レギュラーガソリン価格と灯油価格をグラフ化してみる(2014年)(最新)

2014/12/17 16:00

燃焼機関を動力源とする自動車は今や人間の社会生活には欠かせないツールの一つである。個人、世帯単位での移動手段としてだけでなく、流通を支える各種トラックやタンクローリーなど、工事現場などで働く建機、さらにはバスをはじめとした旅客用に至るまで、皆が皆、ガソリンを燃料として動いている(一部は軽油も使っているが)。最近では電気自動車も少しずつ普及し始めているものの、今なお自動車がガソリンを主燃料としていることに違いは無い。当然、その燃料たるガソリン価格の動向は多くのドライバーはもちろん、自動車を間接的に利用する人にも気になるもの。今回は基準となる指標として総務省統計局による東京都区部のガソリン価格を用い、直近までの動きを確認していくことにしよう。さらに同じ石油を原材料として精製され、冬場に多く使われる灯油の動向も合わせて見ていくことにする。

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年平均ではオイルショックを超えたガソリン価格


まずは商品先物を語るには欠かせない【フジフューチャーズ】から、原油価格(ニューヨーク原油・WTI)のチャートを抽出し、原材料の価格動向を確認する。



原油価格・WTI月足/週足(フジフューチャーズより)
原油価格・WTI月足/週足(フジフューチャーズより)

WTIの週足グラフを抽出したものだが、二つ目の週足グラフにおいて直近では2013年8月第4週に最高値の112.24ドルをつけ、その後やや下落を示したものの、最近では今夏頃まで再び100ドルを中心としてプラスマイナス10ドルのボックス圏内でもみあいを示していた。2012年6月の時点では80ドル前後だったので、それから比べると約10ドルから20ドル、1割強から2割強もの上昇である。日本国内におけるガソリン価格の変動においては、為替レートも大きな要因ではあるのだが、原材料価格の時点でこの2年近くの間にこれだけの値上がりが起きていたことになる。

ところが今夏以降、原油価格は下落の一途をたどり、この数か月ではその勢いを加速化している。直近の2014年12月第3週では53.60ドル。直近……との表現が正しいかいささか疑問だが、もっとも近い過去の類似価格としては、2009年の前半期、金融危機ぼっ発後の乱高下が収まり、底値から上昇を開始した時点の価格にほぼ等しい。実に5年強ぶりの安値ではある。

この原油価格の動向を頭に入れた上で、早速ガソリン価格から見ていくことにする。過去データのいきさつについては【レギュラーガソリン価格をグラフ化してみる】で説明している通り、1991年以降の各種データは【総務省統計局・小売物価統計調査】から(全国平均が無いものは東京23区内データで統一)、1970年から1990年のデータについてはオートコミュニケーションズ(現在は該当データは存在せず)から抽出した。抽出元が異なるため、年次データには(正確には)連続性がないことに注意。

そして最近のデータは【総務省統計局・小売物価統計調査(動向編)/価格の動向】から逐次必要なデータを取得している。月次データのグラフは金融危機が勃発した2007年の頭からに限定し、激しい動向が分かりやすいようにしている。

自動車ガソリンの東京都区部小売価格(年ベース、円)(1970年-2014年)(2014年は11月までの平均)
自動車ガソリンの東京都区部小売価格(年ベース、円)(1970年-2014年)(2014年は11月までの平均)

自動車ガソリンの東京都区部小売価格(月ベース、円)(2007年1月-2014年11月)
↑ 自動車ガソリンの東京都区部小売価格(月ベース、円)(2007年1月-2014年11月)

2008年夏期のガソリン価格高騰のイメージが強いため、同年の年次データが思ったより低い(「第二次オイルショック」と同等の150円台後半)ことに違和感を覚えるかもしれない。これは2008年後半においてガソリン価格が急落したため、年次における平均値としては押し下げられてしまったのが原因。二つ目の月次データを元にしたグラフで「原油直近天井価格」以後の急落を見れば、その下げぶりは一目瞭然である。何しろ半年で70円強もの下落を見せている。

一方、その月次においては、2008年4月の暫定税率一時解除に伴う下げを見せたあとは上昇を続けたものの、原油価格の天井である同年7月から8月付近で最高値をつけ、その後急速に値を下げている。そして原油価格の上昇、2012年末以降はそれに加えて為替レートの円安化と共に再び少しずつ上昇傾向にあり、それが現在まで続いているのが分かる。これは一つ目のグラフ、原油価格の動向にほぼ連動している。昨今のガソリン価格の高値ぶりは、為替レートにおける円安と共に、原材料の原油価格の上昇に伴うものであることが、改めて認識できよう。

なお2008年分の年次は直上の通り急上昇のあと急降下したため、平均化の上でそれなりな高値(156円)に留まっているが、今年2014年は2009年の下落以降上昇機運が夏まで続いていたことから、結果として11月時点までの平均値でも高値のまま。まだ1か月分の残りがあるものの、年次の暫定値としては直近の金融危機、そして第二次オイルショックを超える162円をつけてしまっている。あと1か月で際立った値下げ方がなされても、恐らく金融危機ぼっ発時の高値156円を超えた値で2014年の年次分は締めくくられることだろう。

灯油価格の動向は?


