なぜ非正規社員として働くのか? その理由を尋ねてみた(2014年)

2014/03/02 10:00

労働市場、雇用形態の構造上の問題として昨今特に注目されているのが、非正規社員問題。主婦のパートやアルバイトをはじめ、雇用される側にとっても必要不可欠なワークスタイルではあるのだが、その一方で雇用する側が正規雇用枠を減らし非正規雇用枠を拡大することにより「正社員の席」が減り、雇用される側の生活の安定性が欠ける事態に陥るとの指摘も少なくない。そこで今回は、非正規社員として職に就いている人における、その職に就いた理由、さらには転職などを希望しているか否か関して、総務省統計局が2014年2月18日に発表した、2013年分の労働力調査(詳細集計)の速報結果を基に、その実情を確認していくことにする(【労働力調査(詳細集計)年平均(速報)結果発表ページ】)。

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「仕方なく非正規」男性3割・女性1割強


労働力調査によると2013年における非正規社員は1906万人。これは前年比で93万人の増加となる。雇用者全体に占める比率は25.4%と、こちらは1.3%ポイントの上昇。

↑ 雇用形態別にみた雇用者の割合推移(役員を除く雇用者に占める割合)(再録)
↑ 雇用形態別にみた雇用者の割合推移(役員を除く雇用者に占める割合)(再録)

これら非正規雇用の人達に、なぜ現職についているのか、その主な理由を聞いた結果が次の図。男女それぞれの回答者に占める比率と、回答実数をそれぞれグラフ化する。

↑ 現職の雇用形態についた主な理由(非正規職員・従業員)(2013年)(理由明確者限定)
↑ 現職の雇用形態についた主な理由(非正規職員・従業員)(2013年)(理由明確者限定)

↑ 現職の雇用形態についた主な理由(非正規職員・従業員)(2013年)(万人)
↑ 現職の雇用形態についた主な理由(非正規職員・従業員)(2013年)(万人)

比率で見ると男性では「正社員としての仕事が無い」がもっとも多い。非正規雇用問題で良く問題視される「正規雇用の椅子が減らされ、その分非正規雇用の椅子が増やされるので、そちらの椅子に座らざるを得なくなる」との指摘は、男性においては3割強が同意を示すことになる。そして「自分の都合の良い時間に働きたい」「家計の補助・学費などを得たい」「専門的な技術などを活かせる」とするポジティブな意見が続く。

一方女性は「家計の補助・学費などを得たい」がもっとも多く、ほぼ同率で「自分の都合の良い時間に働きたい」が並ぶ。いずれも兼業主婦のパート・アルバイトでよくありがちな理由。男性で最上位についた、ネガティブな理由「正社員としての仕事が無い」は1割強でしかない。

これを人数別に見ると合計では、女性と男性とでは女性の方が非正規社員が多いこともあり、「自分の都合の良い時間に働きたい」が最上位に、次いで「家計の補助・学費などを得たい」が続き、「正社員としての仕事が無い」は3番目の理由に落ち着く。ちなみに「正社員としての仕事が無い」は合計で341万人となるが、これは非正規社員全体(1906万人)の17.9%に留まることになる。

転職したい? 非正規社員に聞いてみました


どのような職についている人でも、その職を離れたい、転職したいと考えている人はいる。ましてやネガティブな理由で現職に居る人は、できることなら転職し、他の環境で働きたいと願う気持ちが多分にあると考えられる。そこで非正規社員の立場の人に対し、現職についた主な理由別に「転職などをしてみたい?」と聞いた結果が次のグラフ。なお全体では1906万人のうち転職希望者は451万人(23.7%)、約1/4という結果となっている。

↑ 現職の雇用形態についた主な理由別・転職などの希望者率(非正規職員・従業員)(2013年)
↑ 現職の雇用形態についた主な理由別・転職などの希望者率(非正規職員・従業員)(2013年)

主に自分の都合で非正規社員になった人でも「転職したい」と考えている人は1割から2割ほど居る。しかしながらネガティブな、正社員を望んだものの半ば願わずしての結果として非正規社員の座についている人は、約半数が転職を望んでいる。恐らくは他の理由で現職に就いている人よりも、転職への想いも強いことだろう(事実、転職希望者のうち実際に求職をしている人の割合は、他のどの理由項目よりも「正社員としての仕事が無い」の人が高い)。


今件項目は非正規社員問題に注目が集まっている状況を受け、2013年分から新設された項目で、経年変化による状況の変化を推し量ることはできない。少なくとも現状においては、「非正規社員の男性3割、女性1割強は『正社員になりたかったがなれず、仕方なく』非正規社員として働いている」「正社員に成りたかったけどかなわず、非正規社員の立場にある人の半数は転職を望んでいる」という現状は、認識しておくべきだろう。

一方で「正規の職員・従業員の仕事が無い」とする理由については、単に「正社員としての受け皿が少ない」と判断するのは早急。完全失業者などの失業理由でも、多分に雇用する側とのミスマッチが指摘されている以上、非正規社員の「正社員の仕事が無い」とする意見においても、類似の傾向があるものと考えた方が道理は通る。

本当に「正社員としての受け皿縮小が、正社員を望んでいた非正規社員の増加につながっている」のか否か、そして事実ならばどれ程までに影響を及ぼしているのか、今後複数の視点から検証する必要があろう。


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