年齢別の平均賃金の移り変わりをグラフ化してみる(2014年)

2014/03/06 08:00

以前と比べると随分と慣習としては薄れてきたが、それでもなお根強く残っているのが「年功序列制」。端的に説明するとエスカレーター式の出世・昇給制度で、歳を経れば誰もが昇進し、給与も増えていくというものだ。今でもその仕組みが半ば以上残っていることに違いは無い。またそのような制度が明確化されてなくても同じ職場で経歴・経験を積めば有能な人材となり、その実力にあった評価がされれば次第に昇格・給与の上乗せは望めることになる。それでは現在の日本においてはどの程度、年齢と賃金との間に関係があるのだろうか。厚生労働省が2014年2月20日付で発表した、賃金関連の情報を調査集積した結果「賃金構造基本統計調査」の最新版となる【平成25年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】をもとに、年齢と賃金との関係を確認していくことにする。

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男女で異なる年功序列制的な動きの実態


今回検証する賃金とは、「賃金(所定内給与額)」を指す。これは先行記事【フルタイムの平均賃金は29万5700円・前年比でマイナス0.7%(2014年)(最新)】で解説の通り、ざっくりと説明すると「基本給に家族手当などを足したもの」。通常はほぼ固定して受け取れる額を意味する。また今件はフルタイム労働者を意味する「一般労働者」を対象としたもので、フルタイムなら契約社員や派遣社員も該当する。ただしパートやアルバイトは「一般労働者」では無く「短時間労働者」なので、検証対象外となる。

↑ 雇用形態関連の分類。今件記事では「一般労働者」をチェックする。パートやアルバイトなどは除外
↑ 雇用形態関連の分類。今件記事では「一般労働者」をチェックする。パートやアルバイトなどは除外


まずは2013年における男女別・性別の平均賃金。

↑ 2013年の年齢階層別平均賃金(千円、月)
↑ 2013年の年齢階層別平均賃金(千円、月)

男性が50代前半まで年功序列制的に経年上昇、以降は下落傾向の動きをしているのに対し、女性は40代でほほ頭打ちの形をしている。そして女性は年齢階層別の差異はさほどなく、結果として若年・高齢層では男女の差が小さい傾向となる。

続いて同じ区分で前年比を計算したもの。

↑ 2013年の年齢階層別平均賃金(前年比)
↑ 2013年の年齢階層別平均賃金(前年比)

先行する諸記事にある通り、2013年は前年と比べて賃金(所定内給与額)の点では厳しい状態にある。特に中堅層にその実情が表れている。男性は40代後半、女性は40代前半が一番大きな下げ率を示しており、男性ではその前後の世代でも大きな下げ率が表れていることからも、その実態は明らか。

また男女とも若年層の下げ幅はごくわずかに抑えられ、高齢層は逆にプラスの値を示している。高齢層の堅調さは2012年からのものだが、その動きだけでは全体を支えるまでには至らず、男女とも全体としての賃金は前年比でマイナスを計上することになってしまった。

一部世代の経年変化を検証


続いて過去のデータを絡めた、平均賃金の経年推移を年齢階層別に確認していく。男女のデータは存在するが、すべてを載せるとあまりにも雑多なものとなるので、男性に焦点をしぼることにする。まずは一番気になる人が多いに違いない、20代前半について。こちらは金額、さらには前年比の双方をグラフ化しておく。

↑ 年齢階層別平均賃金(20代前半男性、千円、月)
↑ 年齢階層別平均賃金(20代前半男性、千円、月)

↑ 年齢階層別平均賃金(20代前半男性、前年比)
↑ 年齢階層別平均賃金(20代前半男性、前年比)

絶対金額ではこの20年近くの間ほとんど変化が無く、100円玉のやり取り程度に留まっている。また、この時期においては消費者物価指数に大きな動きは無く、今値は実質賃金と変わりは無い。また、2007年から2008年においては景気動向(サブプライムローンショックにはじまる「金融危機」は2007年夏から)に反して上昇しているが、手取りが低い非正規労働者(契約社員、派遣社員など)の失職が想定できる。全体に占める「手取りの低い非正規労働者」の比率が下がれば、その母体での平均賃金は上昇するからだ。なお上記で解説の通り、パートやアルバイトなどの「短時間労働者」は今件「一般労働者」=「フルタイム労働者」には該当しないことにも留意しておく必要がある。

続いて30代前半-50代前半の前年比推移を続けて。




↑ 年齢階層別平均賃金(30代-50代前半男性、前年比)
↑ 年齢階層別平均賃金(30代-50代前半男性、前年比)

どの世代でも2009年の下げ幅は大きく、前年秋に発生した「リーマンショック」がいかに多大な影響を及ぼしていたかを一目て確認できる。50代の下げ幅は今世紀初頭の不景気に匹敵する値に留まっているが、30代・40代はそれをも超えており、非常に厳しい状況。とりわけ40代は前年の2008年にも大きく下げており、畳み掛ける様な賃金引下げなのが見て取れる。

直近2013年はといえば、上記で解説の通り、中堅層が大きな下げ幅を示していることもあり、皆一様に下げている。特に50代前半ではリーマンショックの値に近づかんとばかりの急降下で、不安を覚えるものがある。

最後に、これらを一つにまとめたグラフを。

↑ 年齢階層別平均賃金(20・30・40・50代前半男性、前年比)
↑ 年齢階層別平均賃金(20・30・40・50代前半男性、前年比)

中期では30代前半が一番下側にいることに違いないが、金融危機ぼっ発以降(2008年以降)ではむしろ40代の下げ率が大きい。20代-30代、50代と比べ、1ランク下の動きのように見える。この年代の男性非正規社員が増えたのか、あるいは元々賃金が高く、しかも下げやすい層として経営陣側に目をつけられた可能性はある。

これらのグラフから分かるのは、今回対象とした1997年以降では多少の起伏があるものの、賃金に大きな上昇・下落の変移は無い(毎年2%から3%内に収まっている)こと、そして年齢階層別に賃金の上下に「むら」が生じていること。すべての年齢階層で一斉に上昇・下落するパターンはほとんど無く、必ず互いに補完し合っているように見える。例えば2005年は40代・50代がプラス、30代前半がマイナス、20代前半が大きくマイナスといった形である。今回はグラフが雑多になるため各年齢階層の後半(20代後半など)は略したが、仮に入れたとしても同じような傾向が確認できている。

ただし2009年から2010年は例外。補完云々などは無く、全世代で大きく下落している。2009年の急落ぶりと翌年の反動(ただし前年比プラスの動きを示したのは20代前半と50代前半のみ)がいかにレアケースであったか、つまり「リーマンショック」の影響力の大きさが改めて理解できるというものだ。

今回年2013年は多くの属性で賃金(所定内給与額)の下げが確認されるという、少々残念な値が出ている。2014年分においては、この下げ分を消化しきってなお余りあるような、上昇ぶりを見せてほしいものである。


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