現状・先行き共にDIは水準値以下を継続、燃料費・電気代高騰懸念強まる…2014年10月景気ウォッチャー調査は現状下落・先行き下落

2014/11/11 16:00

内閣府は2014年11月11日付で2014年10月時点となる景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によれば現状判断DIは先月比で下落して44.0となり、水準値の50.0を下回る状態を継続することとなった。一方先行き判断DIは先月から続いて5か月連続で下落して46.6となり、水準値の50を下回る結果に終わった。結果として、現状下落・先行き下落の傾向となり、軟調さから抜け出すことはかなわなかった。基調判断は前月から変更され「景気は、このところ弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、エネルギー価格の上昇等による物価上昇への懸念等がみられる」との文言が使われ、弱含み感と回復基調の表現が同席する奇妙な表現となった(あるいは踊り場的状況と読み解くべきか)。また先月から続き、以前は「燃料価格」と表記されていた価格高騰要素について用語が「エネルギー価格」と改められ、ガソリンなどの燃料だけでなく電気代の高騰が具体的に圧迫要因となっていることがうかがえる状況を反映している(【平成26年10月調査(平成26年11月11日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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現状指数は下落、先行き指数も下落で上昇項目は1つのみ


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧や用語解説ページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

2014年10月分の調査結果はまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前月比マイナス3.4ポイントの44.0。
 →「やや良くなっている」が減り、「やや悪くなっている」「悪くなっている」が増加。
 →家計は小売り関係の下落で、企業は製造と非製造の双方が弱含みで低下。雇用は一部で増加の動きが止まったことから低下。

・先行き判断DIは先月比で2.1ポイントマイナスの46.6。
 →消費税率改定前の駆け込み需要の反動減の影響が薄らいでいることへの期待感の言及が消え、エネルギー価格などの上昇への懸念が幅広い分野に及び、詳細区分における非製造業以外の全部門でマイナス影響となり、低下。

4月の消費税率引き上げの際に発生した、3月までの駆け込み需要の反動、そして税率上昇に伴う消費マインドの低下は5月頃から鎮静化の動きを示し、7月までにはほぼ収束している。そのおかげで7月においては現状DIは上昇したものの、8月では天候不順が大きく足を引っ張る形となり、低下。9月以降はその余韻を残しつつ、エネルギー価格の高騰への懸念と消費マインドの低迷が足かせとなり、低迷を続けている。

特に先行きDIにおいては先月同様に燃料、電気料金の高騰に対する懸念が強く、これが多部門で足を引っ張っている。冒頭で触れた通り、8月の時点では価格高騰による景気への足かせが「燃料価格等」と表現されていたのに、9月以降は一貫して「エネルギー価格等」とあらためられており、ガソリンだけでなく電気代も大きな負担としてその存在感を示しつつある。冬の気配を感じさせる11月以降は、これに加えて暖房用の灯油価格も影響することになるのだろう。

↑ 景気の現状判断DI(全体)推移
↑ 景気の現状判断DI(全体)推移

↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移
↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移

現状判断DIは雇用のみ下落


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向について、その状況を確認していく。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2014年10月)
↑ 景気の現状判断DI(-2014年10月)

今回月は消費税率改定後7か月目の月。概況説明にもある通り、小売店側から見た反動に伴う影響に関する文言は消え、半年経過が目安だったことがことが分かる。一方で凹んだ景況感を回復させるに必要となる材料が無く、上昇に転じた項目は皆無。

また今件調査の回答者は一般消費者自身サイドの考えではないため言及もそれほど多くないが、先月と比べて「消費税の再増税の論議等に伴う消費マインドの低迷」「消費税率10%への引上げに伴う心理的不安」「今後の消費税増税を心配している客が多い」など、懸念的記述が増えているのが確認できる。【消費税率は8%に固定し、一度白紙に戻して再審議すべきという提案】でも指摘の通り、消費税率10%引上げへの懸念が重しとなり、消費者レベルでの消費抑制思考が働き始めている可能性は小さくない。

今回月は全項目で下げ、水準値(50)以下の項目は雇用関連以外全部という状況に変わりはなく、マインドが低迷したままの状態にあることは否めない。雇用関連も前月比でマイナス値を示し、水準ギリギリの50.0となっており、予断を許さない状態にある。

景気の先行き判断DIは非製造業以外の全項目で前月比マイナス。

↑ 景気の先行き判断DI(-2014年10月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2014年10月)

最大の下げ幅を示したのは住宅関連でマイナス4.5ポイント、次いで飲食関連のマイナス3.0ポイント。住宅関連は順調に戻していたが9月は勢いよく失速し、その勢いがさらに継続した感は否めない。また飲食関連の下落ぶりはファミリーレストランなど一部では堅調なものの、主にファストフード系における不調の継続、そして為替レートの変動や需給に伴う原材料の価格上昇に伴う利益幅の縮小、それをカバーするために行う値上げで発生しうる客数の減退が懸念されているのだろう。また全般的に家計に身近な項目(BtoC)での下げ幅が大きく、消費の減退を予兆させる。

ガソリン代と電気料金の上昇、そして消費税率再引き上げ圧力


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたって用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国での統括的な内容、そして各地域ごとに細分化した上で公開している。その中から、世間一般で一番身近な項目となる「家計(現状・全国)」そして「家計(先行き・全国)」の事例を抽出し、その内容についてチェックを入れてみる。

■現状
・今月の売上に占める外国人売上の割合は、前年の4%強から10%強に上昇した。消費税増税による売上の減少はいまだに継続しているものの、外国人売上の急激な増加により、全体では増収となっている(百貨店)。
・先月同様、台風や雨で売上は一時的に落ち込んだものの、全体的には衣料品関係の売上は良好であった(衣料品専門店)。
・10月は予約件数が好調に推移していたが、週末、連休に台風が接近した影響で、1500件ほどのキャンセルが発生し、売上も前年を割り込む結果となっている(その他のサービス[レンタカー])。
・消費税増税から半年になるが、消費を控えたり、より安い店を探す客が増え続けている(乗用車販売店)。
・今月は2週続けて客の多い土日に台風が来たことで、来客数が非常に落ちてしまっている。1人当たりの買上点数、客単価は前年並みか前年より若干増えているものの、来客数は前年に比べて1割ほどの減少である(スーパー)。
・この2-3か月は消費税増税後の低迷から回復の兆しが見えてきたかと思われたが、足元では大きく後退している。悪天候の影響を差し引いても、宝飾品や時計等高額品の販売点数が激減している。日々の暮らしの中で消費税増税の重みを実感してきたという声もしばしば聞かれる(百貨店)。

■先行き
・新型車の発売やモデルチェンジが予定されており、販売増が見込める(乗用車販売店)。
・地上デジタル放送のアナログ放送への変換が2015年3月に終了するのを前に、年末のボーナス商戦ではテレビの買換え需要が高まる(電気機械器具製造業)。
・株価の動向、高止まりする燃料価格や消費税の再増税の論議等に伴う消費マインドの低迷から、景気は今以上に上向くとは考えにくく、せいぜい現状維持にとどまる(百貨店)。
・主力の食料品など、生活必需品の回復が遅くなっているので、今後も変わらず厳しいとみている(スーパー)。
・海外旅行の予約が伸びない。日本人は風評に敏感であるため、終息しそうにないエボラ熱やイスラム国の動向が気がかりである。また、不安定な株価の動きや、経済の停滞に関する報道も気になる(旅行代理店)。
・消費税率10%への引上げに伴う心理的不安、生活必需品の価格の値上げ、また、これから冬にかけて灯油などの価格の高値、高止まりなどがあるため、買い控えが進行する(スーパー)。

8月の天候不順は大きく消費性向を押し下げたが、9月はそれなりの状況に留まり、消費者の動向への影響も最低限のものとなった。ところが10月は台風が2回も上陸し、大いに消費を押し下げる要因につながった。10月に台風が2回も上陸したのは、過去においては気象庁の公開データで確認できる1951年以降(【台風の上陸数(2013年までの確定値と2014年の速報値)】)では1955年と2004年の2回のみで、かなりレアなケースだったといえる。これが消費減退の一因となったことは否めないが、各コメントを見るにそれは一要素に過ぎず、むしろ消費税率引き上げに伴うマインドの低下の継続浸透化に加え(再引き上げの可能性も多分に反映)、エネルギーコストなどのアップに伴う物価上昇が大きな重しとなっている。

