がんが怖い人3/4、理由は「死に至る場合があるから」

2013/03/24 15:00

内閣府大臣官房政府広報室は2013年3月18日、がん対策に関する世論調査の結果を発表した。それによると「がん」を怖いと思っている人は全体の約3/4に達していることが分かった。理由としては「死に至る場合があるから」がもっとも多く、次いで「がん自身や治療により、痛みなどの症状が出る場合がある」の他、「治療費が高額になる場合がある」など費用の面での怖さを覚える人も多数に及んでいることが確認されている(【発表リリース:がん対策に関する世論調査】)。

スポンサードリンク


今調査は2013年1月17日から27日にかけて、層化2段無作為抽出法によって選ばれた全国20歳以上の日本国籍を持つ人に対して、調査員による個別面接聴取方式によって行われたもので、有効回答数は1883人。男女比は850対1033、世代構成比は20代153人・30代260人・40代300人・50代322人・60代424人・70歳以上424人。

がん(悪性新物質などと呼ばれることもある)は他の傷病、例えば心疾患や脳血管疾患、肺炎などのような、治癒方法の発見、治療法の改善をはじめとした医学の進歩に伴い致死率が減少し対処法が進む疾患と比べ、相対的に研究進捗の歩みが遅い。結果としてがんの発症率、そしてがんを起因とする死亡率は増加の一途をたどっている。

↑ 2010年人口動態統計月報年計における死因順位(人口10万人対、総数)(再録)
↑ 2010年人口動態統計月報年計における死因順位(人口10万人対、総数)。再録。

この「がん」について、率直に怖いと思うか否かを、5つの選択肢から1つ選んでもらったところ、「怖いと思う」「どちらかといえば怖いと思う」と「怖い派」だった人は76.7%に達した。多くの人ががんそのものに恐怖を覚えていることになる。

↑ がんに対する印象
↑ がんに対する印象

ではなぜがんを怖いと思うのだろうか。怖いと感じている人にその理由を、選択肢の中から複数選んでもらったところ、もっとも多くの人が同意を示したのは「がんで死に至る場合があるから」だった。がんが怖いと感じている人のうち75.1%の人は「死ぬかもしれないので怖い」と考えている。

↑ がんをこわいと思う理由の認識(がんに対する印象について、「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者に、複数回答)
↑ がんをこわいと思う理由の認識(がんに対する印象について、「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者に、複数回答)

がんも他の病気同様、治療をはじめる時期が遅いと治療が間に合わない場合がある。見方を変えれば早期発見と治療により生存確率は随分と向上するのだが、自覚症状が他の病気と類似している場合も多く、素人には特定が難しい。そしてがん検診の受診率はさほど高くない。

↑ 性別にみたがん検診を受診した者の割合(2010年)(過去1年間、但し子宮がんと乳がんは過去2年間)(再録)
↑ 性別にみたがん検診を受診した者の割合(2010年)(過去1年間、但し子宮がんと乳がんは過去2年間)(再録)

次いで多いのは「がんそのものや治療により、痛みなどの症状が出る場合があるから」。これが50.5%。

第2位まではがんという病気そのものに対する恐れが占めているが、第3位は間接的な理由「がんの治療が高額になる場合がある」がついている。がん治療はまだまだ開発途上にあり、公的保険が利かない治療法も多い。当然、高額の出費を強いられることもある。さらに第4位には「がんに対する治療・療養には、家族や親しい友人などの協力が必要になる場合があるから」と、ハードな療養に対する周辺への負担を懸念する声もある。

これを男女別に見ると、概して女性の方が回答率が高い。多方面でがんへの恐れを抱いていることが分かる。

↑ がんをこわいと思う理由の認識(がんに対する印象について、「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者に、複数回答)(男女別)
↑ がんをこわいと思う理由の認識(がんに対する印象について、「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者に、複数回答)(男女別)

特に「痛みなどの症状」「治療費」の点で、男性よりも高い値を示しているのが印象的。一方で「仕事を長期間休む、辞めざるを得ない」の点では男性の方が高いが、これは男性の正規社員としての就労率が高いからに他ならない。

世代別に見ると概して若年層-中堅層の回答率が高い。

↑ がんをこわいと思う理由の認識(がんに対する印象について、「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者に、複数回答)(世代別)
↑ がんをこわいと思う理由の認識(がんに対する印象について、「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者に、複数回答)(世代別)

死への恐れは中堅層までほぼ一定の高さを示しているが、高齢層になるとやや下がる。老衰など他の死因によるリスクも積み重なってくるからだろう。他の項目は概して若年層よりむしろ中堅層の方が高めで、理由も理解できるものだが(例えば仕事の長期間休職などは、働き盛りで休職によるリスクが高まる)、後遺症や周囲の人への負担は高齢者も高い懸念を抱いている。

人の恐れは既知のものに対する場合以外に、未知のものに対する不安から生じるものがある。長期療養による休職などは仕方ないが、死のリスクや医療機関の確認は、自ら調べ、検査を定期的に行い発見をすることで、概して減らすことができる(検診で発見しない限り、治療ができないのはがんに限った話では無い)。定期的な健康診断の中に、がん検診を含めることを是非ともお勧めしたい。


■関連記事:
【主要死因別に見た死亡率をグラフ化してみる(1899年以降版)】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー