正社員? それとも嘱託、アルバイト!? 再雇用制度で再就職した高齢者はどのような就業状態で働いているのだろうか

2015/03/02 15:05

年金制度の改正や高齢化社会の現状、労働市場の実情を踏まえ、2013年4月1日から改正「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)が施行された。これは年金支給開始年齢となる65歳までは、労働意欲とその実態となる能力に応じ、働き続けることかできるように環境を整備するための制度である。簡単にまとめると「定年を迎えても希望した人は全員何らかの形で65歳まで就労し続けられる仕組みを企業内に作る」「就労先としては元いた企業だけでなく子会社やグループ会社も該当する」ことが求められる。また雇用のスタイルは定年の延長の他に嘱託社員などのような非正規社員としての再雇用でも構わない(再雇用の場合は正規雇用を終えた時点で退職金が受け取れることになる)。この制度の活用に伴い、60歳以上の非正規社員としての再雇用が進んでいることが労働力調査などの各種調査で明らかにされているが、その実態を厚生労働省が毎年実施している「中高年者縦断調査」からも確認していく(【発表リリース:第9回中高年縦断調査(中高年の生活に関する継続調査)】)。

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今調査は2005年10月末時点で50歳代の男女を対象とし、毎年11月に定点観測的に「同一人物に対して」調査票の郵送方式によって行われているもの。経年調査などでよく見られる「毎年同じ条件で別の人に聞く」タイプではないことに注意。直近となる2015年2月12日に発表された第9回分は2013年11月に実施された調査結果。第9回における有効回答数は2万3722人。そのうち全9回調査結果分が確認可能な2万1556人分を集計に用いている。

直近の第9回調査時点、あるいはその1年前の第8回時点で自営業関係以外で就労中であり、その仕事に就くにあたり、冒頭で触れた「高年齢者雇用安定法」で促進された再雇用制度を用いた60歳から67歳以上の人は30.4%。つまり第8回時点で「自営業以外で働いていた」人のうち、第9回時点で就労しており、その就労状態が再雇用制度による再雇用の状態にある60歳から67歳以上の人は約3割となる(67歳を超える人がいないのは今調査対象母集団の第9回時点の年齢上限が67歳のため。自営業者を含めないのは、自営業では自身が就労の成り行きを判断するので再雇用制度は無関係となるから)。短期間での度重なる転職は想定しにくいことから、「元々自営業者以外で働いていた人で、現在60歳代の人のうち3割ぐらいは再雇用制度で雇われている」と見れば問題は無い。

↑ 第9回調査まで再雇用制度利用有の者の第9回時点での仕事の形(60-67歳対象、第8回時点で自営業者以外の就労者対象)
↑ 第9回調査まで再雇用制度利用有の者の第9回時点での仕事の形(60-67歳対象、第8回時点で自営業者以外の就労者対象)

今調査の現状進行時点では調査対象母集団は67歳が上限であることから、それ以上の年齢で雇用されている人の状況を把握出来ない。しかし定年退職などで職を辞した人が再雇用制度を利用した場合、企業や本人などの意志により、どのような形で雇用されているのかが分かる結果となっている。

企業側の姿勢によるところも大きいが(例えばサントリーや大和ハウス工業では定年を60歳から65歳に引き上げている。一方でオリックスでは65歳定年制の導入と共に、60歳で定年退職の上65歳まで1年単位で再雇用する制度も残し、該当者が選択できる余地を設けている)、多くは契約社員や嘱託、パートやアルバイトといった非正規の立場で再就職をしていることになる。今件調査に限れば再雇用制度適用者のほぼ2/3が非正規、2割が正規、残りはその他のスタイルというところか。

労働力調査の結果を元にした、現状の年齢属性別就労状態を精査した記事【人口動向も含めた正規・非正規就業者数などの詳細をグラフ化してみる】などで、高齢層の非正規就業者が大幅に増加している状況を確認した。その少なからずが高年齢者雇用安定法に基づく再雇用制度によって、元々働いていた企業やその関連企業に継続就労していることが、今件結果から改めて確認できる。

ちなみに再雇用制度を適用して就労している人における就労理由は上位から「現在の生活費のため」「現在の生活費を補うため」「生活水準を上げるため」「自分のお小遣いのため」「借金の返済のため」となっている。トップの「現在の生活費のため」は回答適用者の8割近くが同意を示しており、再雇用制度が本人らの生活に直結している実情が理解できよう。


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