主要5紙すべて前半期比マイナス、読売は3%強の下げ率…新聞の販売部数などをグラフ化してみる(2014年前半期・半期分版)

2014/09/10 08:00

当サイトでは主に年単位で日本新聞協会発表の公式データを基にした、そして読売新聞社の広告ガイドページで半年単位で更新・公開されている日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」を基に、日本の新聞業界の動向を精査している。その後者について2014年9月8日付で、最新版となる2014年前半期の分のデータ掲載を確認することができた。そこで今回はその最新データを基に、日本の主要新聞社の新聞における発行部数の現状を確認していくことにする。

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5紙すべて減退、前半期比で最大下げ率は読売


まずは主要全国紙、具体的には読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞(日経新聞)・産経新聞の計5紙における「販売部数」。これは【読売新聞広告ガイド】からリンクをたどり、【販売部数の公開ページ】に掲載されている、「日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」2014年1月-6月平均」で取得することができる。該当半年間におけるで平均値であること、朝刊「販売」部数のみで夕刊は含まれないことに留意する必要がある。また電子版は含まれておらず、紙媒体としての新聞販売部数に限定されている。

↑ 2014年前期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)
↑ 2014年前期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)

キリの良い値でもあることから、読売新聞はかつて「販売部数1000万部超」をセールスコピーとして用いていた。しかし2011年前半期でその大台を割り込み、以後販売部数の減少が続いている。今半期は主要5紙中前半期比での減退率が最大幅を示しており、営業陣の奮戦むなしく成果は実らなかったものと思われる。

読売新聞に続くのは朝日新聞、そこから部数を半分以下に減らして毎日新聞、日経新聞、そして産経新聞が後を追っている。各新聞社の順位はこの数年、少なくとも当サイトで各紙の部数動向の精査を始めて以来変化はない。各紙の部数をかんがみるに、毎日新聞と日経新聞の間での順位変動が将来的に起きそうな雰囲気も見えるが、その日経新聞では大きな下落がここしばらく続いており、順位入れ替えの可能性はほぼ無きに等しい。

読売新聞が絶対部数の上で他紙と比べて優位な位置を維持しているのは、【「東洋経済の2010年 2/20号 特集:再生か破滅か……新聞・テレビ 断末魔」】によると「ホテルなどへの営業が功を奏している」のが大きな要因とのこと。

日経の大幅下落傾向に歯止めか


続いて公開値を基に独自算出した値を用い、複数の比較グラフを生成し、状況のより詳しい精査を行うことにする。まずは前半期との差異を比率化したもの。単純計算で、半年の間の変動部数を確認できる。

↑ 2014年前期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2013年後期との比較)
↑ 2014年前期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2013年後期との比較)

2半期、つまり1年続いた「日経新聞の大幅下落」「産経新聞のプラス」との傾向から打って変わり、それぞれ「日経新聞の下げ幅大幅縮小」「産経新聞もマイナス」に変化を見せている。下げ幅は毎日、日経、産経でほぼ同程度、朝日はやや大きめ、読売は群を抜いた下げ幅という次第。特に読売はここしばらくの間、奮闘と呼ぶにふさわしい部数維持の仕方をしていただけに(恐らく1000万部回復を目指していたのだろう)、そして5紙中では最大の販売部数なだけに、その下げ幅の大きさには驚くばかり。

詳細な部数算出、グラフ生成は省略するが、部数の増減においては、読売新聞のマイナス30.7万部、朝日新聞のマイナス11.0万部、毎日新聞のマイナス2.3万部と続いていく。上記の仕切りの通り1%前後までは誤差的変動の可能性もあるが、それを超えるとさすがに「低迷」と判断せざるを得ない。今回該当時期では読売新聞は、単純計算で毎月5万部以上部数が減った計算になる。

世帯普及率は全紙で低下


最後に世帯普及率の算出。これは全世帯に対して各新聞が届いている世帯の比率を表したもの。例えば読売新聞は16.77%とあるので、大体6世帯に1世帯は読売新聞を取っていることになる。

