日本の家計資産残高はやや増加し1645兆円に…日米家計資産推移(2014年Q2分)

2014/09/27 13:00

日本銀行は2014年9月26日付で、2014年第2四半期(4-6月、Q2)の「資金循環の日米比較」レポートを公開した。その内容によれば株価上昇を受けて日本では「投資信託」や「株式・出資金」などが増え、また「現金・預金」も増加しており、金融資産総額は増加し1645兆円となった。一方で高い貯蓄性向は継続されており、日本の「現金・預金」比率は相変わらず5割を超えている(【日本銀行:資金循環リリース掲載ページ】)。

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日米の金融資産への考え方が顕著に分かる資産分布


今リリースは日本銀行が年4回定期的に「資金循環の日米欧比較」の速報値として発表している。当サイトでは2009年6月掲載、2009年Q1分から定期更新の形で各データをグラフ化し、状況に関して精査を行っている(途中からは検索周りの事情を受け、最新の値に関するレポートを逐次上書きする形で掲載しているため、最新の記事とそれ以前の記事との間では、期間が抜けている)。今回は2014年9月26日に発表された最新版公開値(2014年Q2分)に基づいたものとなる。

まずは直近となる2014年第2四半期(Q2)時点での、日米、そして参考値としてユーロエリアでの家計に関する資産構成比率。日本が「現金・預金」で過半数超えと大きく傾倒している一方で、アメリカが「株式・出資金」や「投資信託」さらには「債券」を大量に保有している図式はこれまで通り。リスクを許容し投資を重視し成果に期待するアメリカ、確実性に重点を置く日本と、両国の貯蓄性向、金融資産への考え方の違いがそのまま数字に表れている。また日本で「現金・預金」が多いのは、主に高齢者による貯蓄性向の表れでもある。

↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2014年Q2)
↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2014年Q2)

3国・地域とも「保険・年金準備金」の比率はほぼ同じ(いくぶん日本が少ないが)。一方で”「現金・預金」”と”「債券」「投資信託」「株式・出資金」で構成される有価証券”の保有比率が、ユーロ圏は日米の中間にあるのが興味深い。バランスの観点では、日本は現預金過多、アメリカはリスク商品が多め。ユーロエリアのバランスが一番リスク分散の上では優れている。

「現金第一」は以前から…日本の家計金融資産


これを定例のフォーマットに従い日米別に、その推移をグラフ化して状況を精査する。まずは日本について、構成比率と絶対額の推移を確認する。

↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(2001年-2014年Q2)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(2001年-2014年Q2)

↑ 日本の家計金融資産構成推移(2001年-2014年Q2)(単位:兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(2001年-2014年Q2)(単位:兆円)

大きな変化として目に留まるのは、2008年前後で「現金・預金」の比率が伸びていること。約5%ポイントの増加が見られる。貯金額そのものが増えたのも多少の影響はあるが、それ以上に株価の低迷を起因としていると考えられる。つまり絶対額の増加は影響が小さく、他の要素が減って相対的に「現金・預金」比率が上がったと考えた方が道理は通る。その上損切り(売却損を覚悟して売り、現金化する)による「株式・出資金」から「現金・預金」へのスライドも多分にある。

「株式・出資金」の比率だけでなく、額そのものが同じタイミングで大きく減少していることからも、その動きは裏付けられる。2007年夏に始まる金融危機、株価下落は、家計の金融資産にも大きな影響をもたらしたことになる。

今2014年Q2期では「現金・預金」は増加、「株式・出資金」「投資信託」もいずれも増加。市場の景況感に合わせた上昇感を数字で実感できる。特に「株式・出資金」はこの2、3年ほどの間に全体比率・絶対金額共にじわりと、そして確かな勢いで増加を示しているのが、両グラフからもつかみ取れる。金融危機ぼっ発前の水準、比率で1割超・金額で170-180兆円のレベルと比べるとまだまだ届かないが、それなりの回復感は間違いない。

増加継続中の米家計金融資産


一方アメリカ。

↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年Q4-2014年Q2
↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年Q4-2014年Q2)

↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年Q4-2014年Q2)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年Q4-2014年Q2)(兆ドル)

アメリカの該当期における株価動向は、4月から6月にかけてはほぼ一直線で右肩上がりの様相を示している。これを受けて「投資信託」「株式・出資金」は額面を上昇させ、一方で「現金・預金」も増加。

ところが「債券」比率が大きく減少し、これが全体額をも引き下げる原因となっている。金額面での基準で見ると、ここ数年間は少しずつ上乗せされていたが、今回の減少で一気に2008年代の水準にまで押し戻されている(シェアでは2006年以降では初めての低水準)。これまでには無い大きな動きのため、今後の動向も合わせ、注視が必要と思われる。

資産総額は67.0兆ドル。前四半期からはわずかに総額を落としているが、これは上記の通り債券の保有額の減少が原因。その他の資産は順調に積み増しされており、特に同国では小数比率の傾向が強い「現金・預金」も額面、そして比率面でもここ1年は確実に上昇中である。



家計金融資産の総額は2014年Q2時点で日本が1645兆円、アメリカが67.0兆ドル。これはそれぞれ直近前四半期から(日本)プラス0.92%・(アメリカ)マイナス0.30%の変移。同時期の株式市場は日米ともに堅調だったことから、アメリカの動きはやや首を傾げるところがあるが、他資産の増加ぶりを見る限りでは、イレギュラー的なものだろうか。

記事執筆時点(2014年Q3期)では、ウクライナ情勢はやや沈静化に向かう動きを見せるものの、中東情勢は一掃緊迫感が上乗せされ、大規模な紛争・戦争の可能性も示唆されるほどとなった。また東南アジア方面でもきな臭さは相変わらず。東京株式市場は比較的良い風向きの風が吹いているものの、その原因が多分に円安にあるため、インフラ周りのコスト上昇懸念も合わせ、安定感にやや欠けるところが不安材料。

次回の2014年Q3では、アメリカの債券保有額・比率など、イレギュラーな動きを示した項目が本当にイレギュラーだったのか、それとも大きな金融資産のシフトの流れなのかを見極める必要がある。その点で大いに注目したいところだ。


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