がん検診、受けない理由は「時間が無い」

2013/03/25 09:00

内閣府大臣官房政府広報室は2013年3月18日、がん対策に関する世論調査の結果を発表した。それによると「がん」の検診率が低い、受けない人が多い理由について、「時間が無い」との回答率がもっとも高く5割近くに達していることが分かった。次いで「がんと分かるのが怖いから」「費用がかかり経済的にも負担になるから」が続いている(【発表リリース:がん対策に関する世論調査】)。

スポンサードリンク


今調査は2013年1月17日から27日にかけて、層化2段無作為抽出法によって選ばれた全国20歳以上の日本国籍を持つ人に対して、調査員による個別面接聴取方式によって行われたもので、有効回答数は1883人。男女比は850対1033、世代構成比は20代153人・30代260人・40代300人・50代322人・60代424人・70歳以上424人。

がんも他の病気同様、治療をはじめる時期が遅いと治療が間に合わない場合が少なくない。そしてもちろん「早期発見・早期治療」が大切なのも他の疾病と同じ。ところが日本におけるがん検診の受診率はお世辞にも高くない。対象のがんにもよるが、約2-3割程度に留まっている。

↑ 性別にみたがん検診を受診した者の割合(2010年)(過去1年間、但し子宮がんと乳がんは過去2年間)(再録)
↑ 性別にみたがん検診を受診した者の割合(2010年)(過去1年間、但し子宮がんと乳がんは過去2年間)(再録)

それではなぜがん検診の受診率が低いのか。(回答者個人の感想・事由も多分に含めた)社会的な一般論としての理由を聞いたところ、もっとも多くの人が同意を示したのは「受診する時間が無い」だった。47.4%の人が時間の無さを検診しない理由として挙げている。

↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)
↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)

がん検診は上記グラフにある通り、部位毎に受ける必要がある。また、医療機関によっては一度に複数部位の検診はできず、時間・場所を変えて複数回・複数日の検診が必要な場合もある。例え検診の時間そのものが待機時間も含め数時間で済むとしても、各検査ごとに平日仕事をしている人には半日・一日の休みが必要になる。当然「受ける時間が無い」と回答する人が多いのも納得がいく。

次いで多いのは「がんであると分かるのが怖いから」。これが36.2%。多分に因果関係の誤認によるもので、「検診したからがんが発生する」のではなく「元々発症していた人が検査で確認できる」に過ぎない。放っておけば勝手に治癒する事例は無いに等しく、いわば虫歯と同じようなもの。単なる怖さからの逃げは、現実逃避でしかないと認識すべきだろう。

一方、費用負担を重荷に考える人も少なくない。こちらが35.4%。これは医療制度(例えば年一回の公的な医療検査)を活用することで、最低限の金額に留めることができる。さらに「健康に自信があるので大丈夫」とする意見も34.5%おり、費用負担と合わせ「がん」に対する認識の甘さがうかがえる。

これを男女別に見ると、がん検診そのものの認識など一部項目を除き、女性の回答率が高いのが確認できる。

↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)(男女別)
↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)(男女別)

同調査では「がんに対する恐れ」も調べているが、男性より女性の方が「がんが怖い」と考えている人は多く、恐れる理由も多種多様に及ぶ。しかしながらがん検診をしない理由も男性より多く認識しており、やや不思議な感はある。あるいは受けない理由が多いからこそ実際の受診もなかなかできず、結果としてがんに対する恐れも高まっているのかもしれない。

世代別に見ると、各世代の思惑が見えてくる。

↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)(世代別)
↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)(世代別)

時間の無さは圧倒的に若年層が高回答率。高齢者には時間の余裕があり、検診も苦にならない。他方「がんの認識が怖い」は歳を経るほど高くなる。一方、自分の健康に自信があるとの回答は世代による差異がない。

経済的な負担、さらにはがん検診そのものの認識の無さは若年層に多い。これらは啓蒙活動と支援制度などの法整備で改善が期待できる。また時間が無い件も、法定健康診断にがん検診を組み込むことなどの工夫を凝らす手立てもある。がんの治療は何よりも「がん」そのものを見つけることが最重要課題となる。万一のことを考えれば、今件の上位回答におけるマイナス部分など、比較にもならないほどの小ささでしかない。面倒くさがらずに、定期的な検診を願いたいところだ。


■関連記事:
【がん検診の動向をグラフ化してみる(2010年分反映版)】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー