じわりと下がるメディアへの信頼度、震災以降加速化か(2016年)(最新)

2016/11/01 12:13

財団法人新聞通信調査会は2016年10月24日、メディアに関する全国世論調査の2016年度版を発表した。その内容によれば調査対象母集団においては、直近2016年度でもっとも信頼度の高い主要メディアはNHKテレビとなり、100点満点で69.8点の信頼度を得ていることが分かった。次いで新聞、民放テレビ、ラジオ、インターネット、雑誌の順となっている。2008年度の調査開始以来、どのメディアも概して信頼度は減少する傾向にあり、特に震災の影響を受けた2011年度以降、いくつかのメディアでは大きな変化が生じているのが確認できる(【発表リリース:2016年メディアに関する世論調査結果】)。

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今調査は2016年8月19日から9月6日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3308人。有効回答者の属性は男性1568人・女性1740人、18-19歳70人・20代306人・30代460人・40代539人・50代524人・60代696人・70代以上713人。

主要メディアとしてNHKテレビ、新聞、民放テレビ、ラジオ、インターネット、雑誌を提示し、それぞれのメディアの情報をどの程度信頼しているかについて、「全面的に信頼…100点」「全く信頼していない…0点」「普通…50点」の基準のもとに点数をつけてもらったところ、平均点がもっとも高かったのはNHKテレビで、69.8点となった。

↑ 各メディアの信頼度(2016年度)(100点満点)
↑ 各メディアの信頼度(2016年度)(100点満点)

同じテレビでも民放テレビは10点以上低い59.1点に留まっており、情報の信頼性における両者の違いを改めて実感させられる。そして新聞がNHKテレビに近い値68.6点をつけ、実情はともかく情報に関して信頼されているか否かの点では、新聞が今なお高い信頼を受けているのが分かる。

NHKテレビ、新聞、民放テレビの後にはラジオ、インターネット、雑誌と続くが、雑誌のみが唯一44.7点と50点未満。50点が「普通」の基準なので、雑誌は情報全般に関して信頼されていないことになる。

これを属性別に見たのが次のグラフ。大よそ順位に違いは無いが、各属性における特徴が表れる形となった。

↑ 各メディアの信頼度(2016年度)(100点満点)(属性別)
↑ 各メディアの信頼度(2016年度)(100点満点)(属性別)

歳が上がるほど各メディアへの信頼度も上昇するが、雑誌やインターネットは逆に下がる。そのため、テレビや新聞との差が大きく開くことになる。シニア層はテレビや新聞を信奉し、インターネットや雑誌を軽んじる傾向があることが複数の調査結果から知られているが、それが裏付けられる形となっている。

他方20代から30代はNHK・民放問わずテレビの値がいくぶん低めで、30代ではインターネットへの信頼度が高く、ラジオすら抜いている。注目に値すべき動きではある。

最後に経年別。今調査は2008年度から開始されているため、都合9回分の動向が確認できる。

↑ 各メディアの信頼度(100点満点)(経年動向)
↑ 各メディアの信頼度(100点満点)(経年動向)

震災が発生した2011年3月以降初となる調査は2011年度分(2011年9月実施)だが、その際のラジオの値が有意に上昇しており、震災報道でラジオが権威を回復したことが分かる。またNHKテレビも同様の動きを示している。他方民放テレビ、インターネット、雑誌は大きな下落が見受けられ、震災報道により信頼度を落としてしまっていることが分かる。

中期的な動きを見ると、記事タイトルの通り、いずれのメディアも信頼度を漸減している。もっとも雑誌やインターネットなどはこの数年に限ればほぼ横ばいの動きなのに対し、NHKテレビと新聞は引き続き下落する気配を見せている。民放テレビに至っては前年度では上昇の気配すら見せたが、今年度はその上昇分すら帳消しにするほどの下げ方を計上している。誤差の範囲との解釈も可能だが、メディア全体に対する信頼度の凋落は日本に限った話では無いことを思い返すと、来年以降の動向が大いに気になるところではある。

他方、メディアに関する記事では繰り返し言及している話ではあるが、テレビや新聞はそれ自身が配信側の業界・集団的なモノを意味する一方で、インターネットは多分にツールでしかなく、「インターネット」との名前の配信社が存在するわけではない点に注意する必要がある。信頼性は多分に情報の発信元に関わる問題であり、新聞やテレビ、ラジオはほぼそのままイコールとなるが、インターネットや雑誌はツールとしての意味合いが強い。今件の信頼度のうちインターネットや雑誌は多分に、玉石混淆な全体の状態を評価したものと考えられる。インターネットの情報すべてが信頼度の上で低いとの認識は、実態とはずれがあることを指摘しておく。

何しろ信頼度の高い新聞社やNHKテレビですら、それぞれの媒体で提供している内容と同じ情報を、インターネット経由でも配信しているのだから。


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