新聞が不調、他は大よそ堅調(電通・博報堂売上:2014年10月分)

2014/11/13 16:00

博報堂DYホールディングスは2014年11月12日付で、同社グループ主要3社(博報堂、大広、読売広告社)の2014年10月分となる売上高速報を公開した。一方電通では同日の同年11月12日付で、同じく同社10月分の単体売上高を公開している。これで日本国内の二大広告代理店における2014年10月次の売上データが相出揃うこととなった。今回は両社の主要種目別売上高の前年同月比、そして各種指標を過去のデータなどを基に当サイト側で独自に算出し、その値から各種広告売上動向、さらには広告業界全体の動きを確認していく。

スポンサードリンク


雑誌は復調続く、新聞の不調は変わらず、インターネットは相変わらず堅調


データ取得元の詳細な情報、各項目における算出上の留意事項、さらに今件カテゴリーの過去記事は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】に収録・記載している。必要な場合はそちらで確認のこと。

まずは両社の主要項目ごとの前年同月比。

↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2014年10月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2014年10月分種目別売上高前年同月比

4大従来型メディアでは雑誌の復調が目に留まる。もっとも「堅調」ではなく「復調」に留まっている。グラフや中見出しでも「復調」と表現し、「堅調」では無いのは、この実態が実質的には前年同月における大きなマイナスの動きの反動の範囲でしかないため。2年前比を試算すると電通がマイナス13.5%、博報堂はプラス0.1%となり、伸びを示したというよりは縮んだ勢いのリバウンド的なものに近い。

では逆に今回月下げた新聞は前年同月が大きくプラスで、その反動で下げたのかというと、電通はその通りで2年前比はプラス10.9%となり、想定の範囲内の下げ。他方博報堂は前年同月もマイナス値を示しており、2年前比ではマイナス5.2%となってしまう。両社で新聞に関する状況は少々異なるようだ。

インターネットは堅調さを示し続け、特に博報堂の伸びが大きい。また従来型広告は大よそ博報堂の手堅さが目に留まるが、特に「その他」項目での伸びが著しい。両社とも前年同月もプラス値を示しており、この分野が大きな成長を示している……とはいうものの、その名前からも分かる通り、「その他」は従来の仕切りに収まらないタイプの項目における売上で、特定の分野ではないため、「その他が成長している」との表現は多分に語弊がある。

例えば電通の場合、「その他」の説明では「衛星その他のメディア、メディアプランニング、スポーツ、エンタテインメント、その他コンテンツなどの業務」との記述があり、どの部分の伸びか見えにくい状況となっている。金額は単月で電通が130億円近く、博報堂も10億円強。博報堂はともかく電通は新聞すら超える大きな金額にまで達しており、そろそろ新しい区分が必要な感は否めない。

↑ 参考:電通2014年10月度単体売上(前々年同月比)
↑ 参考:電通2014年10月度単体売上(前々年同月比)

電通で前々年同月比を試算したが、新聞はテレビと同レベルで順調(金額面では無く2年前比で、という意味)、インタラクティブメディアは好調、そして直上で挙げたように「その他」が大きく伸び、それ以外の従来型他メディア広告も押し並べて良い動きを示している。その一方で雑誌とラジオの不調さが目立つ。

電通の各年10月における総額の過去からの推移を確認


次のグラフは電通の今世紀(2001年以降)における、今回月も含めた各年10月の広告売上総額推移を抽出し、その動向を折れ線グラフで示したもの。同じ月の経年売り上げ推移であることから、季節属性(季節や月により広告出稿の大小が生じること)にとらわれることなく、大雑把なものではあるが年単位での売り上げ推移、そして広告市場の情勢を推し量れるものとなっている。

↑ 電通月次売上総額推移(各年10月、億円)(-2014年)
↑ 電通月次売上総額推移(各年10月、億円)(-2014年)

今回月は特にイレギュラー要素も無く、金融危機ぼっ発前の堅調さと、サブプライムローン問題の発覚による軟調さ、リーマンショックでさらに下げ、その後復調を見せたかと思いきや震災と過度の円高による政経不況(政治・経済双方の要素による不況)、その後の復調ぶりが良くわかるグラフが構成されている。そして今年の段階でもなお、金融危機ぼっ発前の水準にはまだ先が長いことも把握できる。

今件記事では日本の大手広告代理店として代表格となる電通と博報堂2社の動向を精査している。もっとも両社は同じ規模では無く、売上・取扱広告の取扱範囲には小さからぬ違いがある。それぞれの社内の動向を併記していることから、両社の「前年同月比」がそのまま「金額そのものの差異」のように誤読する事案が時折生じることになる。

そこで次にいくつかの項目における具体的金額を提示する。上記で触れている通り、インターネット分野の成長ぶりは今後も期待できる勢いだが、金額の上では追い越すどころか肩を並べるのもまだまだ先の話。例えば電通の場合、両者の間の金額上の差異は10倍以上に達している。

↑ 電通・博報堂DYHDの2014年10月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂DYHDの2014年10月における部門別売上高(億円、一部部門)

同じ分野でも両社では得手不得手があり、例えばインターネット部門では2倍以内の差に留まっているが、テレビでは大よそ2倍、「その他」では10倍以上の差が出ている。ちなみに総額は電通が1229.87億円、博報堂が662.47億円(概算)。大よそ2倍である。



今回月に限っても、電通・博報堂共に、単純な金額の上では新聞の売上がインターネットを上回っており、広告業関連の月次定点観測的記事として展開している経産省の広告費動向とはいくぶん意を異なる感がある。見方を変えると中小の広告代理店の方がインターネット関連広告では身動きがし易いのかもしれない。あるいはインターネット広告専用の広告代理店が奮闘している部分もあるのだろう。

ここ数か月は新聞の不調が目に留まる。同じ紙媒体でも雑誌はプラス値だが、本文の通りあくまでも復調の範囲で、好調さを示しているわけでは無い。好調か不調かの判断なら従来型4マスの中で好調なのはテレビのみということになる。一方で4大メディア以外の従来型メディアは押し並べて調子が良く、特にこの数か月は「その他」の動きが著しい。ただしイレギュラー的要素に惑わされやすく、上下の動く幅が大きいのも特徴。

何かと世の中が騒がしくなってきたこの頃だが、あるいは年末においては、広告関連にも大きな数字の動きがもたらされそうなイベントが起きる可能性がある。該当業界においては無論それを望む向きもあるのだろうが、動向を注意深く見守りたいところだ。


■関連記事:
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ)(上)…4マス+ネット動向編】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ)(下)…ネット以外動向概況編】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー