10代の子供達のテレビやゲーム、ソーシャルメディアの利用時間をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/09/14 11:08

以前【「ノーゲームデー」の誤解と実態と子供が本当に必要だったもの】などで北海道教育委員会による、子供達に電子メディア、特にゲームへの接触をさせず、昔の遊びを体感させようとする試み「ノーゲームデー」なるプロジェクトに関する騒動への解説を行った。多分に運用側の誤解や事実誤認、ネーミングセンスなどによって生じた騒動で、ゲームそのものを完全に敵対視した試みではないことが分かった一方、子供達が集まって、あるいは一人で何らかの端末に熱中している様子をすべて「ゲーム」ととらえる大人が一定数いる実態も、あらためて認識させることとなった。今回は総務省情報通信政策研究所が2016年8月31日に発表した「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値を元に、10代の子供達における色々な行動の実情を確認し、「ゲームに夢中で時間を浪費する子供」のイメージがどこまで現実を示しているのか、その確認をしていくことにする(【発表リリース掲載ページ:研究成果-調査研究報告書】)。

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10代におけるゲームの時間、多いか少ないか


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。

今調査結果からは回答者の平日・休日における様々な行動の、行為者率(その行動を実施した人の割合)や平均時間などを取得できる。そこで今回問題視された世代に該当する10代に的を絞り、ゲームやテレビ視聴、ソーシャルメディアの利用、メールの読み書き、ブログやウェブサイトの読み書き、動画視聴(OFF=オンラインでは無くダウンロードした動画の再生も含む)、さらにはインターネットを用いた音声通話などの行為について、平均利用時間を該当項目から抽出して算出した。行為者・非行為者も合わせた平均時間であるため、その行為の実行状況も反映した数字となる。全体像としてどれほど傾注されているのかを示すのに適した値ではある。

↑ 10代の平均行動時間(分、2015年、主要要素別)
↑ 10代の平均行動時間(分、2015年、主要要素別)

平日、子供がもっと時間を費やしている、大人から見れば熱中しているように見えるのは「テレビ視聴」。2時間近くを費やしている。「ながら視聴もあるのでは」との意見もあるだろうが、時間を消費していることに変わりは無く、注力の少なからずが投入されているのも事実。注力度が高い時間消費行動なら「ソーシャルメディアの読み書き」が該当するが、こちらは約1時間。そして「ゲーム」(据え置き型・携帯型の家庭用ゲーム機だけでなく、パソコンやスマートフォンなどによるオンラインゲーム、ソーシャルゲーム、さらにはダウンロードタイプのオフラインによるデジタルゲームまで含むことに注意)は30分足らずでしかない。

休日になると余暇時間が増えることから、利用性向は大きな変化を見せ、利用時間も長くなる。それでも「テレビ視聴」がもっとも長いことに変わりは無く、3時間を超えている。次いで「ソーシャルメディアの読み書き」が1時間半で続き、「ゲーム」はそれに続く値となっている。

同様の精査は前年分も実施しており、その結果との比較をしたのが次のグラフ。

↑ 10代の平均行動時間(分、2015年、主要要素別、前年比)
↑ 10代の平均行動時間(分、2015年、主要要素別、前年比)

テレビ視聴とソーシャルメディアの利用がいくぶん、休日はやや大きめに減り、休日におけるゲームの利用時間が大きく増加している。今調査における10代は13歳から19歳までをあわせており、高校生や大学生におけるスマートフォンを用いたアプリゲームへの注力時間が増えた感を覚えさせる。ただし平日はほとんど変わりがないことから、ある程度まとまった時間が取れる休日の余暇時間において、テレビやソーシャルメディアからゲームへのシフトが生じたと考えるのが無難だろう。

他方注目すべきなのは動画視聴。一方向性のテレビに代わる動画系エンタメとして注目を集めているが、平日・休日を問わずに利用時間が有意に増加している。絶対時間数はすでにゲームに続く長さまで伸びており、その利用ハードルの低さや幅広い内容、柔軟性の高さを合わせ考えると、今後も大いに伸びを示す可能性は高い。

大人の感覚では「デジタルメディアへの接触」は「ゲームをする」ではあるが、実質的にはすでに子供達においては「ソーシャルメディアを利用する」の方が代表的な要素を示す言葉としては適切なのが現状。そして「動画を観る」が「ゲームをする」の後を追いかけている。

さらに熱中度やデジタル度合を除外し、単に子供が長時間注力する、外遊び的で無いエンタメ行為は何かとの問いへの答えを考えると、「テレビを視聴する」の方が適切となる。つまり(その表現自身が適切でないことはすでに説明の通りだが)「ノーゲームデー」は「ノーソーシャルメディアデー」であり「ノーテレビデー」とすべきだったことになる。

あるいは、以前の記事で指摘したことではあるが、大人にとってはソーシャルメディアの利用もメールの読み書きも動画の視聴も、果てはテレビの視聴ですらも、すべて「ゲーム」の範ちゅうに入ってしまっているのかもしれない。

使っている機種が問題なのか!?


「ゲームそのものをしているか否かでは無く、ゲーム機を使っているか、ゲームをしているように見える機器を使っているかが問題」との意見もあるかもしれない。つまり、実際にはソーシャルメディアや映像視聴であっても、ゲームで遊んでいるように見えるから、全部ゲームだとする主張である。あるいは「ゲーム」をデジタル機器の操作全般としての代名詞的にとらえているかもしれない。

そこで各機種ごとに利用時間を再集計したのが次のグラフ。例えばテレビなら、テレビを現在画像出力機器としてゲームをしていた時間も、リアルタイムでテレビ番組を視聴した時間も、DVDの再生でテレビを使った時間も、すべて加算してある。また、特記事項として項目に「*」がついているのは、直左にある項目のうち細分化した場合の時間を示している(全スマートフォンと全従来型を足しても全携帯電話利用の時間にならないのは、PHSの利用があるから)。

↑ 10代のメディア利用状況(全体平均、分、2015年)(機種別、利用内容問わず)
↑ 10代のメディア利用状況(全体平均、分、2015年)(機種別、利用内容問わず)

やはりテレビの利用時間がもっとも多く、携帯電話がそれに続く。パソコンや携帯ゲーム機はわずかな時間でしかない(据え置き型ゲーム機によるゲームは、画像出力にテレビを使うため、テレビ受像機利用時間に加算される)。傾注時間から子供の熱中度を心配するのなら、やはり「ノーテレビデー」とするのがもっとも妥当な話となる。あるいは「ながら視聴」を考慮するのなら「ノーケイタイデー」だろうか。

ちなみに印刷物はコミック以外に新聞や雑誌まで含めても、平日では平均時間で5分足らず、休日でも10分程度でしかない。「漫画ばかり読んで」との心配は、少なくとも今は不要のようだ。



大人が子供に行う「しつけ」は、多分に大人の常識に基づいて成されることになる。ところが大人の常識が子供の世界においては単なる思い込みでしか無かったり、過去(大人が子供だった時代)の話で現在は状況が大きく変化していることもある。今件は多分に、その雰囲気が強い。

ともあれ子供の注力時間に関して問題視をするのなら、優先順位的にはゲームよりもむしろ、テレビの視聴方法やソーシャルメディアの使い方、メールのやりとりの仕方などに関する規制……ではなく、正しい方法論を教示することこそが、今の保護者に求められているのではないだろうか。


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