また上記抽出内容にも見受けられる通り、企業動向関連を中心にガソリン代をはじめとした燃料費の高騰や電気代の引上げに伴う悲鳴が随所で起きている。燃料費の価格上昇は輸送費のアップにつながり、それは流通される商品すべてに価格上昇のリスクをもたらすことになる。キーワード抽出を行うと「燃料」で7か所、「ガソリン」で3か所、「電気」で8か所確認でき、少なからぬ言及が成されている。社会全体を動かすための血液に相当する、電気や燃料の価格上昇が、景気全体の足を少しずつ、しかし確実に引っ張っているのが明確化している。また燃料費に限ればこれから冬期に向かうことから、特に北部地方における懸念が高まりを見せつつある(「灯油」は5か所で言及されている)。

燃料価格の高騰は原油価格によるもので、海外要因が大きい。一方電気料金は一部に海外からの輸入資源価格の上昇があるが、多分に震災以降の発電様式のアンバランスな状態を起因としており、大部分の原因は国内問題によるもの。早期の改善が自らの手で行えうるのは後者であり、早急な対応が求められる。

商店街・一般小売店が堅調…詳細精査


2014年4月分の公開値を基に、消費税率動向について細かい部門別に別途記事として精査をした【景気ウォッチャーの指標動向から消費税率改定後の景気行き先を推し量ってみる】の手法を用い、簡略的にではあるがしばらく継続的に現状・先行きDIの詳細動向を確認している。今回もその例にならい、10月分とその前月の9月分との差異、つまり一か月分の変化を詳しく見ていくことにする。まずは現状DIについて。

↑ 2014年9月から10月における現状DIの変動値
↑ 2014年9月から10月における現状DIの変動値

大まかな区分同様、全項目がキレイに下げている。特に百貨店・家電量販店・乗用車などの大きめな金額が動く項目、そして業界の構造的に問題を抱えると共に、原材料面でのコスト懸念が大きい飲料関係の下げ幅が突出している。またどちらかといえば、サービスや製造よりも、小売り関連の方が幅広い下げ方なのが分かる。

↑ 2014年9月から10月における先行きDIの変動値
↑ 2014年9月から10月における先行きDIの変動値

↑ 2014年10月における先行きDI
↑ 2014年10月における先行きDI

現状DIと比べると先行きDIはマイナス部門がやや少なめで、プラス領域の項目も見られる。現状DI同様先行きDIでも小売りのうち商店街・一般小売店が堅調なのは興味深いところ。消費の地域回帰が起きているのだろうか。

家電量販店の下げ幅が気になるが、コメントを見るとエネルギーコストの増大により省エネ型商品のセールスに伸びが期待できそうに見えるが、その類の需要はすでに3月までの消費税率引上げ前の特需で先取されており、期待できそうにないなどの言及がある。その思惑が、現状同様先行きでも業績の回復を期待できない流れにつながっているのだろう。



複数の報道で伝えられている通り、今年の8月はエルニーニョ現象による冷夏こそ避けられたものの、台風や前線の影響である意味冷夏以上の悪天候を迎えることとなり、特に西日本では日照時間の短さが今後の農作物の育成動向に大きな影を落としかねないとして、不安視されるものとなっている。また10月もイレギュラー的な台風の相次ぐ上陸で、消費の足が引っ張られた感は強い。

一方、天候条件をはるかに超える大きな影響を与えているのが、燃料費や電気代のような、インフラに直結するコストの増加。幅広い方向でマイナスを及ぼしている。そして消費税率の再引き上げへの不安・消費引締め感と合わせて相乗効果的なものとなり、消費マインドの減退に拍車がかかる感は否めない。こり再引き上げの不安感が、本来ならば縮退していたはずの4月以降の引き上げ時におけるマインド低迷感を無意識のうちに残留させてしまっている部分もある。

燃料費の高騰は海外要因が大きいため、対策は打ちにくい(国内油田の開発を即時行うわけにもいくまい)。一方、電気料金周りは震災後の悪癖を引き継いだ現況が大きく影響しており、理性と知性をもってすれば必ず解決しえる問題に違いない。

とはいえ、これらの問題はいずれも1か月で解決するような話でないのも事実。政治要因が幾分きな臭くなってきたが、「大きな情勢変化が無い限り」来月もまた、現状DI・先行きDI共に低迷を続けるのだろう。これから一年の上では最大の消費活動が行われる年末商戦に突入することもあり、何らかの浪費を伴わないポジティブな、あるいはネガティブ感を打ち消す材料が欲しいところではあるのだが。


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