ガソリンとはやや違った傾向を見せているのが灯油価格。こちらは東京都内・18リットルのデータを採用し、グラフを生成した。

↑ 灯油の東京都区部小売価格(年ベース、円、18リットル)(-2014年)(2014年は11月までの平均)
↑ 灯油の東京都区部小売価格(年ベース、円、18リットル)(-2014年)(2014年は11月までの平均)

↑ 灯油の東京都区部小売価格(月ベース、円、18リットル)(2007年-2014年11月)
↑ 灯油の東京都区部小売価格(月ベース、円、18リットル)(2007年-2014年11月)

上下変動の様子、グラフの形状はガソリンとほぼ同じだが、「計測史上」最高額はすでに2007年12月の時点で達成してしまっている。そしてその後も上昇を継続、結局最高値は2008年8月の2468円となった。この記録はいまだに破られていない。

幸いにも2008年においては、最高値をつけた夏以降、原油価格の急落を受けて灯油価格も下落。利用頻度が高まる2008年12月の時点では、価格は2006年の水準前後にまで戻っている。そしてその後はガソリン価格の変移と比べると緩やかではあるが、再び細かな上下を繰り返しながら、中期的に上昇の機運の中にあった。

そして直近数か月、今夏以降の動向もガソリンとほぼ同じで、首を垂れる稲穂のような状況にある。すでに灯油を多用する冬期に突入している上では、去年の同時期と比べれば高値ではあるものの、朗報には違いない。




gogo.gs
当方(不破)が巡回しているウェブサイトやブログ、ツイッターやFacebook上のタイムラインでも、自動車を運転する人による「ガソリン代がツライ」「また上がったの?」的な話をよく目にする。「景気ウォッチャー調査」をはじめとする各種市場調査、民間の商業関連の調査でも、昨今では電気代などとまとめて「エネルギーコスト」との表現が成されているが、ガソリン代の上昇に対する負担増に関する影響の大きさが認識できる。また当方自身は自動車を運転することは無いものの、ガソリンスタンドを目にするたびにそのスタンドでの価格をチェックしているが、少しずつではあるものの確実に、今夏頃まで価格は上昇していた。

これは上記にある通り、原油価格の高騰によるところが小さくない。為替レートの変動(円安・ドル高)の影響もあるが、今夏までは1ドル100円あたりを行き来しており、ガソリン・灯油価格に大きな影響を与えるものではない。

ところが夏以降、為替の大幅な円安化と原油価格の大幅下落という、ガソリン・灯油価格に大きな影響を与える事象が同時期に発生している。円安化の理由は【円ドル為替相場の移り変わりをグラフ化してみる】でも解説の通り、日米両国の金融政策上におけるいくつかの決定と、アメリカ経済の復調を受けて、そして原油価格の大幅下落は【これは驚いた、ルーブル安がゴリゴリ進んでいる件について】【止まらぬルーブル安、一時1ドル80ルーブルに】などで解説の通り、石油市場においてシェア維持を模索するOPECとシェールガスによる市場参入を模索するアメリカとのチキンレース的な状況によるものである(原油を輸出することで外貨を稼いでいるロシアのルーブル安は、主にこの「レース」に巻き込まれた形)。

日本では同時に円安が進んでいることと、すでに調達済みのものの出荷が先になることもあり、急激に値が下がることはないが、確実に原油価格の下落の影響が出始めている。11月時点のガソリン価格は157円とあるが、今記事右横に配されているgogo.gsのデータを執筆時点で確認すると、レギュラーガソリン(東京都)は12月10日から16日の集計値として、144円台をつけている。また周辺環境が変化する材料が無いことから、今後しばらくはこの状態が続くことが予想される。

ガソリン・灯油共に、現在の日常生活には欠かせない。そして冒頭にも触れた通り、直接消費するのみならず、流通においても多用されるところから、ガソリン価格の変化は多種多様な商品価格にも大きな影響を与えることになる。さらには費用・経費の上で、ガソリン価格次第でビジネス領域を縮小したり、商売そのものを断念せざるを得ない事例もある。今後もガソリン、そして冬期には生命線にも直結する灯油価格の動向には、深い留意を払いたいところだ。


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