年収別・カップめんやインスタントラーメン、ハンバーガーへの支出額の違いをグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2014年)

2014/03/26 14:00

日常の食生活でごく普通に食卓に並ぶインスタント系(シンプル&リーズナブルな食事群)、あるいはファストフード系(ファミレスなど比較的安価な外食)の食品は、同時に金銭的に厳しい時に多く食されるイメージが強い。例えば誰もが一度や二度ならず「金銭的に厳しいのでカップめんばかりだよ」「これから給料日まで毎日ハンバーガーだよ」という表現を見聞きしたことがあるはずだ。それでは実際に、収入とそれら食品との購入性向との間には、何らかの関係が見受けられるのだろうか。今回は総務省統計局が2014年2月18日にデータ更新(2013年・年次分反映)を行った【家計調査(家計収支編)調査結果】を基に、その関係について検証をしていくことにする。

スポンサードリンク


今回対象とする食品項目は、冒頭にもある通りインスタント系の代表食品ともいえる「カップめん」「即席めん」、そして最近何かと話題の外食として「ハンバーガー」、さらには「ハンバーガー」以外の他の外食を意味する「他の主食的外食」、加えて食事そのものの動向を把握するため「食費(食料)」。これらの項目が具体的にどのような食品を示しているかは、【収支項目分類及びその内容例示(平成22年1月改定)】(現時点で最新版)で次のように解説されている。

↑ 「カップめん」「即席めん」「ハンバーガー」「他の主食的外食」「食費(食料)」の具体的内容

また家計調査では世帯の年収について「-251万円」「251万-367万円」「367万-505万円」「505万-735万円」「735万円以上」の5段階区分がなされている。この区分額は毎年変化しているが、これは「五分位データ」というもの。「所得の低い世帯から順に並べ、その上で全世帯を数的に5等分にした結果」による区分となっている。

さてこの年収区分毎に、まずは食費と消費支出から「エンゲル係数」を求めておく。エンゲル係数とは世帯の豊かさを示す一つの指標。具体的には、

↑ エンゲル係数の算出方法

で算出される。元々エンゲル係数はドイツの社会統計学者エルンスト・エンゲル(Ernst Engel)が提唱したもので、「家計の消費支出に占める飲食費割合が高いほど生活水準は低い」とされている。よほどの富裕層(そしてそれらはごく少数)でない限り、食費の額においては他の出費ほど大きな違いは出ず、一方で食費そのものはどの家庭でも必ず発生する。よって、全体の支出に占める食料費の比率は、消費支出そのものが大きくなるほど低くなる・食費以外の項目に割り当てられる額が大きくなるとする考え方。

現在では商品価格の水準や生活様式が同じもの同士でないと比較にならない、農村部の住民は自前で主食や野菜を自給出来る(割合が高い)ので必然的にエンゲル係数が低くなる、さらには食事同様必然的に発生しうる住居費も合わせて考えるべきだとの意見もあり(ただしこの場合家持ちと賃貸住宅居住者の取り扱いが面倒になる)、昔ほど重要視はされなくなった。それでも「それなりの」参考値としてはいまだに有益に違いない。

↑ 年収階層別・エンゲル係数(2013年、総世帯)
↑ 年収階層別・エンゲル係数(2013年、総世帯)

エンゲル係数の視点では、最高年収区分は最低年収区分と比較して、1割8分ほど豊かとの計算になる。あくまでも参考値でしかないが、年収の増加と共に(一部イレギュラーはあるものの)エンゲル係数が減少しているのを見ると、あながち「無意味」というものでもないようだ。

さて、本題の「シンプル&リーズナブルな食事群」と「ファミレスなど比較的安価な外食」の利用額に関して、年収区分別の支出額をまとめたのが次のグラフ。年収区分別の違いを知りたいため、各項目で「最低年収区分世帯の支出額を1.00」とした場合の相対値を算出、グラフに盛り込んだ。

↑ 年収階層別・食品支出額比較(2013年、総世帯)(-251万円層の値を1.00とした場合)
↑ 年収階層別・食品支出額比較(2013年、総世帯)(-251万円層の値を1.00とした場合)

年収の増加と共にエンゲル係数が漸減しても、「食費」の出費額そのものは増加している。エンゲル係数の動きはあくまでも年収の増加と共に「食料費の消費支出に対する比率」が減っているに過ぎない。そしてベースとなる「食費」の増加と比べると、「カップめん」「即席めん」の増え方は緩やか。例えば第三区分では「食費」が1.69倍に増えているのに対し、「カップめん」は1.43倍、「即席めん」は1.49倍に留まっている。

これら食品群は元々単価が安く、さらに高級品との価格差もそれほど大きくは無いため、食費全体の増加分と比べて上昇幅が抑えられている。また「年収の増加と共に購入頻度が減っている」可能性も十分に考えられる(が、年収別の項目別購入頻度は公開されていないため、確認は出来ない)。

「他の主食的外食」は中堅層以降になると、「食費」以上の伸び率を示す。外食機会が増える、利用時のメニューが高額なものとなる、入る店のランクが上がるなど、色々と理由は容易に考えられる。実情を想像すれば多分に「利用頻度の増加」が主要因と見てよいだろう(最上位年収では最下位年収の3倍強の金額の支出が行われている)。

興味深いのは「ハンバーガー」。一見すると「所得が低い層の味方」なイメージが強い。しかし「食費」の比率をはるかに超えて増加している。特に中堅層以降の伸びが著しい。シンプルなセットのみか、あるいはセットにプラスαのメニューを追加するか。もちろん利用頻度そのものの違いもあろう。いくらワンコインのメニューが用意されていたとしても、それしか注文しない客は多くは無い。



余談になるが各年収毎に、「カップめん」「即席めん」「ハンバーガー」の「食費に対する」支出額の比率を算出すると次のグラフの通りとなる。「他の主食的外食」は該当する外食の内容が雑多すぎるので省略する。

↑ 年収階層別・食品支出額比較(2013年、総世帯)(各年収層の食費に対する比率)
↑ 年収階層別・食品支出額比較(2013年、総世帯)(各年収層の食費に対する比率)

一概に「低年収層ほどカップめんや即席めん、ハンバーガーへの支出金額が多いわけではない」のは本文で示した通りだが、食費全体に占める比率でも同様のことがいえる。「カップめん」は「-251万円」層が一番比率が高く、次に「505-735万円」層が来ているし、「ハンバーガー」に至っては「505-735万円」層・「735万円以上」層の順に高い。利用頻度も合わせ、年収が低いとハンバーガーですら手が届きにくく、「カップめん」のお世話になる。あくまでも「”ファスト”フード」であり「”ロープライス”フード」ではないことを再認識させられる次第ではある。


■関連記事:
【地震後に「インスタント」「水」「米やパン」をまとめ買い・「電池」は買いだめ出来ず】
【ハンバーガーショップのフライドポテト、味の最高評価はどの店が?】
【ハンバーガー店、月一以上利用は約半数、男性10代は3人に2人】
【ハンバーガーショップ「知ってる」「行った事がある」双方ともトップはマクドナルド】
【味と価格、利用者による主要ハンバーガー店の満足度は?】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー