新聞を読んでいる人って、1日何分ぐらい目を通してるの?(2016年)(最新)

2016/11/04 05:19

紙媒体としての新聞の閲読率は減退中で、財団法人新聞通信調査会が2016年10月24日に発表したメディアに関する全国世論調査によれば、直近の2016年度においては頻度を問わずに朝刊を読んでいる人は70.4%・夕刊は23.7%、毎日読む人に限るとそれぞれ50.2%・15.3%に留まっている。さらにいえばこれら「新聞を読んでいる人」に関しては、どれだけの時間を費やしているかは一切考慮されていない。今回はこの「新聞閲読者における閲読時間」を詳しく見ていくことにする(【発表リリース:2016年メディアに関する世論調査結果】)。

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新聞を読む時間は平均27分、シニア層は40分近く


今調査の調査要綱は先行記事【じわりと下がるメディアへの信頼度、震災以降加速化か(2016年)(最新)】を参照のこと。

冒頭にある通り、今調査対象母集団では朝刊の毎日閲読率は5割強、頻度は問わずにとにかく読んでいる人は7割強。夕刊だとそれぞれ1/4近く、1/7程度となる(購読では無く閲読なので、回答者自身が新聞を購入していなくとも読んでいれば該当することに注意)。このうちとにかく読んでいる人(朝夕刊を合わせると全体の70.9%)に対し、その新聞の1日あたりの閲読時間を尋ね、その平均値を算出した結果が次のグラフ。

↑ 新聞の一日の平均閲読時間(属性別、朝刊や夕刊を読む人限定、分)
↑ 新聞の一日の平均閲読時間(属性別、朝刊や夕刊を読む人限定、分)

平均は30分足らず。男女別では男性の方が4分ほど長く、年齢階層別ではほぼきれいな形で歳を経るに連れて長くなる傾向がある。

前年度からの変化を見ると、1年では大きな変化は起きていないようだが、例外的に30代における減少ぶりが目に留まる。18-19歳の前年度における大きな下げ方と同じようでもあり、イレギュラー的な減少だとは思われるが、下げたことには違いない。他方20代に限ればこの4年ではむしろ増加しているようにすら見えるのが興味深い。もっとも20代は30代同様に新聞を読む人自身が大きく減っていることから、熟読する人のみが閲読者として残り、結果として平均値が上昇している(より厳選されていると表現すべきか)のかもしれない。

ざっとしか読まない人も多い


今調査項目は一日の閲読時間に関して、「数分」「10分くらい」「20分くらい」「30分くらい」「40分くらい」「1時間くらい」「1時間半以上」の選択肢から1つ、自分の実情に近いものを選んでもらっている。その回答状況から平均値を出したわけだが、選択肢のうち「数分」、つまり実質的にはざっと読み、あるいは自分の好みの部分にしか目を通していない(例えばテレビ欄のみ、四コマ漫画のみ、一面のみ、株式市況面のみなど)人の割合を示したのが次のグラフ。

↑ 新聞の一日の平均閲読時間(属性別、朝刊や夕刊を読む人限定、「数分」の人の割合)
↑ 新聞の一日の平均閲読時間(属性別、朝刊や夕刊を読む人限定、「数分」の人の割合)

全体では1割強だが、男性よりは女性の方がやや多く、そして当然ながら閲読時間が短い若年層の方が「数分」の人は多い。10代では新聞を読む人の半数が、1日あたり数分しか目を通していないと答えている。興味をそそる部分が無いのが主要因だろうが、若年層の新聞閲読層の実情は、ごく一部しか目を通していない現実を知っておくべきだろう。

逆にシニア層では「数分」の人はほとんどいない。50代以上は新聞を読む人の1割強、70代以上では4.0%に留まっている。ちなみに70代以上で1日1時間半以上読む人は1割強。10代では40分以上読む人は皆無との結果が出ている。

7年間にこれだけ減った閲読時間


今調査では毎年ほぼ同じ条件で今項目に関する問いも実施している。単純比較できる最古のデータが2009年度分なので、それと比較した上で7年間の動きを見ていくことにする。

まずは平均閲読時間の変化。18-19歳と70代以上がプラス値、つまり増えている以外は大よそマイナス、すなわち平均閲読時間が減少していることになる。

↑ 新聞の一日の平均閲読時間(2009年度→2016年度、属性別、朝刊や夕刊を読む人限定、分)
↑ 新聞の一日の平均閲読時間(2009年度→2016年度、属性別、朝刊や夕刊を読む人限定、分)

大よそ数分ずつ平均閲読時間は減っている。元々閲読時間が長いこともあり、歳上ほど減る分数も大きくなるが、18-19歳と70歳以上は逆に伸びているのが興味深い。もっとも前者は閲読者自身が少数であることから、多分に誤差による可能性も否定できない。ともあれ多くの属性で、頻度だけでなく新聞への注力時間の点でも、新聞離れは起きているようだ。

またざっと読みと判断できる「1日の閲読時間は数分」との回答率は増加しており、新聞は読むものの、注力して隅々まで読み通す人が減っている、つまみ食い的な読み方をしている人が増えているのが分かる。

↑ 新聞の一日の平均閲読時間(2009年度→2016年度、属性別、朝刊や夕刊を読む人限定、「数分」の人の割合、ppt)
↑ 新聞の一日の平均閲読時間(2009年度→2016年度、属性別、朝刊や夕刊を読む人限定、「数分」の人の割合、ppt)

元々閲読時間が少ない20代以下は増えようも無いが、中堅層となる30-40代で大きな増加を起こしているのが大いに気になる動きではある。また、閲読時間の長い女性の方が「ざっと見」的な読みをしている人も増加しており、今後男女の閲読時間数の差異が縮まる可能性の示唆とも読み取れよう。



新聞を読む理由は人それぞれで、その理由を充足するのに必要な時間もケースバイケース。株式市況面の注目銘柄を読むだけなら10分もかからないし、地元面をじっくりと読み通すのなら数十分、社会面や政治面、経済面まで含めて読み通し、世の中のあれこれを把握するのなら一時間でも終わるまい。

その閲読時間が大よそ減っている現状からは、新聞で必要とされている情報が減少している実情が推測される。情報の流れ方そのものが加速化しているのも理由として挙げられるが、情報取得ツールとしての新聞の立ち位置が、相対的に少しずつ変化している現状もまた、閲読時間の変化に影響を与えているのかもしれない。


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