20代が想う結婚と出産、これだけ年収があれば「いいかな」と思える水準は?(2016年)(最新)

2016/12/03 11:12

結婚しない、あるいは結婚しても子供をもうけない若年層が増えているとの指摘がある。価値観の変化や他人との接触機会の減少、子育てをする環境の整備不足など理由は多々あるが、大きな理由の一つとして挙げられるのが可処分所得の減少。要は金銭的な負担が大きいため、結婚、さらには出産・子育てをしない、できないといった説明である。それでは若年層は年収でどれほどの額面が確保できれば、結婚や出産を考えるようになるだろうか。SMBCコンシューマーファイナンスが2016年12月1日に発表した調査結果から、その心境を確認していく(【発表リリース:20代の金銭感覚についての意識調査2016】)。

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「年収500万円あれば」が2/3


今調査は2016年10月5日から11日にかけて、携帯電話を用いたインターネット経由で20代男女に対して行われたもので、有効回答数は1000件。男女比・20代前半と後半の仕切りで均等割り当て。調査協力機関はネットエイジア。また今件における「年収」の定義は先行記事【自家用車と自宅、「これなら買ってもいいな」と若年層が思う年収は!?】を参考のこと。

冒頭で解説の通り、結婚や出産を敬遠する若年層が増えた理由は多々あるが、その一つが金銭的な問題。結婚や出産をすることで確実に金銭面での負担が増えるため、生活が立ち行かなくなるのを懸念し、諦める、積極的行動をしないというものである。それでは年収(収入総額。税金や社会保険料込みの値)でいくらぐらいあれば、結婚や出産・子育てを考えるだろうか。

次に示すのは択一で答えてもらった「年収がこれぐらいなら結婚を考えても良い」とする額。棒グラフはそれぞれの回答率、折れ線グラフは累積回答率。後者はその額面なら結局どれだけの人が考えるかというもので、例えば「300万円」と答えた人そのものは11.8%しかいないが、「年収300万円を提示されれば結婚をしようと考える人」の総計は「300万円」回答者以外に「200万円」「年収問わず」も含まれるため、累計の37.1%となる。

↑ しようと思える世帯年収は(結婚、円)(2016年)
↑ しようと思える世帯年収は(結婚、円)(2016年)

具体的金額区分別回答率では500万円が群を抜いており、それに300万円・400万円が続く。この「300万円から500万円」の層で40.7%に達することになる。600万円も合わせればほぼ5割。

一方累積回答率を見ると、500万円で66.0%に達している。相手の存在を含め、結婚ができる否かは他の条件も多分に絡んでくるのだが、年収だけで勘案すれば、500万円が確保できればほぼ2/3が結婚を検討するとのこと。600万円・74.2%がほぼ上昇のピークで、あとは上昇率は非常に穏やかなものとなる。また年収がいくら上がっても結婚したいとは思わない人も1割強確認できる。

同様の調査は前年、前々年も実施していることから、累積検討率を併記したのが次のグラフ。

↑ しようと思える世帯年収は(結婚、累積、円)
↑ しようと思える世帯年収は(結婚、累積、円)

「年収問わず」及び低年収での回答率は過去3年でもっとも高い値を示しており、結婚への積極姿勢がうかがわれる。中堅層では前年よりも低い値だが、高年収では再び前年を超える値が計上されている。しかしながら2014年の値にはまだ及ばない。住宅所有の事例でも触れているが、二極化が進んでいる感はある。

子育て一人、また一人……


結婚に続いて出産・子育て。結婚以上に金銭的な負担も大きくなり、しかも出産前後に女性は就業できなくなることに加え、子供が成長するに連れて養育費など出費もかさ上げされるため、年収に関しても慎重な値が示されるようになる。当然、子供の数が多い方が、世帯年収のハードルは上がる。

↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て1人、円)(2016年)
↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て1人、円)(2016年)

↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て2人、円)(2016年)
↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て2人、円)(2016年)

カーブの上昇具合が子供1人の場合と比べると2人の方は勾配具合がやや緩やか。子育て2人の方が年収の上での試算で一層慎重になっているのだろう。さらに2人の方が「したいと思えない」が多く、「年収問わずにしたい」が少ないことも、人数が増えることによる金銭負担の上昇ぶりへの懸念が見て取れる。

結婚における累積回答率6割超えは年収500万円だった。同じ割合を出産・子育てで得ようとすると、1人の場合は600万円、2人の場合は800万円となる。年収ベースで200万円の上乗せがないと、若年層への追加の子供育成期待は難しそうだ。

子供の人数それぞれに対する年収における検討額も、前年からの変化を確認できる。

↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て1人、累積、円)
↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て1人、累積、円)

↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て2人、累積、円)
↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て2人、累積、円)

結婚同様に、「年収問わず」や低年収の属性では高めの値が出ているが、中堅層では前年すら下回り、高年収でも2015年を超えるものの2014年には届かない。二極化が進んでいる感はある。

少子化対策には多種多様な面からの施策対応が求められるが、何はともあれ若年層に対して経済・金銭面からのサポートを充実し、不安を取り除く、少しでも減らすことが欠かせない。そのシンプルな事実が改めて認識できよう。



余談となるが、直近年における結婚、子育て1人・子育て2人それぞれの累積回答率をまとめたのが次のグラフ。

↑ 世帯年収と結婚、出産・子育ての動機づけの関係(累積)(2016年)
↑ 世帯年収と結婚、出産・子育ての動機づけの関係(累積)(2016年)

結婚と出産・子育て1人との間には年収100万円、1人と2人との間には100万円から200万円ほどの差異が生じている。もっとも1000万円以上となると差異はあまり無くなる。

先行記事で同一調査対象母集団における自動車所有の2/3の目安となる年収は500万円。その年収では結婚もほぼ2/3、子供1人が5割強、2人は1/3強となる。まずは20代世代における年収500万円が果たせるよう、若年層の結婚や子供に関して憂いている方面は施策を練ってみてはいかがだろうか。


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