これは先月から転じて、6か月ぶりのマイナスとなる。牛丼御三家と呼ばれる日本国内の主要牛丼チェーン店3社のうち吉野屋以外の企業においては、松屋フーズが運営する牛めし・カレー・定食店「松屋」の同年1月における売上前年同月比はプラス2.6%、ゼンショーが展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はプラス1.3%との値が発表された。今回月は吉野家のみが売上をマイナスに落とし、残りの2社はプラスを計上する形となった(【吉野家月次発表ページ】)。

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前年同月比、そして前々年同月比試算で各社現状を精査


牛丼御三家の「前年」同月比における、公開値による客数・客単価・売上高の動向は次のグラフの通りとなる。

↑ 牛丼御三家2015年1月営業成績(既存店)(前年同月比)
↑ 牛丼御三家2015年1月営業成績(既存店)(前年同月比)

このグラフで概況をまとめた上で、まず最初に吉野家の状況の確認を行うことにする。昨年同月(2014年1月分)の記事、データを基に営業成績を比較すると、一年前の客単価前年同月比はマイナス2.0%。同社では主力商品の牛丼を2013年4月に値下げしたことで生じた下落の影響が2014年1月の時点でもまだわずかではあるが続いていた(客単価の前年同月比マイナスは、2013年4月の値下げ以降1年間、つまり2014年3月まで継続している)。昨年牛丼業界に大きな嵐を巻き起こした「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」は2013年12月の登場で、その影響もあり随分と底上げはされたものの、プラスにまでは至っていない。一方客数はその「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」の影響が大きく生じておりプラス16.6%の値を示していた。

従って今回月は「牛丼値下げによる客数増加・客単価減少、そして鍋特需が生じたことで発生した客数の大幅増加が生じた前年同月」との比較となる。さらに今回月は【吉野家の牛丼、300円から380円へ値上げ・12月17日15時から】でも伝えている通り、2014年12月17日から主力商品の牛丼価格を始め各種商品価格の引き上げを断行した後の、一か月丸ごと値上げが反映された初めての月であり、これが大きな影響要素として働いている。

結果として客数は前年同月が鍋特需で大きく伸びたことの反動に加え、牛丼などの価格引上げに伴い大幅に減少、客単価は値上げ効果などを受けて大きく上昇する形となった。売上は差し引きでいくぶんのマイナスに収まっている。「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」による集客効果動向を精査したいところだが、他商品の価格値上げに伴う影響が大きすぎ、判断が難しいのが実情。

なお以前の鍋関連や牛丼の値下げ・値上げなどに伴う影響を最小化するため前々年同月比を試算すると、客数はマイナス、客単価は大きくプラス、売上高はプラスとの結果が出ている。現時点ではメニューの価格引き上げは、売上の観点ではプラスに働いていると判断ができる。

↑ 牛丼御三家2015年1月営業成績(既存店)(前々年同月比)
↑ 牛丼御三家2015年1月営業成績(既存店)(前々年同月比)

続いて松屋。最近はますます定食メニューが充実し、「松屋は定食のためにある」との言及に真実味を帯びる新商品展開が見られる昨今だが、今回月では【松屋からブラウンシチューハンバーグ定食登場】で紹介した「ブラウンシチューハンバーグ定食」をはじめ、キムチ牛めしの再販(昨年末)、さらにはワンコイン(500円玉一枚)で食することができる「ワンコイン豚定フェア」を開催するなど、さらに定食熱を帯びつつある。

これら定食の好調さが大きく影響する形で、客単価はプラス6.9%(1年前となる2014年1月における前年同月ではプラス0.8%を示しており、前年同月の反動ではなく、純粋な底上げ)と大きく伸び、客足の減退マイナス4.1%を補い、売上をプラスに引き上げている。2年前同月比ではやはり客数の引きは厳しいが、客単価のサポートにより売上もプラスを維持出来ている。

2014年は何かと騒がしさを覚えたすき家だが、2015年の頭となる今回月では、「牛すき鍋定食」に加え【すき家がさらなる鍋攻勢・「豚肉豆腐チゲ鍋定食」1月15日から発売】にある通り「豚肉豆腐チゲ鍋定食」を投入し、鍋シリーズ2本立ての陣営で冬季攻勢をかける形となった。オペレーションを改善した効果からか、今年は人員に絡んだ問題はほとんど見聞きしない(昨年同時期比)。実業績を見ると、客単価は大きく底上げ、客数は減退、結果として売り上げはわずかにプラス。2年前同月比ではさらにその傾向が顕著化しており、プラスには違いないが売上は3社中もっとも低い伸びに留まっている。

ちなみにすき家では今なお少なからぬ店舗でリニューアル工事などを進めており、同社の公式サイトで確認すると、しばしば「リニューアルオープンのお知らせ」の文言が目に留まる。そして一時休業している店舗は今値(前年同月比・既存店)には計算上含まれていない。仮に全店舗で計算すると前年同月比の売上はマイナス4.0%となる。すき家そのものの全体的な売上としては、減退を継続している。こちらもプラスに転じないと、リニューアルの意義は見出しがたい。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2015年1月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2015年1月)

↑ すき家業績推移(売上高、全店)(前年同月比)(2007年4月-2015年1月)
↑ すき家業績推移(売上高、全店)(前年同月比)(2007年4月-2015年1月)

吉野家の切り札は吉と出るか凶と出るか


2013年末は「鍋膳」、2014年末は「主力メニューの大幅値上げ」というサプライズで2年連続して年末に業界をかきまわした吉野家だが、値上げに関しては前年同月比で当然のことながら大きな客数減・客単価増を引き起こす形になった。もっとも客数は「鍋膳」の反動も大きく影響しており、それを除外できる2年前比で見ると、マイナス4.2%に留まっているのは想定の範囲内というところか。このマイナス分が継続するのなら危機感を覚える必要があるが、しばらくすればある程度は戻ってくることは予想できる。最終的に値上げがどの程度の客数減を引き起こし、売上にはどれ程の影響となるのか、ここ数か月は注意深く見守りたい。

↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2015年1月)
↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2015年1月)

とはいえ、やはりこの下げっぷりは目立つ。2014年の動向を見限り、3月までは鍋膳効果で大きなプラス値にあったことから、その反動はあと2か月は続く。それまでは吉野家に関する客の入り具合に関して、色々な話がちまたを流れることだろう。

他方松屋やすき家だが、現時点では牛めし・牛丼価格の改定などの発表は無い。コストを鑑みるに、もし改定を行うならば区切りの良い年度変わりに合わせる形で、何らかの動きがあるものと思われる。ここ数か月は牛丼業界関連に向けたアンテナの精度をさらに高める必要がありそうだ。


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