日本の鉄道利用客数推移などをグラフ化してみる(最新)
2020/12/09 05:44


スポンサードリンク
2019年度は約252億人が利用
最初に確認するのは、JR・私鉄を問わず日本国内の鉄道を利用した旅客数の推移。JRはほぼ全国展開、私鉄は一般的に地域との密着性が強いことから、利用者数はJR各社の合計の方が多いイメージがあるが、実際には私鉄各社の方が多い。直近2019年度ではJRが95億0300万人、私鉄各社が156億8700万人で、合計で251億9000万人が鉄道を利用している計算になる。延べ人数であることは言うまでもない。

↑ 鉄道・軌道旅客人数(億人)

↑ 鉄道・軌道旅客人数(億人)(積み上げグラフ)
バブル期までは漸増していた利用数も、バブル崩壊あたりで頭打ちとなり、それ以降は減退。今世紀に入ってから再び増え始めるが、金融危機・リーマンショックで再び下げ基調に。2011年度を底として、それ以降はおおよそ増加の傾向を示している。
また1990年代後半以降は、増加分のほとんどは私鉄によるもので、JRはほぼ横ばいの動きを示しているのが興味深い。他方この数年の上昇分では私鉄だけでなくJRにも伸びが見られ、これまでの上昇の仕方とはやや異なる方向性にあることが分かる。景気回復基調と定年退職者の急増に伴う旅行需要の高まりに加え、自動車による長距離移動が避けられるようになった、人口の都市集中化に伴い自動車を使う機会が減ったなど、さまざまな要因によるものと推測される。
総人口そのものは減少傾向にあることを考えれば、一人一人の利用回数が増えていることになり、鉄道そのものへの注目が高まっていると見て問題はあるまい。
「人キロ」ではどうだろうか
鉄道などの交通機関の利用状況を示す指標の一つとして「人キロ」と呼ばれる単位がある。これは言葉の通り、旅客者数とその旅客を輸送した距離を掛け合わせたもの。例えば一人が10キロ移動すれば10人キロとなる。この値が多いほど、多くの人がより遠くまで利用したことになる。また旅客数の増加と比べて人キロの増加度合いが大きければ、単に利用客数が増えただけでなく、遠出をする人が増えたことを意味する。

↑ 鉄道・軌道旅客人キロ(億人キロ)

↑ 鉄道・軌道旅客人キロ(億人キロ)(積み上げグラフ)
結果としてはほとんど旅客数そのものの動向との違いは見られなかった。利用客内部における利用スタイルに、劇的な変化が起きたわけではなく、純粋に利用客が増加したことが確認できた次第。
もっとも各数字を用いて概算的に「利用客の平均移動距離」を試算したところ、私鉄は概して減少する傾向があるのに対し、JRはここ数年増加する動きを示している(直近年度では減少しているが)。

↑ 鉄道・軌道旅客一人あたり平均利用距離(キロ)
長距離の旅行利用者の増加が、平均値にも変化をもたらしているのかもしれない。
「交通関係統計資料」では残念ながら利用客の年齢階層別の構成までは把握できておらず、鉄道利用客における年齢動向は今件の限りでは確認できなかった。もっとも鉄道の利用客はほぼ横ばいで推移し、この数年はむしろ増加する傾向にあることが分かっただけでも幸いである。
ちなみに旅客ではなく、鉄道貨物の利用状況だが、移動の際の汎用性の高さや機動力の観点でトラックに大きく水をあけられ、急速に利用数量は減少していた。

↑ 鉄道貨物数量(JR・私鉄合わせて、万トン)
今回グラフ化した期間において、最小値は2011年度の約3983万トン。以降は底を打つ形でやや持ち直しを示したあと、横ばいに移行している。下落が止まったのは、モーダルシフト(一般には自動車や航空機による輸送を鉄道や船舶にシフトすることを意味する)など省エネなどの観点で、鉄道による貨物輸送が見直されてきたのが一因なのだろう。
■関連記事:
【主要車種別の自動車保有台数をグラフ化してみる】
【西日本鉄道各社では「優先座席付近では”混雑時には”携帯電話の電源をお切りください」に変更へ】
【170両追加で計350両をインドネシアへ・JR東日本が退役車両をインドネシアの鉄道事業者に譲渡、技術支援も実施へ】
【駅売店などの出版物販売動向をグラフ化してみる(最新)】
スポンサードリンク
関連記事
