高齢者は長期居住傾向…賃貸住宅の平均居住年数をグラフ化してみる(2014年6月発表分)

2014/08/15 20:00

賃貸住宅の管理会社で構成される協会「日本賃貸住宅管理協会」では、半年のペースで【賃貸住宅景況感調査日管協短観】の更新版を公開している。その最新版となる「賃貸住宅景況感調査日管協短観・2013年度下期(2013年10月から2014年3月)」が2014年6月30日付で公開されたのをきっかけに、各種賃貸住宅の最新市場動向の確認を行っている。今回は賃貸住宅管理会社が管理する物件における、「居住者の平均居住年数」に関して現状の精査を行うことにする。

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短期間の学生や外国人、長期間の家族世帯や高齢者


各種調査要項などについては先行記事の【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化をグラフ化してみる】に記載しているので、必要な場合はそちらを参照のこと。

賃貸住宅の利用客層を「学生」「一般単身者(学生除く)」「一般ファミリー」「高齢者(65歳以上)」「法人」「外国人」に分類し、その上で個々の平均居住年数をグラフ化したのが次の図。「一般ファミリー」と「高齢者」では特に、長年居住者が多い(緑系統の面積が広い)のが分かる。個々世帯のライフスタイルをイメージすれば(家族世帯は子供の就学問題、高齢者は周辺地域との接点の維持)、引越しの必要性は低い、同じ住居に継続して住み続ける希望を強く持つのは必然的な話であり、居住年数が伸びるのは当然の結果ではある。

↑ 平均居住年数(全国)(2013年度下期)
↑ 平均居住年数(全国)(2013年度下期)

「学生」は2-4年が大半で、4年以上はほとんどいない。「学生」の賃貸住宅利用者の大半が大学生であること、そして通常の大学が4年制なのを考えれば、つじつまは合う。4-6年で6.4%ほどの値が確認できるのは、留年者、あるいは就職してもしばらくは学生時代と同じ場所に住んでいるものと考えられる。

また「外国人」は4年までの短期滞在が大部分で、スタイル的には学生に近い。さらに「1-2年」が3割に達しており、「学生」よりも短期性が強い。そして「高齢者」は他の区分とは比較にならないほど、6年以上の長期居住型が多数を占めている。これは「一般ファミリー」以上に引越しの必要性が薄いことに加え、上記でも言及したように、シニア層は近所づきあいも含めた周辺環境そのものとの結びつきが強く、単なる居住空間以上の意味合いが、その居住場所にあるからに他ならない。

東京と大阪で異なる動きも!?


これを首都圏・関西圏て分けてグラフ化すると、地域別の特徴が出てくる。

↑ 平均居住年数(首都圏)(2013年度下期)
↑ 平均居住年数(首都圏)(2013年度下期)

↑ 平均居住年数(関西圏)(2013年度下期)
↑ 平均居住年数(関西圏)(2013年度下期)

首都圏は全国平均と大きな違いは無い。あえて差異を探すとすれば、「一般単身」「法人」の長期利用者がやや多いくらいだろうか。中長期のビジネス用、出張者のための社宅的な場所として使われている事例の多さによるものと思われる。

一方で関西圏は「高齢者」の長期居住者が多数を占め、6年以上の人が2/3を超えている。地域社会と密着した人が多く、引越しする機会が少ないことの表れだろう。



今回はグラフ化の上詳細の精査は行わなかったが、首都圏・関西圏を除くエリア、つまり地方や近郊エリアにおいては、「高齢者」の長期入居者率が低い。6年以上の居住者が53.8%に留まっている。見方を変えると、都市圏の方が高齢者の集約率が高く、長期定住の傾向があるともいえる。これは国土交通省の試算でも裏付けされており、今後さらに都市部へ、特に首都圏に高齢者が集中することが推測されている。

理由はごく簡単で、「高齢者は行動範囲が狭い」「地方では行動範囲内に病院や商店などの生活施設が充足されておらず、生活しにくい」というもの。便利さを求めるため、地方はますます過疎化し、都市部はさらに密集化する。

都市圏の高齢者による長期入居者率は今後も上昇を続けていく。それに伴い、高齢者の独り身世帯も増加する。管理会社側としては、管理そのものの困難さに加え、該当賃貸住宅の建て替えの際の立ち退き問題など、各種負担は今まで以上に大きなものとなるに違いない。


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