現状・先行き共にDIは先月を上回るも水準値以下を継続…2014年12月景気ウォッチャー調査は現状下落・先行き上昇

2015/01/13 15:00

内閣府は2015年1月13日付で2014年12月時点となる景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によれば現状判断DIは先月比で上昇して45.2となったが、水準値の50.0を下回る状態は続く形となった。先行き判断DIは先月から転じて7か月ぶりに上昇して46.7となったものの、水準値の50を上回ることは出来なかった。結果として、現状上昇・先行き上昇の傾向となったが、軟調な状況からの脱却は果たされていない。基調判断は前月から一部変更され「景気は、このところ回復に弱さがみられる。先行きについては、物価上昇への懸念等が引き続きみられるものの、経済対策や燃料価格低下への期待等がみられる」との文言が使われ、物価上昇が景況感の足を引っ張っているものの、経済対策や燃料価格の下落への期待を反映する形となった(【平成26年12月調査(平成27年1月13日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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現状指数・先行き指数共に全項目で上昇


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧や用語解説ページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

2014年12月分の調査結果はまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前月比プラス3.7ポイントの45.2。
 →「良くなっている」「やや良くなっている」が増え、「やや悪くなっている」「悪くなっている」が減少。
 →家計は小売り関係の上昇で、企業は非製造・製造双方の上昇で上昇。雇用は求人増加が確認されたことを受けて上昇。

・先行き判断DIは先月比で2.7ポイントプラスの46.7。
 →物価懸念は続くが、経済対策や燃料価格の下落への期待があり、全部門で上昇。

4月の消費税率引き上げの際に発生した、3月までの駆け込み需要の反動、そして税率上昇に伴う消費マインドの直接的・表面上の低下は5月頃から鎮静化の動きを示し、7月までにはほぼ収束している。そのおかげで7月においては現状DIは上昇したものの、8月では天候不順が大きく足を引っ張る形となり、低下。9月以降はその余韻を残しつつ、エネルギー価格をはじめとした輸入原材料の高騰から生じる物価上昇への懸念と消費マインドの深層部分における低迷が足かせとなり、停滞・下落を続けている。今回月はようやく上昇に転じたかその勢いはまだ弱く、本格的な反転か、あるいは単なるリバウンドか、判断に迷うところ。

先行きDIにおいては先月同様に電気料金の高騰に対する懸念が強いものの、昨今の原油価格下落に伴う燃料費の負担が減少する事への期待が大きい。コメントでも「燃料価格低下への期待」と明記されており、ガソリン価格の下落がマインドに大きなプラスとなったことがうかがえる。

↑ 景気の現状判断DI(全体)推移
↑ 景気の現状判断DI(全体)推移

↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移
↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移

現状判断DIは雇用のみ下落


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向について、その状況を確認していく。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2014年12月)
↑ 景気の現状判断DI(-2014年12月)

今回月は消費税率改定後9か月目の月。小売店側から見た反動に伴う影響に関する文言はすでに消えており、直接の駆け込み特需の反動の影響が無くなるのは、その文言が消えたタイミングの半年経過が目安だったことがことが分かる。一方で深層部分で影響を及ぼし続けているマイナスの景況感を回復させるに必要となる材料が特に無く、低迷感は継続。さらにエネルギーコストをはじめとする物価上昇を起因とする消費心理の減退が上乗せされ、景況感は押し下げられているのが現状。

また今件調査の回答者は一般消費者自身サイドの考えではないため言及もそれほど多くないが、消費税率の再引上げの延期可能性が高まったことへの好感を表す意見は多いものの、その延期の話が持ち上がったことで改めて消費税に関する心境が掘り起こされ、消費性向を押しとどめる気配も確認できる。

一方今回月は上記にある通りリバウンド的な雰囲気に加え、原油価格の急落に伴うガソリン、そして灯油価格の下落がすでに実影響を与えており、これがプラスに作用した感はある。相変わらず水準値(50)以上の項目は皆無という状態は継続しているものの、全項目で前月比はプラス、飲食関連のプラス6.5や住宅関連のプラス5.7など家計動向で大きな上昇が相次ぎ、期待感も覚えることが出来る。

景気の先行き判断DIも全項目で前月比プラス。

↑ 景気の先行き判断DI(-2014年12月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2014年12月)

最大の上げ幅を示したのは住宅関連でプラス8.6、次いで飲食関連のプラス6.2。企業動向関連は現状同様弱めな上昇ぶりだが、非製造業がいくぶん強含みのプラス5.2となっているのが幸いか。特に非製造業は今回月でようやく4か月ぶりに水準値(50)以上を回復、2か月ぶり回復の雇用関連と合わせ、先行きでは2項目が水準値超えを見せる形となった。

ガソリン代の言及は消えたが電気料金は続く、円安の禍福も


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたって用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国での統括的な内容、そして各地域ごとに細分化した上で公開している。その中から、世間一般で一番身近な項目となる「家計(現状・全国)」そして「家計(先行き・全国)」の事例を抽出し、その内容についてチェックを入れてみる。

■現状
・年の瀬で牛肉やかまぼこ、おせちの具材が売上を伸ばしている。今月上旬の大雪の影響も最小限で済んでいる(スーパー)。
・10月の免税対象商品の拡大以降、外国人客向けの売上が更に急増しており、今月は前年の3.5倍となっている。クリスマス前後は低迷していた現金顧客の売上も、前年並みにまで回復しており、今月は増収となる見通しである(百貨店)。
・12月当初から雪が降り寒くなってきたので、冬物関係が売れた。このため3か月前と比較すると若干売上が良くなっている。また、12月はボーナス支給及びクリスマスなどがあり、売上の増加になっているものと思われる(商店街)。
・12月は、賞与支給の低調、農家の米収入の減少、商品の価格上昇もあり、さらに雪の日が多かったため芳しくない状況である(スーパー)。
・大型ショッピングモールが11月末にオープンし、当店の売上は20-30%ダウンしている。来客数は40%近く落ちているので、売上げは客足ほど落ちていないともいえるが、相当な衝撃である。想定内ではあるが、今後もずっと続くとなると店の存続の問題になってくる(百貨店)。

■先行き
・消費税増税の先送りにより、先行きの不透明感が薄れ、消費は上向く(スーパー)。
・消費税増税以降、消費者の商品への目の付け方が変わってきたように感じる。本当に必要なものは買うが、そうでないものは買ってくれない(商店街)。
・円安が続く限り、インバウンドの個人予約が入ってくる。そのため、景気の先行きは非常に良い(都市型ホテル)。
・電気料金の値上げに加えて、年明けから続々と予定されている食品各社の値上げ表明などから、客の財布のひもはますます固くなる(スーパー)。

「近所に大きな大手競合が出来たので自分の売上が大きく落ち込んだ」は自身の景気動向には多大な影響となるが、世間一般の景気には関係がない感は強いのでそれはさておくとして。年末のボーナス動向やクリスマスの動きはまちまち、円安によって生じたプラスとマイナスが相互に作用しているようで、良し悪しの判断は難しい。また積雪に関しても、季節商品が伸びたとする意見もあれば、客足が鈍ったとの苦言もあり、舵とりの難しさを再認識させられる。

調査直前に実施された衆議院総選挙に関する影響だが、直接の言及は案外少ない。飲食店での忘年会の減少と広告出稿の増加というプラスマイナスが少数ずつ見受けられる程度。むしろ選挙運動の際に行われた情報戦によるマイナス影響、具体的には「選挙報道などで景気に関するネガティブな情報が毎日のように報道されていたため、マインドが低下して消費者の財布のひもが固くなっている(スーパー)」との言及が目に留まる。

先月までは企業動向関連を中心にガソリン代をはじめとした燃料費の高騰や電気代の引上げに伴う悲鳴が相次いでいたが、今月分では電気代は相変わらずなものの、原油価格の明らかな下落に伴いガソリン価格も下落の動きを見せ始めたため、不安要因としての言及は大きく減っている。キーワード抽出を行うと「燃料」で5か所見られるがいずれも下落に伴うポジティブな意見、「ガソリン」は1か所で同じくポジティブだったが、「電気」は6か所すべてがネガティブな内容となっている(例えば「電気料金の値上げに加えて、年明けから続々と予定されている食品各社の値上げ表明などから、客の財布のひもはますます固くなる」「電気料金の値上げが始まったことで、主婦の生活防衛意識が一層強まっている」)。

燃料価格は国内でコントロールしにくい要因であることから、昨今の下落は「燃料価格に限れば」僥倖に違いない。一方電気料金は一部に海外からの輸入資源価格の上昇があるが、多分に震災以降の発電様式のアンバランスな状態を起因としており、大部分の原因は国内問題によるもの。早急な対応が求められる。

家電量販店やコンビニの現状下落著しく…詳細精査


2014年4月分の公開値を基に、消費税率動向について細かい部門別に別途記事として精査をした【景気ウォッチャーの指標動向から消費税率改定後の景気行き先を推し量ってみる】の手法を用い、簡略的にではあるがしばらく継続的に現状・先行きDIの詳細動向を確認している。今回もその例にならい、12月分とその前月の11月分との差異、つまり一か月分の変化を詳しく見ていくことにする。まずは現状DIについて。

↑ 2014年11月から12月における現状DIの変動値
↑ 2014年11月から12月における現状DIの変動値

マイナスの値はレジャー施設関連のみで、それもマイナス0.9ポイントと小さな動き。最大の増加はその他小売店でプラス9.7、次いでコンビニの6.9、家電量販店の6.8、スーパーの6.6と続く。家電量販店やコンビニは先月では大きくその値を落としており、その反動によるところもあるが、足しげく通う人が多いであろう部門の「景気が良い」との判断は、大いに安堵感を覚えさせる。もっともサービス関連はその他サービス以外は上げ幅が今一つ、企業も大人しめなため、今一つ本格的な上昇感、盛り上がりに欠ける。

↑ 2014年11月から12月における先行きDIの変動値
↑ 2014年11月から12月における先行きDIの変動値

↑ 2014年12月における先行きDI
↑ 2014年12月における先行きDI

現状DIと比べると先行きDIは小売部門ではいくぶん大人しめ、家電量販店では小さからぬマイナスを示している。またコンビニも動きを止めており、期待感が今一つであることがうかがえる。やはり消費はなかなか低迷感から回復しそうにない。もっとも飲食関連は例外的に大きく伸びているのが目に留まる。

他方住宅関連や企業関連はそれなりに雰囲気は良好。住宅関連は上げ幅がもっとも大きく、非製造業は勢いを大きなものとしている。



現状DIの上昇感や各種コメントを見る限り、少なくとも現在の景気低迷感はようやく底についた、あるいは底を打ち反転に転じた雰囲気を覚えさせる。しかしその勢いはまだ弱い。単なる底打ちに加え、何か加速をつけるような材料が欲しいところだが、現状では原油価格の下落によるガソリン代・灯油代の引き下げ位しか見当たらない。消費税率引き上げの延期はさらなる消費減退傾向を押しとどめてくれたものの、引き上げ要因にはつながらず、しばらく後に再び低迷が起きるリスクを多分に伴うものとなる。

一方、原油価格は今後もしばらくはこの水準で推移しそうなことから、少なくとも数か月はガソリン代などの燃料費の負担が減るため、そのことへの期待感の大きさを随所で確認できる。また円安により生産拠点の国内回帰の動きも見え始めており、これも雇用をはじめとした国内消費の増加、資金流通の増加に伴う景況感の底上げを期待させるものとなる。

他方その円安に伴う、さらには資源価格そのものの上昇により、食材を中心に春先からの値上げが相次ぎ予定されていることから、消費マインドの冷え込みへの懸念も大きい。その上、ガソリン代はともかく電気代は高値をつけたままなのも、不安材料として見逃せない。この電気料金周りは震災後の悪癖を引き継いだ現況が大きく影響しており、理性と知性をもってすれば必ず解決しえる問題に違いない。あるいはこれを果たすことで、経済面でも大きな転換点となる可能性は高い。

原油価格の低迷が続けば、ガソリン代が本格的に値を下げ始めるのは、この数か月の間となる。食品などの値上げも春から。電力の消費がかさむ夏に向けて電力周りで準備を行うためには、この数か月内における動きが望まれる。今夏までの半年で、景気動向は大きな変化を迎えることになるかもしれない。


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