現状・先行き共にDIは水準値以下を継続、燃料費・電気代高騰を含む物価上昇への懸念強まる…2014年11月景気ウォッチャー調査は現状下落・先行き下落

2014/12/09 11:00

内閣府は2014年12月8日付で2014年11月時点となる景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によれば現状判断DIは先月比で下落して41.5となり、水準値の50.0を下回る状態を継続することとなった。先行き判断DIは先月から続いて6か月連続で下落して44.0となり、水準値の50を下回る結果に終わった。結果として、現状下落・先行き下落の傾向となり、軟調さから抜け出すことはかなわなかった。基調判断は前月から変更され「景気は、このところ回復に弱さがみられる。先行きについては、物価上昇への懸念等がみられる」との文言が使われ、物価上昇が景況感の足を引っ張っている状況を反映している形となった(【平成26年11月調査(平成26年12月8日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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現状指数は下落で上昇項目は1つのみ、先行き指数は全項目が下落


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧や用語解説ページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

2014年11月分の調査結果はまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前月比マイナス2.5ポイントの41.5。
 →「やや良くなっている」「変わらない」が減り、「やや悪くなっている」「悪くなっている」が増加。
 →家計は小売り関係の下落で、企業は非製造が弱含みで低下。雇用は一部で増加の動きが止まったことから低下。

・先行き判断DIは先月比で2.6ポイントマイナスの44.0。
 →エネルギー価格などの上昇も含めた物価上昇への懸念などから、全部門でマイナス影響となり、低下。

4月の消費税率引き上げの際に発生した、3月までの駆け込み需要の反動、そして税率上昇に伴う消費マインドの直接的・表面上の低下は5月頃から鎮静化の動きを示し、7月までにはほぼ収束している。そのおかげで7月においては現状DIは上昇したものの、8月では天候不順が大きく足を引っ張る形となり、低下。9月以降はその余韻を残しつつ、エネルギー価格をはじめとした輸入原材料の高騰から生じる物価上昇への懸念と消費マインドの深層部分における低迷が足かせとなり、停滞・下落を続けている。

先行きDIにおいては先月同様に燃料、電気料金の高騰に対する懸念が強く、それに加えて原材料費の上昇が足を引っ張っている。先々月はガソリン代、先月は加えて電気代、そして今月はそれらも含めた諸原材料と生成される商品の価格上昇への懸念が言及されDI値に影響を与えており、じわりと景況感を削っている。

↑ 景気の現状判断DI(全体)推移
↑ 景気の現状判断DI(全体)推移

↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移
↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移

現状判断DIは雇用のみ下落


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向について、その状況を確認していく。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2014年11月)
↑ 景気の現状判断DI(-2014年11月)

今回月は消費税率改定後8か月目の月。小売店側から見た反動に伴う影響に関する文言はすでに消え、直接の駆け込み特需による反動の影響が無くなるのは、その文言が消えたタイミングの半年経過が目安だったことがことが分かる。一方で深層部分で影響を及ぼし続けているマイナスの景況感を回復させるに必要となる材料が無く、低迷感は継続。さらにエネルギーコストをはじめとする物価上昇を起因とする消費心理の減退が上乗せされ、景況感はさらに押し下げられているのが現状。

また今件調査の回答者は一般消費者自身サイドの考えではないため言及もそれほど多くないが、消費税率の再引上げの延期可能性が高まったことへの好感を表す意見は多いものの、その延期の話が持ち上がったことで改めて消費税に関する心境が掘り起こされ、消費性向を押しとどめる気配があちこちで確認できる。

今回月は雇用関連の指数も前月から続き前月比マイナスとなり、水準値(50)以上の項目は皆無という状態に陥ってしまった。前月比でプラスを示したのは飲食関連のみで、しかも先月大きく下がったことに対する反動によるところが大きい。物価上昇に伴う心境低迷は予想できたものの、消費税の引き上げが結果としてそれに拍車・増幅させた感は否めない。

景気の先行き判断DIは全項目で前月比マイナス。

↑ 景気の先行き判断DI(-2014年11月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2014年11月)

最大の下げ幅を示したのは飲食関連でマイナス6.9ポイント、次いで住宅関連のマイナス3.2ポイント。順番の違いはあれど、先月から続きこの2項目が下げトレンドの先頭に立っている。住宅は消費税率引上げ直前までの特需の反動、さらに取引額面の大きさから税率に対する反応が出やすいのが要因。飲食関連は食生活における消費性向の変化にさらされている一部外食産業の影響が大きく出ていると見て良い。

なお現状に続き先行きDIでも、雇用関連指数が水準値(50)を切り、50を上回る項目は皆無となった。また先月から続き全般的に家計に身近な項目(BtoC)での下げ幅が大きく、消費者の消費減退を予兆させる。

ガソリン代と電気料金の上昇、それらを含む物価上昇の圧力


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたって用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国での統括的な内容、そして各地域ごとに細分化した上で公開している。その中から、世間一般で一番身近な項目となる「家計(現状・全国)」そして「家計(先行き・全国)」の事例を抽出し、その内容についてチェックを入れてみる。

■現状
・円安が続き、外国人向けの売上が前月以上に増加している。免税売上は一般商品だけでも前年の3倍となっており、消費税増税後はマイナス基調が続いている既存客売上の落ち込みをカバーし、今月も増収の見通しである(百貨店)。
・売上の中核を占める生鮮関連は、鮮魚・精肉は堅調だが、夏場から続く青果の不調が一向に改善されない。気温の低下が進まず、冬物衣料も動きが鈍いため、非食品売場の動向も良くない(スーパー)。
・来客数が減り商談件数も減っている。特に女性客は物価が上がっているという感覚が強く車に対する出費には抵抗感を示し、商談でも核心にはなかなか入れない(乗用車販売店)。
・国内旅行はやや前年を上回って動いているが、海外旅行の予約受付が非常に悪い。円安による割高感が強まっているようである。また、欧州方面ではエボラ出血熱への不安も聞かれるなど、風評被害もみられる(旅行代理店)。

■先行き
・消費税の再増税が見送られ、客が少し落ち着いて、年末に買物することを期待している(商店街)。
・一部飲食業では、12月に衆議院選挙で売上低下を懸念する話がある。しかし、今後2-3か月間は、現状と大きくは変わらないという見方が大半である。世の中の給与は若干増加しているが、円安、ドル高による物価の値上がりなどで、人々の財布のひもはまだ固く、必要なもの以外の購入は控える傾向にある(商店街)。
・収入が変わらないなか、電気料金を始めとした諸物価が値上がり傾向にあることから、冬に向けて消費が冷え込むことになる(商店街)。
・12月に衆議院選挙が実施されることになったため、12月の景気が不透明になった。特にお歳暮ギフト等には影響が出てくると推測される(スーパー)。
・消費税率10%への引上げが延期されたとはいえ、マインド的には非常に低い状況である。また、冬場に入り灯油などの支出が増えるため更に悪くなるとみている(スーパー)。

エネルギーコストの増大に伴う利益の減退や消費性向の鈍化はこの数か月続く状況ではあるが、それに加えて夏の冷夏から続く気象状況が少なからず消費に影響を与えていることが現時点でも確認できるなど、驚かされる面もある。冬の気温低下も平年より緩やかとの指摘もあり、気象庁で「確率的には半々」との予想が出されているエルニーニョ現象が生じている可能性を想起させる。

年末に選挙が決まったことに伴う影響のコメントも随所で見られるが、2012年12月の選挙時同様、小売り関係は概してマイナスの要因となるようで、それに対する不安も大きい。そして為替レートの変動や原材料価格の増加に伴う物価上昇に対し、消費にブレーキがかかるとの話があちこちで見受けられ、これが指標を押し下げていることが分かる。為替に関しては「円安により、海外生産していた取引先から受託生産の話が入るようになった」との言及もあり、プラスの効果が出始めている様子もあるが、消費面でのマイナス影響が先に出ている感は否めない。

企業動向関連を中心にガソリン代をはじめとした燃料費の高騰や電気代の引上げに伴う悲鳴は相変わらず。燃料費の価格上昇は輸送費のアップにつながり、それは流通される商品すべてに価格上昇のリスクをもたらすことになる。キーワード抽出を行うと「燃料」で3か所、「ガソリン」はゼロか所だったが、「電気」は6か所確認でき、少なからぬ言及が成されている(例えば「付き合いのある事業者の多くが電気料金の値上げに頭を悩ましている」など)。社会全体を動かすための血液に相当する、電気や燃料の価格上昇が、景気全体の足を少しずつ、しかし確実に引っ張っているのが明確化している。また燃料費に限ればこれから冬期に向かうことから、特に北部地方における懸念が高まりを見せつつある(「灯油」は2か所で言及されている)。

