テレビへは金融・保険や外食が大幅増…4マス別個の業種別広告費推移(2014年発表)

2014/02/24 11:00

先日掲載した記事【前年比プラスの1.4%・総額5兆9762億円…過去20余年の媒体別広告費動向(2014年)(最新)】の通り、電通は2014年2月20日付で日本の広告費に関する調査報告書を発表した。これには日本の広告市場動向が把握できる数多くのデータが盛り込まれている。今回はそのデータを用い、いわゆる従来型4マス(テレビ、雑誌、新聞、ラジオ)に対する、各クライアント業種別の広告費について、前年比を調べることにする。各業種がそれぞれの媒体に与えている影響力、ウエイトの変化などが把握できよう(【発表リリース:「2013年 日本の広告費」は5兆9,762億円、前年比101.4%― 総広告費は2年連続で増加、成長軌道へ(PDF)】)。

スポンサードリンク


2013年における媒体別広告費前年比は次の通り。インターネットや一般広告の一部がやや堅調、4マスではテレビがかろうじてプラスを維持している。

↑ 2013年媒体別広告費前年比(再録)
↑ 2013年媒体別広告費前年比(再録)

今調査報告書では広告出稿元(クライアント)を21業種に区分し、4マスそれぞれに対する出稿広告費、各メディアが受領している出稿額全体に対する構成比、そして前年比の一覧が掲載されている。まずは「新聞」についてその動きに関するグラフを生成する。

↑ 4大既存メディアにおける業種別広告費(2013年、前年比)(新聞)
↑ 4大既存メディアにおける業種別広告費(2013年、前年比)(新聞)

「自動車・関連費」「精密機器・事務用品」「化粧品・トイレタリー」は大きなプラスを示しているが、一方で「飲料・し好品」「家電・AV機器」など多数項目でマイナス。全体ではマイナス1.2%と前年から額を減らす形に。新聞は「官公庁・団体」が強いはずなのだが、それですら大きな減少幅なのが気になる。

続いて「雑誌」。

↑ 4大既存メディアにおける業種別広告費(2013年、前年比)(雑誌)
↑ 4大既存メディアにおける業種別広告費(2013年、前年比)(雑誌)

「情報・通信」の下げ方が目立つ。今分野には「コンピュータ・関連品、コンピュータソフト、携帯電話機、携帯情報端末、電話サービス、通信サービス・インターネット、WEBコンテンツ、モバイルコンテンツ、放送など」といったデジタル系・ネット系のアイテムが多い。前年2012年も同ジャンルは15.0%の下げ方を示しており、雑誌とデジタル・ネット系商品の相性があまり良くないことをうかがわせる。

大きな上昇を示したのは「家庭用品」「交通・レジャー」位。下げ方そのものは「新聞」と大きな違いはないように見えるが、「化粧品・トイレタリー」は額面が大きな上でのこの下落率で、全体に及ぼす影響が大きく、結果として「新聞」以上の下げ幅を記録している。

次は「ラジオ」。

↑ 4大既存メディアにおける業種別広告費(2013年、前年比)(ラジオ)
↑ 4大既存メディアにおける業種別広告費(2013年、前年比)(ラジオ)

「案内・その他」の82.6%をはじめ、大きく上昇している業種が目立つ。「食品」「情報・通信」といった下げ方のキツい業種もあるが、パッと見では全体的にプラスに成りそうな期待はある。しかし実際にはわずかながらマイナス。

最後は「テレビ」

↑ 4大既存メディアにおける業種別広告費(2013年、前年比)(テレビ)
↑ 4大既存メディアにおける業種別広告費(2013年、前年比)(テレビ)

やはり「案内・その他」の大きな上昇が目立つ。他にも「金融・保険」「外食・各種サービス」の上昇率が目に留まる。「案内・その他」は金額そのものが小さいため上昇率が大きくても全体に及ぼす影響は小さいが、「金融・保険」「外食・各種サービス」は金額も大きい。これらの業種がけん引する形で、テレビは4マスでは唯一プラスを見せることとなった。

なお震災後のACによる大量出稿、その反動での大幅減(前年比)と、テレビはこの2年ほど「官公庁・団体」「案内・その他」で大きな動きを見せたが、2013年分は常識の範囲に留まっている(とはいえ「案内・その他」は依然大きな額だが)。

下げた分野では「エネルギー・素材・機械」「精密機器・事務用品」「出版」「流通・小売業」が目立つ。不振さから脱しきれていない業種が多く、コスト高となるテレビへの出稿の動向が、半ば各業態の景況動向を示す形となっているのは興味深い。



文中でも触れているが今回のグラフは、「各媒体を対象とした」「個々の業種別の」「広告費の前年比」。下げ率は同じでも業種が出稿している額面が異なれば、媒体に与える金額面での影響度合いは異なる。元々の額面が1ケタ違えば、前年比では同じでも、減った額・増えた額は1ケタ異なる。当然、広告出稿を引き受ける媒体側に与える影響も違ってくる。

そこで参考値として、「前年比の比率」に「2013年における各媒体の金額上の構成比」を乗じ、年間変移における影響度を算出したのが次のグラフ。値が大きいほど、その業種の広告費に対して大きな影響を与えたことになる。例えば前年比が30%のプラスでも、その業種が出稿する広告の総額が対象メディアにおいて0.1(%)しかなければ、影響度合いは0.3×0.1で0.03しかない。逆に伸び率が3%しかなくとも、総額比率が10.0(%)あれば、0.03×10=0.30となり、10倍もの影響度合いを持つことになる。

↑ 業種別・2012年-2013年の広告費変移が与えた影響度(前年比×2013年の構成比)
↑ 業種別・2012年-2013年の広告費変移が与えた影響度(前年比×2013年の構成比)

新聞では「化粧品・トイレタリー」「自動車・関連品」が比較的大きなプラスの影響度を持つものの、マイナスの業種が多く、全体を支え切れていない。雑誌は「化粧品・トイレタリー」「情報・通信」などマイナス圏のものが多く、「交通・レジャー」の奮戦もむなしく全体ではマイナス。ラジオはマイナス圏のものが多いがプラス圏のも結構見受けられ、全体の下げ幅を最小限に留めている。

テレビはというと、「金融・保険」「外食・各種サービス」の上げ幅が著しい。これが健闘し、「化粧品・トイレタリー」などの下げ幅を振り切り、全体としてプラスを見せた形に。また、テレビやラジオで大きな上昇率を示した「案内・その他」だが、金額まで考慮すると各メディアに与えた影響は微細であることが分かる(それでもラジオには一程度の恩恵がもたらされたようだが)。

ともあれ、各媒体における各種業種への報道姿勢と、今件影響度双方の変化度合いを比較すると、色々と面白い連動性が見えてくる、かもしれない。


■関連記事:
【ネット上の情報、新聞や雑誌と同じように信用できる?】
【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度をグラフ化してみる】
【世界的な広告や公式情報への信頼度をグラフ化してみる】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー