20代の結婚と出産、これだけ年収があれば「いいかな」と思える水準は?(最新)

2018/12/06 04:55

2018-1205結婚しない、あるいは結婚しても子供をもうけない若年層が増えているとの指摘がある。価値観の変化や他人との接触機会の減少、子育てをする環境の整備不足など想定される理由は多々あるが、大きな理由の一つとして挙げられるのが現状、そして将来の見通しまで含めての可処分所得の減少。要は金銭的な負担が大きいため、結婚、さらには出産・子育てをしない、できないといった説明である。それでは若年層は年収でどれほどの額面が確保できれば、結婚や出産を考えるようになるだろうか。SMBCコンシューマーファイナンスが2018年12月4日に発表した調査結果から、その心境を確認していく(【発表リリース:20代の金銭感覚についての意識調査2018】)。

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「年収600万円あれば結婚検討」が約7割


今調査は2018年10月2日から3日にかけて、携帯電話を用いたインターネット経由で20代男女に対して行われたもので、有効回答数は1000件。男女・20代前半と後半の区切りで均等割り当て。未婚者756人、既婚者244人。調査協力機関はネットエイジア。また今件における「年収」の定義は先行記事【自家用車と自宅、「これなら買ってもいいな」と若年層が思う年収は!?】を参照のこと。

冒頭で解説の通り、結婚や出産を敬遠する若年層が増えた理由は多々あるが、その一つが金銭的な問題。結婚や出産をすることで確実に金銭面での負担が増えるため、生活が立ち行かなくなるのを懸念し、諦める、積極的行動をしないというものである。それでは世帯年収(収入総額。税金や社会保険料込みの値)でいくらぐらいあれば、結婚や出産・子育てを考えるだろうか。

次に示すのは択一で答えてもらった「世帯年収がこれぐらいなら結婚を考えてもよい」とする額。棒グラフはそれぞれの回答率、折れ線グラフは累積回答率。後者はその額面なら結局どれだけの人が考えるかというもので、例えば「300万円」と答えた人そのものは8.1%しかいないが、「世帯年収300万円を提示されれば結婚をしようと考える人」の総計は「300万円」回答者以外に「200万円」「年収問わず」も含まれるため、累計の30.8%となる。

↑ しようと思える世帯年収は(結婚、円)(2018年)
↑ しようと思える世帯年収は(結婚、円)(2018年)

具体的金額区分別回答率では500万円がもっとも多く、それに400万円、600万円・300万円が続く。この「300万円から600万円」の層で5割近く。

一方累積回答率を見ると、600万円で70.6%に達している。相手の存在を含め、結婚ができる否かは他の条件も多分に絡んでくるのだが、世帯年収だけで勘案すれば、600万円が確保できれば約7割が結婚を検討するとのこと。他方、世帯年収がいくら上がっても結婚したいとは思わない人も1割強確認できる。

同様の調査は前年、前々年も実施していることから、累積検討率を直近5年分に限り併記したのが次のグラフ。

↑ しようと思える世帯年収は(結婚、累積、円)
↑ しようと思える世帯年収は(結婚、累積、円)

「年収問わず」もあわせ結婚をしたいとの意欲は全体的に減少傾向にあった。低世帯年収層ではむしろ増加する傾向も見受けられたが、前回年の2017年では大きく減少。すべての層で前年から減った。住宅や自家用車同様に「若者の結婚離れ」と表現するのはあまりにも安易ではあるのだが。

それが直近年度では大きく数字を上乗せし、これまでの傾向が覆される形となった。高年収層では2017年の値だけでなく、その前の2016年の値などまで上回る結果が出ている。若年層における結婚との距離感覚に変化が生じ始めているようだ。

子育て一人、また一人…


結婚に続いて出産・子育て。結婚以上に金銭的な負担も大きくなり、しかも出産前後に女性は就業できなくなることに加え、子供が成長するに連れて養育費など出費もかさ上げされるため、世帯年収に関しても慎重な値が示されるようになる。当然、子供の数が多い方が、世帯年収のハードルは上がる。

↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て1人、円)(2018年)
↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て1人、円)(2018年)

↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て2人、円)(2018年)
↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て2人、円)(2018年)

カーブの上昇具合が子供1人の場合と比べると2人の方は勾配具合がやや緩やか。子育て2人の方が世帯年収の上での試算で一層慎重になっているのだろう。さらに2人の方が「1000万(円)以上」「(したいと)思えず」が多く、「年収問わず(にしたい)」が少ないことも、人数が増えることによる金銭負担の上昇ぶりへの懸念が見て取れる。

結婚における累積回答率7割超えは世帯年収600万円だった。同じ割合を出産・子育てで得ようとすると、1人の場合は800万円、2人の場合は1000万円となる。世帯年収ベースで100万円以上の上乗せがないと、若年層への追加の子供育成期待は難しそうだ。

子供の人数それぞれに対する世帯年収における検討額も、過去の調査結果からの変化を確認できる(直近5年分について確認)。

↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て1人、累積、円)
↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て1人、累積、円)

↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て2人、累積、円)
↑ しようと思える世帯年収は(出産・子育て2人、累積、円)

結婚同様に、ここ数年は減少する傾向が見受けられたが、直近年では前年比で増加の動きに転じている。リリースでも「昨年は下降傾向にあったものの、今年はいずれの項目でもわずかながら上昇傾向がみられ」などの表現が確認でき、結婚や子育てに対する金銭面での心理的ハードルが押し下げられた雰囲気を覚えさせる。



余談となるが、直近年における結婚、子育て1人・子育て2人それぞれの累積回答率をまとめたのが次のグラフ。

↑ 世帯年収と結婚、出産・子育ての動機づけの関係(累積、円)(2018年)
↑ 世帯年収と結婚、出産・子育ての動機づけの関係(累積、円)(2018年)

結婚と出産・子育て1人との間には世帯年収100万円分、1人と2人との間には100万円-200万円分ほどの差異が生じている。もっとも1000万円以上となると差異はあまり無くなる。

先行記事で同一調査対象母集団における自家用車所有の2/3超の目安となる世帯年収は600万円。その年収では結婚は7割強、子供1人が6割強、2人は4割強となる。自家用車所有が5割超なら500万円だが、その金額ならば結婚は6割強、子供1人は5割近く、2人ならば3割強。まずは20代世代における世帯年収600万円、それが難しければせめて500万円が果たせるよう、若年層の結婚や子供に関して憂いている方面は施策を練ってみてはいかがだろうか。


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