下落する新聞への信頼度、その理由は(最新)

2018/11/30 05:20

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2018-1123情報を伝える媒体としてのメディアに対する信頼度は、欧米諸国だけで無く日本においても漸減する傾向にあることは、既に多数の調査結果から明らかにされている。先に【じわりと下がるメディアへの信頼度、ようやく下げ止まりか(最新)】で伝えた通り、財団法人新聞通信調査会が発表したメディアに関する全国世論調査の2018年度版でも、その実態は明確な数字の形として確認できた。それではこの1年間で各メディアへの信頼感は、どのような変化を見せているのだろうか。その内情、特に新聞に関する動向を見ていくことにするる(【発表リリース:第11回メディアに関する世論調査結果】)。

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全メディアで「信頼下落」>>「信頼上昇」


今調査の調査要綱は先行記事「じわりと下がるメディアへの信頼度、ようやく下げ止まりか(最新)」を参照のこと。その先行記事の通り、主要情報配信メディアに対する信頼度は漸減する傾向にある。NHKや新聞など一部メディアに関してはここ1、2年で下げ止まった感があるが、他のメディア同様に中長期的に見れば減少傾向にあることは否定できない。

↑ 各メディアの信頼度(100点満点)(再録)
↑ 各メディアの信頼度(100点満点)(再録)

そこで直近の2018年度において、この1年間で各メディアに対して信頼感は変化したのか否かを尋ねた結果が次のグラフ。直近5年分の結果を併せて生成している。また、少々冗長になった感もあるため、「高くなった」から「低くなった」の値を引いたDI値を算出し、その値のみの動きもグラフ化した。プラスならば上昇と考えた人が多く、マイナスならば下落と考えた人が多い。それぞれの方向の絶対値が大きいほど、その思いが強いことになる。

↑ 各メディアへの信頼感は変化したか(前年度と比べて)
↑ 各メディアへの信頼感は変化したか(前年度と比べて)

↑ 各メディアへの信頼感DI(高くなった−低くなった)
↑ 各メディアへの信頼感DI(高くなった−低くなった)

信頼感の上下度合いは回答者それぞれで一概には言えないが、おおよそ「高くなった」が「低くなった」より多ければ信頼度は増加し(DI値はプラス)、逆なら減少(DI値はマイナス)と見ることができる。その観点で結果をチェックすると、全メディアで信頼度は減少していることになる。何しろDI値のグラフでゼロを超える値が存在しないのだから。

メディア毎の動向を見ると、特に民放テレビと雑誌において、「低くなった」が「高くなった」を大きく上回る結果が出ている。信頼感が損なわれた、失望した人が多かった次第である。直近年度では雑誌のDI値がマイナス11.7%、民放テレビがマイナス9.1%との結果が出ており、権威が大きく損なわれていることが確認できる。またこの両メディアは少なくともこの5年間、大きなマイナス幅を計上し続けており、信頼感の著しい下落ぶりが継続していることがうかがえる。

NHKテレビでは2015年度に大きな下落の回答率を計上し、DI値も大きなマイナス幅となった。これは例えば2015年4月末における報道番組「クローズアップ現代」に関するやらせ問題で、総務省からの行政指導文書の受け取りを一時的ながらもNHK側が拒否したことをはじめ、国内外の事案に係わる誤報や不祥事的な報道や、その事案に対する姿勢への問題がいくつか想起される。その後はいくぶんながらもDI値のマイナス幅を縮小しているが、それ以前の信頼感の回復までにはいまだに至っていないことが分かる(そもそもDI値はマイナスのままなので、回復も何もあったものでは無いのだが)。

新聞のDI値におけるマイナス幅は小幅だがマイナス状態は継続中。2014年度の大きなマイナス幅は、いうまでも無く朝日新聞における誤報・捏造・誤報に対する再精査への意図的な無作為による放置の数々が取りざたされたことである。直接事案による不信感は時の流れとともに薄れつつあるが、一向に改善しない体質に、信頼感のDI値をプラスに押し上げるまでの環境は期待できそうにも無い。

インターネットにおける2017年度のDI値の大きなマイナス幅は恐らく「フェイクニュース」報道によるものだろう。

新聞ってどうよ? そしてその理由は??


直近では新聞の信頼感が増した人は4.8%、下落した人は7.7%との結果が出ている。それぞれの回答者に、なぜそのような選択をした・思ったのかを聞いた結果が次のグラフ。

↑ 新聞の信頼感が高くなった理由(該当回答者、択一)
↑ 新聞の信頼感が高くなった理由(該当回答者、択一)

↑ 新聞の信頼感が低くなった理由(該当回答者、択一)
↑ 新聞の信頼感が低くなった理由(該当回答者、択一)

新聞をより信頼するようになった人の理由だが、公正・中立さや、情報の正確さ、根拠に基づく情報を報道したことへの評価が主なものとなっている。ドラマや映画で新聞社に勤める主人公が語りそうな「政府や財界に迎合しない」との意見は直近年度では10.7%。

前年度との比較では、情報の正確さが大きく減り、公正・中立さと順位を入れ替えている。少なくとも信頼感が高くなった人としては、新聞が公正・中立さに努めている姿勢を評価し、これまでより一層信頼をするようになった人の割合が増えていることになる。また政府や財界に迎合しないとの意見も大きく増えているのが注目に値する。

他方信頼が損なわれたと感じる人のトップ意見は「特定勢力に偏った報道」で46.7%。ただし設問、報告書ではどの方面、対象の特定勢力とは書かれていない。色々な解釈ができそうだが、いわゆるダブルスタンダード的な報道が日常茶飯事化しているとの指摘も多々ある現状では、無視できない動きには違いない。ただし別選択肢に「政府・財界の主張通りに報道するだけ」がある以上、それと同じ方面に優遇する意味での偏った報道との読み方は難しそうだ。

「誤報があった」は直近では5.8%で順位としては4番目に過ぎない。2014年度から2015年度の大きな値は言うまでも無く朝日新聞の複数事案が大きく影響したものだが、2016年度以降は優先順位は下げられている、ほとぼりがさめつつあると認識できる。とはいえ、話題性はともかく問題の重要性の観点では肩を並べるほどの誤報はそれこそ日々のごとく量産され、その状況に対する新聞社側の姿勢も改善を期待できるようなものでは無いのも事実ではある。

択一問題であるため重要度としてはさほど高く無いと認識されているのか、回答率は4.1%とさほど高くは無いが、憶測による情報も流しているとの意見があるのも気になるところ。ある意味、誤報よりもたちの悪いものに他ならないからだ。



新聞は主要メディアの中ではNHKテレビに次いで高い信頼感を得ているが、それは多分にこれまでの先人諸氏の努力によって構築された「信頼」と名付けられた資産を食いつぶして、ようやく維持していると表現できる。その現状を認識し、行動を律する事ができなければ、「信頼感は下落した」との回答者率は、来年度以降も高い値を維持したままとなる。果たして新聞に携わる人のどれだけが、その事実を理解しているだろうか。


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