20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(上)…4マス+ネット動向編(特定サービス産業動態統計調査)(2014年)

2014/02/21 14:00

経済産業省は2014年2月18日、特定サービス産業動態統計調査の収録データにおいて、年次ベースの時系列表の更新を行った。同データは広告費の主要項目について月次ベースのものを逐次【経産省広告売上推移(経済産業省・特定サービス産業動態統計調査)】として分析しているが、今回は年単位における中長期的な動きを確認していくことにする。

スポンサードリンク


「特定サービス産業動態統計調査」の時系列データは1988年以降のものが収録されている。そこで1998年から今回新規登録された2013年分のものまでについて精査を行う。

なお2005年までは「プロモーションメディア広告など」の項目に「インターネット広告」が含まれていること(2006年から分離された)、電通が同時期に発表している「日本の広告費に関する調査報告」資料における「衛星メディア関連広告」が区分されておらず、「プロモーションメディア広告など」に含まれてしまっていることなど、他資料とは幾分各項目区分に違いがある。そのことに留意した上で、各値を確認してほしい。

まずは積上げ推移。従来型4大メディア(いわゆる「4マス」)を黒枠で囲い、区分として見やすくしている。また、月次精査記事で取り上げている4マスとインターネット広告について、その推移を折れ線グラフ化したのも追加しておく。

↑ 媒体別広告費(積上げ推移、1988-2013年)(経済産業省データより)(億円)
↑ 媒体別広告費(積上げ推移、1988-2013年)(経済産業省データより)(億円)

↑ 媒体別広告費(積上げ推移、1988-2013年)(4マス+インターネット)(経済産業省データより)(億円)
↑ 媒体別広告費(積上げ推移、1988-2013年)(4マス+インターネット)(経済産業省データより)(億円)

広告費は景気と高い連動性・正の比例的関係がある。景気が良い時は広告費も大きくなり、景気が後退すると広告費も減退する。とりわけ直近ではリーマンショックの影響を大きく反映し、2009年が前年から格段と落ち込み、2010年以降は順調に持ち直し動きを見せている。

また、それとは別に各メディアの事情、例えばテレビ広告費は2000年前後がピークで、それ以降は減少の一途をたどり、さらにリーマンショックで大きな影響を受けたこと、それ以降は少しずつ額面を戻してはいるが、金融危機以前の水準までにはまだ届いていないこと、4大既存メディアとインターネット広告以外の広告部門(緑の部分)は、やはりリーマンショックの影響による急激な落ち込みを除けば、比較的堅調に推移していたことなどが分かる。

さらに折れ線グラフで明確化しているが、月次ベースでは2013年でほぼ確定した「新聞とインターネットの逆転現象」(【新聞とネットの順位交代…今年一年の従来4マスとインターネットの広告売上動向を振り返ってみる(2013年)】)が、年次ベースではすでに2012年の時点で起きていることが確認できる。

機会を改めて触れることにするが、例えば新聞や雑誌の広告費はこの10年で約半減。ラジオもほぼ同じ程度の減少。「広告費」と「利用率・媒体力」はそのまま直結するわけではないものの(景気動向やライバル媒体とのパワーバランスも影響する)、激動する時代の変化を感じさせる。

次に構成比推移。要は「その年の広告費全体(一般広告含む)のうち、各項目はどれほどのシェアを占めていたのか」を意味するグラフ。

↑ 媒体別広告費(構成比推移、1988-2013年)(経済産業省データより)
↑ 媒体別広告費(構成比推移、1988-2013年)(経済産業省データより)

上記にある通り、公開データで「インターネット広告」が独立項目として反映されるようになったのは2006年から。その時期から「4マス」と「インターネット」の合計シェアはほぼ同じ比率を示し、「インターネット」が他の4マスを浸食しているようすがはっきりと分かる。記録の限りでは、「インターネット」が項目として登場して以来、毎年シェアは増加し続けている(2011年から2012年はグラフの表記上7.4%と横ばいを示しているが、実数としてはそれぞれ7.372…%、7.421…%である)。

また2010年時点ではシェア増加の動きすらみられた「テレビ」も2011年以降はシェアを落とし続けている。額面は微増しているが、広告費全体の伸びには追い付かない状態。一方「インターネット」以外では2011年以降、「プロモーションメディア広告など」(要は「4マスとネット」以外の屋外広告全般)が大きな伸びを示す形となった。これは多分に「特定サービス産業動態統計調査」、そして電通と博報堂の広告費動向で言及しているように、東日本大地震・震災の影響、例えば強制的節電に伴い、電力消費での配慮があまり要らない従来型広告への再注目の影響によるところが大きいと考えられる。



2011年3月の震災の影響は少なからず広告業界・広告費にも影響を与えており、一部はいまだにその爪痕を残しているが、全体的な「震災前からの流れ」は継続中。むしろ震災によってその流れが加速化した感がある。今件は広告費の推移であり、部数・視聴者数の推移や媒体力、その業界の売上とはまた別のものだが、それぞれの媒体の「パワー」を示す一つの指針との認識で間違いない。

上記グラフで黒枠を用いて囲った各メディアは今世紀に入ってから、特にこの数年、胸を張って第三者に誇れるようなものでは無い、色々と大人げない、過去の実績・権威を汚すような動きをしている。とりわけ震災以後、頭に疑問符を浮かべてしまう質、内容、姿勢の動向を感じる人も少なくあるまい。そのような動きの原因の一つとして、今件データが示す実情を受けての「焦り」があるとする解釈は、決して的外れなものでは無かろう。


■関連記事:
【民放連曰く「諸君らが愛してくれたテレビの広告費は減った。何故だ!?」】
【1年間で78万部減、1世帯当たり部数は0.86部まで減少…新聞の発行部数動向(2014年)(最新)】
【「世間一般に対するテレビの媒体力はここ数年で……」の投票結果をグラフ化してみる(最終発表)】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー