日本の牛豚鶏肉の消費傾向をグラフ化してみる(上:金額編)

2011/10/18 12:00

先日、以前掲載した記事【カレーのお肉は「西牛東豚」】に関して「カレーに入れる肉の傾向が『西牛東豚』なのは理解したが、ではどうしてその傾向があるのか」という問合せをいただいた。色々と調べて、大雑把な結論は【カレーのお肉が「西牛東豚」な件について】で覚え書きにしたものの、(肉をテーマとしているだけに)もう少しデータの肉付けをすべきだと判断した。そこで今回はその「肉」となる、あるいは作成過程で取得したデータをいくつか整理し、後に資料となるように、いくつか図・グラフ化をしておくことにした。

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今件でまとめる必要があるのは主要三種の精肉「牛肉」「豚肉」「鶏肉」の地域別消費性向。そこで【家計調査年報】から「支出編」「総世帯」を選び、最新データの2010年分から「<品目分類>1世帯当たり品目別支出金額」の「都市階級・地方・都道府県庁所在市別」を選んでデータを取得する。ここには都道府県庁別に総世帯(単身+二人以上)の各項目における、年間平均消費額が記載されている。「牛肉」「豚肉」「鶏肉」それぞれのデータを抽出した上で、上位10位を寄り抜いてグラフ化したのが次の図。

↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間牛肉消費額トップ10(円、2010年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間牛肉消費額トップ10(円、2010年、家計調査年報・家計支出編)

↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間豚肉消費額トップ10(円、2010年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間豚肉消費額トップ10(円、2010年、家計調査年報・家計支出編)

↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間鶏肉消費額トップ10(円、2010年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間鶏肉消費額トップ10(円、2010年、家計調査年報・家計支出編)

「肉の消費の多い少ないを考えるには、金額ではなく重量で見るべきでは。元々同じ重量なら牛肉が一番高く、豚肉、鶏肉の順に安くなるのだから」という意見もある。一方で「精肉を選択する際には金額も大きな要素」「消費で考えるのだから金額ベースで勘案すべきだ」というのも正論。そこで今記事では金額ベースでの考察に専念しておく。

牛肉と比べて豚肉・鶏肉は上位10都市での差異がさほどなく、見た目には面白味の無いものとなってしまった。ともあれ、上位陣だけを見ても「牛肉は西日本の都市が多い」「豚肉は東日本の都市が多め」「鶏肉は西日本、特に九州地方が多い」のが見て取れる。

このうち「九州地方で鶏肉の消費金額が多い」のは、以前【北九州はから揚げのメッカなのか!?……から揚げ談義もろもろ】でも挙げたように、九州地方が「唐揚げのメッカ」なのと深い関係がある。また鶏肉自身の消費が大きい起因については【「肉」といえば牛?豚?鶏?(全国やきとり連絡協議会)】の解説によると、「九州で鶏肉の消費が多いのは、古くから外国との交流があり、水炊き、筑前煮などの食文化もあったことが影響している」とのことである。鶏肉の消費が元々メジャーなため、唐揚げ文化も活性化したようだ(【日本唐揚協会の歴史解説】でも、元々養鶏場が多くあり、それが戦後の食糧難打開という国策にも相まって、この地域で唐揚げが多くたしなまれるようになったと説明されている)。

牛豚鶏の比率など
さてせっかくなので、金額ベースの図版をいくつか追加で作成しておこう。まずは「肉類(精肉以外にハムやソーセージなどの加工肉も合わせたもの)全体額」の上位20位と、それぞれにおける「牛肉」「豚肉」「鶏肉」の金額を積み上げたもの。肉類を金額ベースで一番多く消費しているのは奈良県奈良市で、年間7万8000円強という結果になった。

↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間肉類消費額トップ20(牛豚鶏とその他の肉類別)(円、2010年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間肉類消費額トップ20(牛豚鶏とその他の肉類別)(円、2010年、家計調査年報・家計支出編)

鶏肉は単価が安いので牛・豚と比べると金額ベースでの比率は小さくなるが、それでも熊本や大分、宮崎などではそれなりに大きな値を占めているのが分かる。なお熊本では鶏肉以外に「主要三銘柄以外」の額も大きなものとなっているが、「他の生鮮肉」の額がひときわ大きいのが要因。これは熊本名物の「馬刺し」が貢献していると考えてよい。

最後に金額ベースで都道府県別に、世帯単位での消費金額を比較し、牛肉と豚肉のどちらを多く消費しているかで色分けした地図を作製した。

↑ 都道府県別・「牛肉」「豚肉」の年間消費(購入)金額の高低(2010年)
↑ 都道府県別・「牛肉」「豚肉」の年間消費(購入)金額の高低(2010年)

九州・四国地方で一部「牛肉>豚肉」の地域もあるが、大体近畿地方より西は牛肉の購入消費金額が、豚肉を上回っていることが分かる。カレーに使われる肉の件も合わせ、「西牛東豚」な次第である。


■一連の記事:
【日本の牛豚鶏肉の消費傾向をグラフ化してみる(上:金額編)】
【日本の牛豚鶏肉の消費傾向をグラフ化してみる(下:分量編)】

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