28.5%は「希望する種類・内容の仕事がない」…完全失業者の「仕事につけない理由」とは?(2014年)

2014/03/01 10:00

仕事をしたくて探しているが見つからずに無職状態にある「完全失業者」の人において、どのような仕事を探しているかに関して論議の的となることがある。頭に浮かべている理想の職種での就業を目指しているのか、仕事にありつければ何でも良いのか、職種は選ばないが高賃金が望ましいのか、などなど。高望みをしているから職に就けないのだと非難する声がある一方、中長期に渡り生活を支え時間を費やす仕事であるからこそ、自分の望みは極力充足させるべきであるとの声も多い。そこで今回は完全失業者における、仕事に就けない理由に関して、総務省統計局が2014年2月18日に発表した、2013年分となる労働力調査(詳細集計)の速報結果を基に、探りを入れていくことにする(【労働力調査(詳細集計)年平均(速報)結果発表ページ】)。

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一番多いのは「希望する種類・内容の仕事が無い」


まず「完全失業率」という言葉について。これは「完全失業者÷労働力人口×100(%)」で算出される値だが、この「完全失業者」とは単なる失業者では無く、「仕事についていない」「仕事があればすぐにつくことができる」「仕事を探す活動をしていた」のすべてに当てはまる人のみがカウントされる。例えば失職しているが怪我のためにすぐには働けない人、怪我も無くすぐに働けるが退職直後なのでしばらく休みたいから仕事は探していない人などは、この「完全失業者」には該当しない。

2013年における完全失業者数は265万人(前年比マイナス20万人)との結果が出ている。そのうちある程度の理由(=なぜ仕事につけないのか)が明確化しているものについて、まとめた結果が次のグラフ。もっとも多い理由は「希望する種類・内容の仕事がない」とするもので、人数では74万人が該当している。

↑ 仕事につけない理由別完全失業者(2008-2013年、万人)
↑ 仕事につけない理由別完全失業者(2008-2013年、万人)

2013年分のグラフ上の人数の合計が265万人に達しないのは、「その他の事由」があるため(公開データは整数値までの表記なので、端数処理の問題もある)。また、経年人数変移グラフは略するが、「賃金・給与が希望と合わない」の回答者数は2003年以降ほぼ横ばいを続け、2012年以降は減少傾向にある一方で、「希望する種類・内容の仕事がない」「求人の年齢と自分の年齢が合わない」「条件にこだわらないが仕事がない」の回答人数が2008年から2009年にかけて急増している(特に「条件にこだわらないが仕事が無い」は2倍近くに増加している)。「リーマンショック」で労働市場が急激に悪化し、就業がかなわない人が増えた結果のようだ。

2012年から2013年の流れを確認すると、理由が分かる範囲ではほぼすべてで該当者数が減少。特に最低限の求人があれば充足される「条件にこだわらないが仕事が無い」の値は金融危機直後の水準にまで戻している。またそれなりに条件が限定される「希望する種類・内容の仕事が無い」にいたっては金融危機ぼっ発以前の水準にまで減少している(2007年は79万人)。「リーマンショック」による労働市場悪化の影響はまだ残るが、雇用市場の改善が進んでいることがうかがえる。

世代で大きく異なる失業者の声


これを年齢階層別にみると、世代別の失業事情を見ることができる。参考として前年分となる2012年分も併記しておく。

↑ 完全失業者の仕事につけない理由別割合(2012年)
↑ 完全失業者の仕事につけない理由別割合(2012年)

↑ 完全失業者の仕事につけない理由別割合(2013年)
↑ 完全失業者の仕事につけない理由別割合(2013年)

・若年層ほど「技術・技能」不足が多い
・家族を抱えている人が多いこともあり、中堅層は(35-44歳は特に)「勤務時間・休日」などの条件がクリアできず、仕事が見つからない
・どの年齢階層も「条件にこだわらないが仕事がない」割合は1割ほど存在し、世代別の差異はほとんど無い
・若年層ほど「希望する種類・内容の仕事がない」が多い(A)
・高齢層ほど「求人の年齢と自分の年齢が合わない」が多い(B)
・2012年から2013年の変移としては※、
1)15-24歳、55歳以上では具体的要件での理由が減り、「その他」が増えている

(A)と(B)の2項目は2009年以降継続中の傾向として確認できる。まず(A)だが、「仕事における需要と供給のミスマッチ」が多分に作用していると見て間違いない。さらに「技術・技能」が不足しているからこそ、希望職種・内容が限定されてしまうパターンも少なからず存在すると考えると(例えば自動車免許が無ければタクシーのドライバーは出来ない)、単純な「ミスマッチ」以外に「経験・技能不足による選択肢の少なさ」が就職活動の上で足を引っ張っている場合も多分に想定される。

(B)は「年齢のミスマッチ、あるいはハードル」が問題。本人はやる気(、さらには技術や経験)を有するものの、年齢という越えられない壁が立ちはだかり、職につくことができない状態。「一般職における再就職は30代まで」との話もあるが、40代が含まれる「35-44歳」の層から「求人の年齢と自分の年齢が合わない」比率が急激に高まるのも合点がいく(ただし厚生労働省側では【募集・採用における年齢制限の禁止について】にもある通り、事業主に対して労働者の募集及び採用について年齢制限の原則禁止を義務付けている)。

2012年から2013年の変移を見ると、実数値の減少からも分かる通り「全体的に求人そのものの減少に歯止めがかかったようで、『条件にこだわらないが仕事が無い』の回答率が少なからず減少している」。ただし「逆に35-44歳層ではわずかながら『条件にこだわらないが仕事が無い』さらには『求人の年齢と自分の年齢が合わない』が増えている」「35-44歳層では『勤務時間・休日などが希望と合わない』(介護や育児などの家庭内事情の問題か)も増加している」などの傾向が確認できる。また若年層と高齢層で「その他」の理由が増えている点を見ると、失業の理由がそれらの層で複雑化している感はある。



2013年の値においては、失業者数・失業率そのものが改善している点は素直に喜ぶべき。一方、失業理由は相変わらず世代によって大きな違いを見せているが、個々の世代における問題点の明確化ができれば、その「問題点」の解決方法を模索し、手を打つことで、各世代の雇用問題がさらに改善できる可能性は高い。無論数か月単位の話では無く、数年レベルの施策が求められる。特に「労使間の条件のミスマッチ」は情報の集約と容易な検索ができる環境の整備、「経験・技能不足」はそれらを習得させることで(本来これは学生時代にある程度成していなければならないのだが)、小さからぬ進展が期待できる。

他方、労働市場そのものが大きくならないことには、やりくりするのにも限界がある。そのためにも景気の回復と新たな雇用市場(=産業)の創生もまた、完全失業者を減らす施策として高い優先順位で求められよう。


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