「今の日本はがん治療などで仕事を続けにくい」6割強に及ぶ

2013/04/05 11:00

内閣府大臣官房政府広報室は2013年3月18日、がん対策に関する世論調査の結果を発表した。それによると「がん治療・検査」のために2週間に1度程度通院する必要がある場合、現代日本において仕事を継続できるか否かを聞いたところ、7割近い人は「仕事の継続は難しい」と考えていることが分かった。特に若年層・女性で「継続困難」とする意見が多い(【発表リリース:がん対策に関する世論調査】)。

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今調査は2013年1月17日から27日にかけて、層化2段無作為抽出法によって選ばれた全国20歳以上の日本国籍を持つ人に対して、調査員による個別面接聴取方式によって行われたもので、有効回答数は1883人。男女比は850対1033、世代構成比は20代153人・30代260人・40代300人・50代322人・60代424人・70歳以上424人。

他の病気同様にがんもまた、治療の開始時期が治療動向・リスクの高低に大きな影響を与える。そして早期治療のためには早期発見が欠かせないが、それには定期的な検診が必要不可欠になる。ところが日本のがん検診受診率は低く、対象部位にもよるが約2-3割程度でしかない。

↑ 性別にみたがん検診を受診した者の割合(2010年)(過去1年間、但し子宮がんと乳がんは過去2年間)(再録)
↑ 性別にみたがん検診を受診した者の割合(2010年)(過去1年間、但し子宮がんと乳がんは過去2年間)(再録)

この検診を避ける一因と思われるのが、がん検診やがん治療に対する社会的認識。がん検診、さらにはがん治療では、定期的な検診・治療が必要になる。仮に「2週間に1度(明記は無いが事実上1日丸ごとを使い)通院しなければならない」場合、現代の日本社会は仕事を継続できる環境にあるだろうかという問いに対し、「そのような状況でも仕事を続けられる」と考えている人は26.0%に留まっていた。対して「仕事の継続は難しそう」との意見は68.8%に及ぶ。

↑ 仕事と治療等の両立についての認識(がん治療・検査のため2週間に1度程度病院へ通う必要がある場合、現代の日本社会は働き続けられる環境だと思うか)
↑ 仕事と治療等の両立についての認識(がん治療・検査のため2週間に1度程度病院へ通う必要がある場合、現代の日本社会は働き続けられる環境だと思うか)

がん検診・がん治療に限った話ではないが、「体のメンテナンス、チェック」に相当する医療機関への時間負担には、概して厳しい目が向けられているとの認識が高い。

男女別では女性、世代別では若年層の方が、より一層「がん検診や治療通院で2週に1度定期的な休みが必要な場合、働き続けられない」とする意見が強い。これはこれらの層が就労的立場が弱いことに起因する。自分自身の立ち位置を思い返し、社会全体の状況を想像してしまうからだ。また30-40代、50代以降で段階的に「2週に1度の通院ならば、辞めることも辞めさせられることも無い」の認識が増加するが、これは自分の社会的・企業内の立場が高みに登り安定し、その程度の通院ならば周囲や企業そのものからにらまれることも無いと判断できるからに他ならない。

しかし50代以降でも「通院・治療に至っても仕事を継続できる」とする意見は3割前後でしかない。企業、そして社会全体の理解度の低さが「通院したら仕事を辞めざるを得ない」との恐れの原因となり、それが検診率を下げる要因となっている。制度の整備と共に、がんへの、そしてそれ以外の疾病とその予防・検診に対する理解を一人一人が高めてほしいものだ。


■関連記事:
【がん検診の動向をグラフ化してみる(2010年分反映版)】

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