世界の対外債務状況をグラフ化してみる(2014年)

2014/01/04 14:00

日本の財務状況が話題に登る際に、必ずと言ってよいほど語られるのが、各国の対外債務。要は国単位による国債発行を介した、さらには民間企業や家計ベースでの海外政府・金融機関に対する借入金のことを意味する。今回は世界銀行が提供しているデータベースの値を基に、この対外債務について最新の状況を確認していくことにする。

スポンサードリンク


最多額はもちろんあの国…対外債務総額


データの取得元は【世界銀行のデータベース:World dataBank】。対象は経済規模の大きい86か国。これはデータベースの値のうち「Quarterly External Debt Statistics/SDDS」を用いるためであり、この項目では86か国+ユーロエリアをトレースしているからでもある。今件データでは中国などが検証対象に含まれていないことに注意しなければならない。

発行された債券のうち外国が購入したものは、国単位での借金となる。例えるなら「Aさんの家庭でお金が足りないから、隣のBさんから5万円を借り受け、その証書を発行する」ようなものである。Aさん・Bさんは別々の国(家庭・家計)という次第。このうち【主要国の対外純資産額をグラフ化してみる】で解説した通り、国が発行したものは政府(公的)部門の債務、民間企業が発行したものは民間部門の債務となる。今回挙げている「対外債務」は概して「民間」と「政府」の債務を合算したもの(Gross External Debt)を指す。

まずは純粋な対外債務額上位国。2013年第2四半期時点のもので、米ドルベースで換算したもの。

↑ 対外債務総額(兆ドル・2013年第2四半期)
↑ 対外債務総額(兆ドル・2013年第2四半期)

政府・民間の合算であること、資産を勘案した純資産額ではないこと(対外債務を多数抱えていても、それ以上の債権を有している国も少なくない)、各国の経済規模は考慮されていないことに留意しなければならない。例えばジュース1本分の借金でも、月500円のお小遣いの子供と、月5万円の小遣いをもらっているサラリーマンとでは、負担が大きく異なるのと同じである。

額面だけで見ると、この数年は何度となく政府内の財務問題(予算や国債発行額上限)で大いにもめて国内外をやきもきさせているアメリカ合衆国が断トツに多い。そして次にイギリス、ドイツ、フランス、ルクセンブルグが続く。日本は6番目、2.73兆ドル。

対GDP比と国民一人あたりで見てみよう


さて、実質的な国毎の負担を知るのには、総額以外に国単位での負担の度合いを考える必要がある。そこで各国のGDP(国内総生産。Gross Domestic Product)を同じく世界銀行のデータベースから抽出し(該当国の値が揃っている2011年のものを利用)、対外債務総額のGPD比率を算出したのが次のグラフ。直上のたとえなら、「月500円のお小遣いでは120円のジュース代は24%にも相当し、大きな負担となる」「月5万円の小遣いなら、120円のジュース代は0.24%でしかなく、ほとんど苦にならない」のような状況を確認できる。

↑ 対外債務総額GDP比率(2013年第2四半期、GDPは2011年)
↑ 対外債務総額GDP比率(2013年第2四半期、GDPは2011年)

飛びぬけて高いのはルクセンブルグ。これは【ルクセンブルグ・モデル(新世紀のビッグブラザーへ blog)】などの解説によると、アイスランド同様に「巨額のお金を海外から借り入れ、それをより高利回りな金融商品(例:サブプライムローンを含んだ証券化商品など)に投資することで、利ざやを稼ぐ」ことを主な生業としているため(俗に言う「金融立国」)。上手く立ち回れているうちは非常に良い収益が期待できるが、2007年以降の金融危機のような状況になると、大きな痛手を受けることになる。

またこの手法は主に「(人口面で)小国」「資源や産業に乏しい国」が国の財政面を支えるためによく行われたもので、上位にはその条件に合致する国が並ぶ。なお繰り返しになるが、今値は「対外債務総額」比率であり、政府債務のそれではないことに注意する必要がある。ちなみに同一条件下では日本の値は46.5%。上から数えて52番目な次第。

最後に対外債務を、単純に各国人口(全年齢)で割った値。「国民一人あたりどれほどの対外債務を背負っているか」を示したもの。

↑ 対外債務総額・国民人口比率(2013年第2四半期、万ドル/人、人口は2012年)
↑ 対外債務総額・国民人口比率(2013年第2四半期、万ドル/人、人口は2012年)

こちらは対GDP比のグラフ以上に、ルクセンブルグの突出度が際立つ結果となった。それを除くとアイルランド、アイスランド、シンガポール、スイス、香港など、やはり似たような国が並ぶ。ちなみに日本は約2.1万ドルで、上から29番目となる。



今件はあくまでも民間と政府の対外債務をすべて合算した値をベースとしている。単純な比較にはそれなりのリスクが生じるため、合算値であることや、債権動向も合わせて比較することをお勧めする。一方、関連する記事を合わせ読むことで、国内外の債務状況が今よりは確実に、明らかな形となって見えてくることだろう。


■関連記事:
【IMFへ最大1000億ドルの融資、正式に決定・中川財務相が署名】
【ウォーレン・バフェット氏、アメリカの経常赤字膨張に警告を発す。為替相場は急変】
【アメリカ合衆国の債務引き受け手内訳と上限推移を眺めてみる】
【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー