中型物件人気継続…賃貸住宅の成約家賃動向をグラフ化してみる(2016年6月発表分)(最新)

2016/06/21 04:54

賃貸住宅の管理会社で構成される協会「日本賃貸住宅管理協会」では半年ごとに同協会公式サイトにて、【賃貸住宅景況感調査日管協短観】を更新・公開している。その最新版「賃貸住宅景況感調査日管協短観・2015年度下期(2015年10月から2016年3月)」が2016年5月付で公開された。今回はこの公開値などを基に、賃貸住宅管理会社が管理する物件で賃貸契約が成約した際の、家賃の動向について状況の確認をしていくことにする。

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各種調査要項などに関しては先行する記事【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化をグラフ化してみる】にて記載済み。そちらで確認してほしい。

賃貸物件を間取りで「1R(ワンルーム)-1DK(1部屋+ダイニング+台所)」「1L(リビング)DK-2DK」「2LDK-」の3タイプ、要は小型・中型・大型に区分。それぞれの物件で個々の管理会社における成約時の家賃が「前年同期」(今回ならば2014年下期)と比べてどのように変化したかを尋ねた結果が次のグラフ。全体的には「増加」よりも「減少」回答者がいくぶん多く、3割強の値を示している。

↑ 賃貸住宅管理会社における物件の成約賃料の変化(全国)(2015年度下期、前年同期比)
↑ 賃貸住宅管理会社における物件の成約賃料の変化(全国)(2015年度下期、前年同期比)

個々の管理会社で賃料が増加、つまり上がった状態で契約した事例が前年同期と比べて多数を占めたとの回答は28.7%。減少回答は30.5%を占め、流れとしては家賃の下落現象が見受けられる。「変化なしが約4割」と安定感があるとの解釈もできるが、後述するDI値はマイナス圏にあることも合わせ、需給の観点では賃貸住宅の供給過多による値下げ傾向が続いていることが分かる。見方を変えれば「借り手優勢市場」。

間取り別では中型がいくぶん大人しく、むしろ「増加」の方が多い。需給関係を勘案すれば、中型物件に人気が集まり、高めの物件でも成約する事例が多かったことになる。他方、小型・大型の間取りではやや大きな減少ぶりが見られる。

これを首都圏・関西圏・その他地域に対象領域を区分し、それぞれの圏限定で値を確認したのが次のグラフ。

↑ 賃貸住宅管理会社における物件の成約賃料の変化(首都圏)(2015年度下期、前年同期比)
↑ 賃貸住宅管理会社における物件の成約賃料の変化(首都圏)(2015年度下期、前年同期比)

↑ 賃貸住宅管理会社における物件の成約賃料の変化(関西圏)(2015年度下期、前年同期比)
↑ 賃貸住宅管理会社における物件の成約賃料の変化(関西圏)(2015年度下期、前年同期比)

↑ 賃貸住宅管理会社における物件の成約賃料の変化(その他)(2015年度下期、前年同期比)
↑ 賃貸住宅管理会社における物件の成約賃料の変化(その他)(2015年度下期、前年同期比)

首都圏とその他地域では間取りによっていくぶんの差異があるものの、大よそ増加と減少が均衡、やや減少の方が少ない状況。つまり家賃の上昇が生じていることになる(その他地域の大型物件は別だが)。他方関西圏は極端な形。中型物件こそ増加の方が多いが、小型・大型は減少の回答率がかなり多い。また他地域と比べると「変わらない」の率が高いのも特徴的。

部屋の間取り別では首都圏では一様に増加、つまり貸し手優勢市場化が進んでいる、関西圏では中型物件のみ需要が高まり、小型と大型は敬遠される(≒借り手優勢市場になる≒賃貸料金が下がる)動き、その他地域では小型から中型物件に人気が集まっている状況がうかがえる。それぞれの地域で賃貸住宅需要の差異が生じており、それが賃料の動向にも表れているようで興味深い。

これらの動きを分かりやすくするため、DI値(「増加」から「減少」を差し引いた値)を算出したのが次のグラフ。参考までに前半期で算出した値も同時に掲載しておく。

↑ 賃貸住宅管理会社における物件の成約賃料の変化(DI値)(2015年度下期、前年同期比)
↑ 賃貸住宅管理会社における物件の成約賃料の変化(DI値)(2015年度下期、前年同期比)

↑ (参考)賃貸住宅管理会社における物件の成約賃料の変化(DI値)(2015年度上期、前年同期比)
↑ (参考)賃貸住宅管理会社における物件の成約賃料の変化(DI値)(2015年度上期、前年同期比)

前半年期では中型物件がいくぶんプラスの動きを示したのみで、それ以外は大よそ下落。今半年期では大型物件で下落の動きが著しいが、小型はそこそこ(関西では大きく下げたが)、中型は一様にプラスを計上している。賃貸住宅の市場情勢としては、全体的にはまだ借り手優勢に違いないものの、中型物件では貸し手が優勢にシフトした感はある。

一年ほど前から「家賃下落の動きの収束化の動きが起きている」とコメントするような状況が続いているが、単身世帯が少々ゆとりのある生活をしたい時には望まれる場合が多い中型物件を中心に、需給のバランスに変化が生じているようだ。実際、報告書のコメントにも「単身者と一般的な若年夫婦を対象とした間取りの賃料が上昇してきている」とあり、中型物件の家賃上昇の理由の推論の確からしさを裏付けている。

次半年期もこの傾向が続くようであれば、中型物件を中心に市場動向に変化が起きていると見て良いだろう。


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