燃料価格の高騰は原油価格によるもので、海外要因が大きい。一方電気料金は一部に海外からの輸入資源価格の上昇があるが、多分に震災以降の発電様式のアンバランスな状態を起因としており、大部分の原因は国内問題によるもの。早期の改善が自らの手で行えうるのは後者であり、早急な対応が求められる。

家電量販店やコンビニの現状下落著しく…詳細精査


2014年4月分の公開値を基に、消費税率動向について細かい部門別に別途記事として精査をした【景気ウォッチャーの指標動向から消費税率改定後の景気行き先を推し量ってみる】の手法を用い、簡略的にではあるがしばらく継続的に現状・先行きDIの詳細動向を確認している。今回もその例にならい、11月分とその前月の10月分との差異、つまり一か月分の変化を詳しく見ていくことにする。まずは現状DIについて。

↑ 2014年10月から11月における現状DIの変動値
↑ 2014年10月から11月における現状DIの変動値

大まかな区分同様、ほとんどの項目が下げている。唯一挙げた飲食関係はひと区切りしかないので精査のしようが無いが、それ以外では自動車、レジャー施設が上昇。ただしレジャー以外は前月に大きく下げたことの反動レベルでしかなく、実質的にはほとんどの領域で下落していると見て良い。特に上記で言及の通り、小売り関連の中でも消費者が直接やりとりする機会が大きい項目において、下げ幅が大きい様子が目に留まる。これは先月から続く現象で、消費者の消費性向の減退が表れていると見ることができる。

↑ 2014年10月から11月における先行きDIの変動値
↑ 2014年10月から11月における先行きDIの変動値

↑ 2014年11月における先行きDI
↑ 2014年11月における先行きDI

現状DIと比べると先行きDIは小売部門ではいくぶん大人しめだが、その分サービス部門での下げ幅が目立つ。また、飲食関連の下げ幅がマイナス6.9と際立っているが、これは外食産業の月次報告の精査の限りでは、世情全体としての景況感の後退懸念以上に、食生活のシフトに伴う現状に外食産業の一部が対応しきれていない結果によるところが大きいと見た方が、道理は通る。



複数の報道で伝えられている通り、今年の8月はエルニーニョ現象による冷夏こそ避けられたものの、台風や前線の影響である意味冷夏以上の悪天候を迎えることとなり、特に西日本では日照時間の短さが今後の農作物の育成動向に大きな影を落としかねないとして、不安視されるものとなっている。さらに10月もイレギュラー的な台風の相次ぐ上陸で、消費の足が引っ張られた感は強い。その上、上記コメントなどにもある通り、冬の寒さも例年より緩やかになる気配すらあり、季節感に伴う消費がこの半年の間、継続的に足を引っ張られてきた雰囲気がある(気象庁のエルニーニョ現象に関する定点観測レポートでも、場合によっては夏から現象が生じていたとの宣言を行うかもしれないと言及している)。

一方、天候条件をはるかに超える大きな影響を与えているのが、燃料費や電気代のような、インフラに直結するコストの増加、そしてそれを含めた物価の上昇。幅広い方向で、特に消費者の消費マインドにマイナスの影響を及ぼし、春先の消費税引き上げの影響との間で相乗効果的な増幅をもたらしている。

燃料費の高騰は海外要因が大きいため、対策は打ちにくい(国内油田の開発を即時行うわけにもいくまい)。もっとも昨今ではOPECなどの思惑もあり、原油価格が下落傾向にあるのが幸いなところ。一方、電気料金周りは震災後の悪癖を引き継いだ現況が大きく影響しており、理性と知性をもってすれば必ず解決しえる問題に違いない。物価上昇に関しては為替、国際的な資源高、人材不足に伴う運用コストの上昇、そしてエネルギーコストの積み増しなど複数要因によるところが大きく、今後も尾を引きそう。

これらの問題はいずれも1か月で解決するような話でないのも事実。雇用統計や給与関連のデータを精査するに、実入りの面でも情勢の改善が見られるのには違いないが、支出面が先行しているのが現状。そのアンバランス感を少しでも解消すべく、何らかの浪費を伴わないポジティブな、あるいはネガティブ感を打ち消す材料が欲しいところではあるのだが。


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