主要国の対外純資産額をグラフ化してみる(2014年)

2014/01/04 10:00

個人ベースではほとんど影響を受けることは無い、しかしながら知っておくと世の中の見方が随分と変わってくる情報は少なくない。その一つが、国単位での資産額。これは債務と債権を相殺した、特定の国から他の国々に対する「対外純資産額」で示されることが多い。今値は各国の財務状況を垣間見れる切り口の一つとして、良く用いられている。今回はその値について確認をしていくことにする。

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対外純資産額の多い日本、負債の多いアメリカ


日本を含めた主要国の対外資産、対外負債、そしてそれらを合算した対外純資産額だが、これは財務省の【本邦対外資産負債残高内統計表一覧】から、【平成24年末本邦対外資産負債残高の概要】で直近データを得ることができる。ちなみに対外(該当国が他国に対する)純資産は「対外資産」と「対外負債」を差し引きすることで算出可能(あくまでも数字上の話)。そして「資産」「負債」については名著『金持ち父さん 貧乏父さん』の言葉を借りて簡単に説明すると、

・資産……「財布の中にお金を入れてくれるもの」

・負債……「財布からお金を取っていくもの」

となる。今件ではさらに国単位で区分した際に「資産…海外に対して色々な形で貸し付けているもの」「負債…海外から色々な形で借り受けているもの」と考えてればよい。

さて「平成24年末 本邦対外資産負債残高の概要」の中から主に「参考4、5 主要国の対外純資産、為替相場の推移」を元にグラフ化した、主要国の対外純資産、つまり対外資産と対外負債を相殺した純資産(マイナスならば純負債)のグラフが次の図。

↑ 主要国対外純資産(兆円)(公的+民間)(2012年末、*は2011年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)
↑ 主要国対外純資産(兆円)(公的+民間)(2012年末、*は2011年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)

相変わらずアメリカ合衆国の額の大きさが際立っている。

ちなみにこれらは民間部門と公的部門を合わせたものの合計。日本に限ればその内訳は【平成24年末現在本邦対外資産負債残高】に記載されており、それをグラフ化したのが次の図。

↑ 日本の対外純資産内訳(兆円、2012年末)
↑ 日本の対外純資産内訳(兆円、2012年末)

大部分が民間による取得であることが確認できよう。

何か不測の事態が生じた際、民間部門の資産が公的部門と同じように国の意志で容易にコントロールできるとは限らない。二世代世帯における、「住宅を保有する親夫婦」と「同居する子供夫婦」の資産を合わせたようなものと考えれば良い。とはいえ住宅に居住する単位(=国単位)で考える際には、今件は十分以上に役立つ指針となる。

GDP比で考えてみる


上記データを別の視線で考えてみることにする。具体的には今件資料の純資産額が、各国のGDPのどれ程の比率を示しているかというもの。以前は上記資料にその値が併記されていたのだが、今回分にはそれがないので、独自に試算することにした。

各国の年ベースでのGDPは、IMF(国際通貨基金)のデータベースの中から、【World Economic Outlook Database】経由で【GDPを選択して表示】、該当国のデータを抽出した上で(米ドルベース)、各国の純資産額を算出した年数に合わせた為替レートで円に換算し、GDP比を算出していく。その手法で出来上がったのが次のグラフ。

↑ 主要国対外純資産GDP比(兆円)(公的+民間)(2012年末、*は2011年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)
↑ 主要国対外純資産GDP比(兆円)(公的+民間)(2012年末、*は2011年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)

香港やスイスが相当大きな値を示している。極端な表現だが、香港の場合ならばすべての債務・債権を清算した場合、香港が1年間に稼ぐ総生産額の3倍近くを手にすることができる計算。意外にもアメリカ以上にイギリスの対GDP比におけるマイナス幅が大きい。

無論資産も負債もすぐに換金・償還されるわけではなく、「相殺する」という計算に深刻な意味合いは無い(古切手や古銭、美術品を山ほど抱えていても、大金が必要になった時にすぐに換金できるわけではないのと同じである)。他の値も合わせ、その国の財政状態を概要的に知る程度のものでしかない、状況の改善を模索するための参考資料程度のものであることに留意しておくべき。同時に、概要的な状況を推し量る指針の一つとして、心に留め置いても損は無い値であることも事実ではある。


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