新聞不調続く、テレビも軟調、ネットは相変わらず堅調(電通・博報堂売上:2014年11月分)

2014/12/10 11:00

博報堂DYホールディングスは2014年12月9日付で、同社グループ主要3社(博報堂、大広、読売広告社)の2014年11月分となる売上高速報を公開した。一方電通では同日の同年12月5日付で、同じく同社11月分の単体売上高を公開している。これで日本国内の二大広告代理店における2014年11月次の売上データが相出揃うこととなった。今回は両社の主要種目別売上高の前年同月比、そして各種指標を過去のデータなどを基に当サイト側で独自に算出し、その値から各種広告売上動向、さらには広告業界全体の動きを確認していく。

スポンサードリンク


新聞とテレビの不調、雑誌は結構イケてるのか?


データ取得元の詳細な情報、各項目における算出上の留意事項、さらに今件カテゴリーの過去記事は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】に収録・記載している。必要な場合はそちらで確認のこと。

まずは両社の主要項目ごとの前年同月比。

↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2014年11月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2014年11月分種目別売上高前年同月比

先月「4大従来型メディアの中では雑誌が復調しつつある(堅調では無く)」と言及したが、その流れは今月も継続中。博報堂ではマイナス1.3%と落ち込んだがその度合いも最小限に留まっており、電通はプラス11.0%と大幅な伸び。複数か月に渡る背伸びぶりは評価に値する。ただし「堅調」ではなく「復調」な理由も先月と同じで、前年同月における前年同月比がそれぞれマイナス17.5%・マイナス8.7%だったことから、反動の域を出ていないというもの。要はリバウンドの類が多分にある。実際、2年前比を試算すると、電通はプラス5.6%とプラス圏にあるが、博報堂はマイナス2.2%と実質的に落ち込んでいるのが分かる。

リバウンドを言及するのなら、今月大きな下げ幅を示した新聞はどうなのか。同じく2年前比を計算すると電通はプラス5.8%、博報堂はマイナス10.6%。両社で動きが大きく異なるため判断は難しい。とはいえ博報堂は前年同月もマイナス値を示していたことから、反動の類では無く単純に下落中ということになる。

インターネットは堅調。特に電通の伸びが著しい。前年同月も2ケタ台のプラスを示しており、2年前比ではプラス39.5%という驚異的な成長ぶりを示している(もっとも博報堂は2年前比ではプラス54.9%と、さらなる伸びっぷりが確認できる)。

先月も指摘したが、具体的事案がつかめない「その他」項目が両社とも堅調で、広告代理店の業務が複雑・多様化し、既存の枠組みでは掌握できないタイプの作業・プロモーションが増え、しかも成長中であることが分かる。金額は今回月の単月で電通が100億円強、博報堂も10億円近く。電通ではインターネットや新聞すら追い越す額に達していることから、新しい仕切り分けが求められよう。

↑ 参考:電通2014年11月度単体売上(前々年同月比)
↑ 参考:電通2014年11月度単体売上(前々年同月比)

電通で前々年同月比を試算したところ、インタラクティブメディア(インターネット)の竹の子的な飛躍感に加え、意外にも新聞や雑誌などがプラス領域にあるのが目に留まる。11月単月の状況と見るのが無難ではあるが、注目に値する動きには違いない。

電通の各年11月における総額の過去からの推移を確認


次のグラフは電通の今世紀(2001年以降)における、今回月も含めた各年11月の広告売上総額推移を抽出し、その動向を折れ線グラフで示したもの。同じ月の経年売り上げ推移であることから、季節属性(季節や月により広告出稿の大小が生じること)にとらわれることなく、大雑把なものではあるが年単位での売り上げ推移、そして広告市場の情勢を推し量れるものとなっている。

↑ 電通月次売上総額推移(各年11月、億円)(-2014年)
↑ 電通月次売上総額推移(各年11月、億円)(-2014年)

年ベースでの特定月の動向は、時としてイレギュラー要素による大きな特異点が生じることもあるが、大よそ社会全体の景気動向を反映するのが興味深い。今回では金融危機ぼっ発前の堅調さとそれ以降の軟調ぶり、リーマンショックを経て復調しつつあるところに震災と極度の円高不況、そしてその後の回復ぶりが如実に表れる形となっている。2011年11月より2012年11月の方が金額が落ち込んでいるのがやや意外なところ。同年12月には総選挙が行われたため、それに備えてのセーブの動きでもあったのだろうか(あるいは円高の影響によるのかもしれないが)。

今件記事では日本の大手広告代理店として代表格となる電通と博報堂2社の動向を精査している。両社は同じ規模では無く、売上・取扱広告の取扱範囲には小さからぬ違いがある。それぞれの社内の動向を併記していることから、両社の「前年同月比」がそのまま「金額そのものの差異」のように誤読する事案が時折生じる。

そこで次に今回取り上げている各項目における具体的金額を提示する。インターネット広告の伸び方は言葉通り「筆頭成長株」に違いは無いが、現時点ではその額面はまだまだ全体から見れば少額に過ぎず、(電通や博報堂に限れば)新聞にも追いつかず、ましてやテレビは雲の上の存在的な状況であることが分かる。

↑ 電通・博報堂DYHDの2014年11月における部門別売上高(億円)
↑ 電通・博報堂DYHDの2014年11月における部門別売上高(億円)

同じ分野でも両社では得手不得手がある。例えばインターネット部門など複数の部門では2社の差異は大よそ2倍程度に留まり、ラジオに至ってはほぼ双肩を並べる状態だが、「その他」では10倍以上の差が出ている。



インターネット広告の成長ぶりは相変わらずだが、金額面では上乗せできる値はそれほど大きなものでは無く、全体額としての上昇はむしろ4大従来型メディアやインターネットでは無く、その他従来型、中でも「その他」部門によるところが大きくなっている。そして何か大きな社会的イベントがあると、この「その他」はとりわけ大きく成長する傾向が強まっているのも事実。現状では広告動向を推し量るとしても、「従来のスタイル以外の広告プロモーションが成長している」以上の言及が難しくなることから、もう少し細分化が望まれる。

また、今回月から全項目で両社の具体的金額をグラフとして提示したが、やはり新聞の売上がインターネットを上回る形となった。同じような広告関連の売り上げを定点観測している経産相の広告費動向では、すでにインターネットが新聞を追い抜いている状況を合わせ見ると、電通・博報堂以外の代理店では、インターネット広告の切り盛りの度合いが大きいことが容易に想像できる。また、インターネット広告専門の代理店も小さからぬ影響を及ぼしているのだろう。

12月は14日に衆議院議員総選挙が実施される。これに合わせ選挙関連の広告が多分に投入されることから、前年同月比も大きな動きが容易に想像できる。似たような状況だった2012年12月分のデータをかえりみると、新聞と「その他」が大きく伸びている。今回もまた、似たような様相を呈するのだろうか。


■関連記事:
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ)(上)…4マス+ネット動向編】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ)(下)…ネット以外動向概況編】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー