ネットを使う高校生の半数近くは「ネット上の情報が正しいか否かを確認する方法が分からない」現実

2014/12/19 08:26

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世界中のあらゆる情報を瞬時に取得できる、情報の魔法の杖的存在なインターネット、そしてそれを容易に操れるスマートフォンやタブレット型端末。それらが子供達にも容易にアクセスできるような状況になると、保護者に限らず大人、あるいは子供達自身も、情報の吟味やリスクについて、不安を覚えるようになる。果たして子供達はインターネット上の情報を利用するにあたり、必要な「決まり事」を習得しているのだろうか。2014年12月9日付でベネッセ教育総合研究所が発表した調査報告書から、現状を確認していく(【発表リリース:中高生のICT利用実態調査 2014 報告書】)。


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今調査に関する各種要項は先行記事【パソコン、スマホにタブレット…いまどき中高生の所有率を探る】で確認してほしい。その記事にある通り、今調査対象母集団では中学生が87.3%、高校生は96.6%がインターネットを利用している。それらインターネット利用者に対し、ネット上の情報を用いる際の注意点や、取扱いそのものに関する問題点などについて、自身の状況を「とても当てはまる」「まあ当てはまる」「あまり当てはまらない」「まったく当てはまらない」の4拓から選んでもらい、「とても当てはまる」「まあ当てはまる」の2つ、つまり設問の状況に該当する状態にある人の割合を示したのが次のグラフ。

↑ インターネットの情報を利用するにあたり、次の内容がどれぐらい当てはまるか(「とても当てはまる」「まあ当てはまる」「あまり当てはまらない」「まったく当てはまらない」の4択のうち前者2つの回答率合計)(インターネット利用者)
↑ インターネットの情報を利用するにあたり、次の内容がどれぐらい当てはまるか(「とても当てはまる」「まあ当てはまる」「あまり当てはまらない」「まったく当てはまらない」の4択のうち前者2つの回答率合計)(インターネット利用者)

「インターネットで調べた情報は、いつ誰が出したものか確認している」。その情報が正しいか否かを確認するためには欠かせない下準備のようなもの。食材を購入する際に価格や原産地、賞味期限、さらには中身が腐っていないかをチェックする感覚である。それをしている人は中学生で1/4程度、高校生でも3割足らずでしかない。残りの3/4から7割ほどは、取得した情報について発信元をあまり確かめずに用いたり、他人に流していることになる。

またインターネットで取得した情報を、作文やレポートにそのまま使うことがある人は中学生で3割ほど、高校生では4割近く。いわゆる「コピペ」というものだが、もちろん正しい行為ではない(そもそも作文やレポートにコピーの類は求めていない)。その情報が最初の項目とも組み合わさり、ニセ情報ならば目も当てられないし、本当の話であったとしても単なる盗用のため、引用レベルのものでなければ怒られてしまうことになる。ましてや創作文や感想文の類をコピーするとなれば、他人の作文を丸写ししたのと同じとなってしまうのだが、それに気が付いている回答者はどれほどいるのだろうか。

そしてある意味、一番驚かされるであろうのが「インターネット上の情報について、正しさを確認する方法が分からない」。中学生で4割前後、高校生では5割近くが同意を示している。学校のパソコンなどの授業である程度は教えられているはずではあるのだが、情報精査の方法が分からないのでは、得た情報が正しいか否かが判断できずまどわされたり、ニセ情報に踊らされたり、さらにはさまざまな実害を被ることもありえる。

もっともこれらの要件は、大人でも十分な対応を示しているとは限らない。並行同時調査が成されていないので比較は出来ないが、ネット情報の裏取りをしない、情報のコピペ流用を平気で行う、そして精査方法が分からない人は、大人も多分にいるのではないだろうか。

インターネット情報の利用方法においては、子供だけの問題では無く、大人も一緒になり、真剣に取り組むべき課題なのだろう。


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