↑ 2014年前期における主要全国紙の世帯普及率(2013年後期との比較)
↑ 2014年前期における主要全国紙の世帯普及率(2013年後期との比較)

朝刊は世帯単位で定期購読されることが多く、また世帯構成員全体が目を通す可能性が高い。今件は単純な部数よりも新聞市場・業界のすう勢を推し量る指標として有意義な値である。これを見ても読売新聞の絶対的なポジションをはじめとした、各主要紙の現状がつかみ取れる。

今半期では、元々全紙が部数を減らしており、当然のことながら世帯普及率も減少している。特に部数の下げ率が大きかった読売新聞と朝日新聞において、明らかに前半期から棒グラフの長さが凹んでいるのが分かる。

注意事項を挙げるとすれば、世帯普及率の動向は、漸増する世帯数にも影響を受けるという点。人口は漸減しているものの、一人暮らし世帯が増えるため、世帯数は増える。そして一人暮らしの世帯では新聞の購読率は落ちるので(読み手が一人しかおらずコストパフォーマンスが低くなる、世帯収入が二人以上世帯より低いので可処分所得が下がり、新聞購入の余裕が無くなる)、世帯普及率はマイナスのプレッシャーを受ける次第である。



日経新聞電子版の有料会員数今半期では下げ幅は最小限に留まったものの、日経新聞の部数の急落ぶりをはじめ、各紙の販売部数の減退の一つの要因として、購読者の一部において、各紙が配信している電子版に切り替えたため、紙媒体としての新聞販売部数としてはカウントされなくなったのでは、とする考えがある。各紙とも何らかの形で電子版を展開しているが、定期的に展開状況が把握できる値を公開しているのは日経新聞のみ。現時点で容易に取得できるデータとしては【MEDIA DATA 2014(PDF)】が確認できるが、それらによると

・朝刊(紙媒体)購読数…308万9768

・朝刊販売数…275万4709部

・電子版有料会員数…33万5059
 うち朝刊と電子版の併読…16万7085
 うち電子版単体購読…16万7974

となる。販売数ではなく購読数の表現が用いられているのは、日経Wプラン(紙と電子版の双方を読むプラン)で重複カウントをしているため。「読者数」「販売数」の概念としては、仮に有料電子版も読者として想定するのなら、275万4709+16万7974=292万2683との概算値が出る。また現状では紙媒体の新聞の部数の6%程度が電子版として別途購読していると考えれば良いだろうか。

もっともこれは2013年12月から2014年1月時点での、日経新聞の事例。他社新聞社は恐らくこれより下回る部数・比率であることは容易に想像が出来る。また無料登録会員も各紙ともそれなりに人数がいることは予想できるが、今件における紙媒体の新聞(当然有料)と合わせて考えることは、かなり難があるので考察には加えない。

過去のデータを確認する限り、日経新聞に限れば有料電子版単体の購読者、つまり紙媒体の新聞の代替的存在の数は漸増をしているものの、1年で5万人程度の増加に留まっており、以前指摘した紙媒体版としての新聞の販売部数の減少を補完にするには到底及ばない。音楽業界におけるCDの売上と有料音楽配信の売上の関係のように、メディアシフトが起きる一方、移行の際に分散化なども生じてしまい、売り上げの上では十分な代替にならなくなっている状況がうかがえる。

そして他の4紙も電子版に関しては、状況に大きな違いはあるまい。大いに公開できるだけの実績を挙げていれば、電子版の有料会員数、つまり紙媒体の購読者の代替的な存在数について、定期的に公知ができるはずだからだ。

インターネットの普及、スマートフォンやタブレットの浸透に伴い、情報の取得スタイルは大幅に変化し、メディアの価値観は変動を続けている。その荒波を乗り越え、新時代の担い手として支持を得続けることが出来るか否か。努力と検証、そして決断が求められている。その選択の正しさは、部数にも反映されることだろう。


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