新聞堅調だが昨年の反動が多分、ラテは電通と博報堂で明暗分かれる(電通・博報堂売上:2014年12月分)

2015/01/15 14:00

博報堂DYホールディングスは2015年1月14日付で、同社グループ主要3社(博報堂、大広、読売広告社)の2014年12月分となる売上高速報を公開した。一方電通では同年1月9日付で、同じく同社12月分の単体売上高を公開している。これによって日本国内の二大広告代理店における2014年12月次の売上データが相出揃うこととなった。今回は両社の主要種目別売上高の前年同月比、そして各種指標を過去のデータなどを基に当サイト側で独自に算出した上でグラフを生成し、その動向などから各種広告売上動向、さらには広告業界全体の動きを確認していく。

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新聞は堅調そうに見えるが一部は反動による復調、残りは選挙?


データ取得元の詳細な情報、各項目における算出上の留意事項、さらに今件カテゴリーの過去記事は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】に収録・記載している。必要な場合はそちらで確認のこと。

まずは両社の主要項目ごとの前年同月比。

↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2014年12月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2014年12月分種目別売上高前年同月比

4大従来型メディア、具体的にはテレビ・ラジオ・新聞・雑誌の中では軟調さが続く新聞と雑誌だが、今回月は多分に新聞・雑誌の堅調さが目に留まる形となった。これは一部は前年同月が大きく下げたことのリバウンドとしての結果。例えば電通の雑誌における前年同月である2013年12月分の前年同月比はマイナス13.9%で、その反動としてプラスに転じた面もある。この動きは「堅調」ではなく「復調」と解釈すべきで、本格的な上昇機運によるとは言い難い。

一方でリバウンドのみの伸びとも言い切れない部分はある。後述するが例えば前々年同月比を試算すると、電通では新聞・雑誌共に小さからぬプラスを示している。これは同月に行われた衆議院総選挙における宣伝活動、及び選挙で新聞や雑誌が注目を集めた事で生じた特需的な面があると考えるのが無難だろう。特に新聞はその色合いが強い。

他方、4大従来型メディアのうち電波系のテレビとラジオは、今回月では電通が軟調・博報堂が堅調という珍しい動きを見せることとなった。前年同月は両社ともラジオが軟調・テレビはそこそこだったことから、個々の会社の前年同月からの反動による動きとも考えにくい。選挙に絡んだ特需による追い風が、博報堂に吹いたのだろうか。

インターネットは相変わらず良い調子。博報堂は10%強、電通は20%強もの伸びを示している。前年同月はそれぞれ同じようなプラス値を示していたので、成長の勢いが継続的な状況にあることが分かる。前々年同月比では電通はプラス54.1%、博報堂はプラス35.4%との試算が出来るが、その飛躍ぶりには感嘆せざるを得ない。

ここ数か月、つかみどころのない形での成長が続いている「その他」項目は、今回月も堅調。電通・博報堂共に1割以上の成長。前年同月もプラス値だったことから、反動の類では無く純粋な伸び。やはり現状のままでは今の広告の様式には対応しきれていない感はある。各項目の売上が伸びただけでなく、新しい分野の広告が加わったことで、「その他」の広告費が伸び、プラス計上をする可能性もあるからだ。

↑ 参考:電通2014年12月度単体売上(前々年同月比)
↑ 参考:電通2014年12月度単体売上(前々年同月比)

電通で前々年同月比を試算したのが上のグラフ。インタラクティブメディア(インターネット)が群を抜いた成長ぶり。2年間で5割以上もかさ上げしている。また上記にもある通り、新聞や雑誌がリバウンド以外の純粋な値としてプラス値を示しているのが分かる。あるいは選挙の影響かもしれないが、2年前比のプラス値計上は前月からのものであり、風向きが変わってきた雰囲気を覚えることができる。

電通の各年12月における総額の過去からの推移を確認


次のグラフは電通の今世紀(2001年以降)における、今回月も含めた各年12月の広告売上総額推移を抽出し、その動向を折れ線グラフで示したものである。月次ベースの流れを毎月分として確認するのではなく、同じ月の経年売り上げ推移を見ていくことで、季節属性(季節や月により広告出稿の大小が生じること)にとらわれることなく、年単位での売り上げ推移、そして広告市場の情勢をおおよそではあるものの推し量ることができる。例えばケーキの売上を毎月の単位で追うと、どうしても12月が突出してしまう。それよりは毎年12月分の売上を見た方が、業界のすう勢ぶりが良くわかるようなものである。

↑ 電通月次売上総額推移(各年12月、億円)(-2014年)
↑ 電通月次売上総額推移(各年12月、億円)(-2014年)

年ベースでの特定月の動向は、例えば選挙や災害のような突発的な事象で大きく揺れ動きが生じることもあるが、大体は世間一般の景況感を反映する形となる。直近の金融危機が生じた2007年の直前をピークとし、それ以降は下落、リーマンショックの影響を大きく受けてその後は復調するも、震災や超絶円高で再び下落、その後は順次復調といった形である。12月に限れば現状は金融危機ぼっ発前まであと一歩というところ。

今件記事では日本の大手広告代理店として、代表格となる電通と博報堂2社の動向を精査している。両社は同じ規模では無く、売上・取扱広告の取扱範囲には小さからぬ違いがある。それぞれの社内の動向を併記していることから、両社の「前年同月比」がそのまま「金額そのものの差異」のように誤読する事案が時折生じる。例えば今回月は売上合計が電通プラス0.4%・博報堂プラス4.3%であることから、博報堂の売上は電通の10倍くらいなのか、という錯覚である。もちろんこれは間違い。

そこで次に今回取り上げている各項目における具体的金額を提示する。インターネット広告の伸び方は言葉通り「筆頭成長株」に違いは無いが、現時点ではまだまだ金額の上ではちっぽけな存在でしかなく、4大従来型広告以外の一般広告やテレビと比べて、小さな存在であることが分かる。無論これらの金額は電通と博報堂によるもので、他の広告代理店も合わせた総計となると、もう少しインターネット系列の広告費の比率は高いものとなるのだが。

↑ 電通・博報堂DYHDの2014年12月における部門別売上高(億円)
↑ 電通・博報堂DYHDの2014年12月における部門別売上高(億円)

同じ分野でも両社では得手不得手がある。例えば雑誌部門など複数の部門では2社の差異は大よそ2倍程度に留まり、ラジオに至ってはほぼ双肩を並べる状態だが、「その他」では7倍以上の差が出ている。



インターネット広告の成長ぶりは注目に値するものだが、金額そのものはまだまだ相対的に少額で、広告業界全体に占める影響力はそれほどのものでは無い。いわば期待の新人で現在急速に力をつけつつあるが、ベテラン勢にはまだまだほど遠い力量でしかないというところ。

広告業界の動向に関しては、並列する形で毎月経済産業省発表の公開値をもとに検証をしているが、そちらではいくぶんインターネット広告の比率が高い。これは最大手の電通・博報堂以外の広告代理店が機動力の高いインターネット広告への注力度が高いのに加え、インターネット広告を専門に取り扱う代理店も少なからず存在するのが原因。電通・博報堂でもここ数年以内に、新聞の額面を抜き、4マス+ネットの仕切りではテレビに次ぐ売り上げをあげるようになるだろう。


■関連記事:
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ)(上)…4マス+ネット動向編】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ)(下)…ネット以外動向概況編】

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