衆議院議員選挙の「一票の格差」を極力是正してみる

2014/11/30 13:10

間もなく行われる衆議院議員総選挙に関して、話題の一つに挙げられているのが「一票の格差」問題。議員一人当たりの有権者数が、選挙区によって異なる、つまり一票の投票に関する重みに大きな差が生じているというもの。この格差について極力是正を求める意見がある一方、現在の日本における地域別人口分布状況をかんがみると、都市部に議席が集中してしまうとの懸念も多い。そこで今回は各種データを基に、この「一票の格差」を極力是正した場合、議席配分はどのような状況になるのかを試算してみることにした。

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関東・近畿地方は大幅増加…衆議院議員小選挙区選挙


検証の様子今回の検証にあたって参考にしたのは、総務省の選挙制度の仕組みを説明する「なるほど!選挙」における【選挙の種類】。このページから衆議院議員小選挙区と同比例代表区選挙の区分、議席数を抽出する(今回は都道府県及びブロック単位での議席数の検証を行う)。現在小選挙区の議席定数は295人、比例代表区は180人。

そして各都道府県及びブロック単位の有権者数は、直近の国勢調査(2010年)の値を抽出する。その上で、

(1)総有権者数で総議席数を割り、単純かつ公正な有権者あたりの議席数(A)を算出

(2)各都道府県別の有権者数に(A)を乗算し、単純議席割り当て数を算出。議席は小数点には成りえないので、小数点以下を切り捨てる

(3)(2)をすべて足し、端数部分の切り捨てで生じるあまり議席数(現在の小選挙区における定数との差)について、(2)の小数点以下の値が高い選挙区から1議席ずつ配分していく

といったルールを設け、議席数を決定する。

まず現状における、衆議院議員小選挙区選挙の議席割り当ては次の通り。

↑ 衆議院議員小選挙区選挙・各都道府県別議員定数……現状(A)
↑ 衆議院議員小選挙区選挙・各都道府県別議員定数……現状(A)

これについて直近の国勢調査における人口分布を基に、都道府県別の選挙区レベルで極力一票の格差を是正すると次の通りとなる。分かりやすいように、現状の議席状況との差も算出しておく。

↑ 衆議院議員小選挙区選挙・各都道府県別議員定数……有権者数による厳密議席数配分(B)
↑ 衆議院議員小選挙区選挙・各都道府県別議員定数……有権者数による厳密議席数配分(B)

↑ 衆議院議員小選挙区選挙・各都道府県別議員定数(現状(A)から有権者数による厳密議席数配分(B)への変化)
↑ 衆議院議員小選挙区選挙・各都道府県別議員定数(現状(A)から有権者数による厳密議席数配分(B)への変化)

試算前は「議席配分がゼロになる都道府県もあるのでは」との懸念もあったが、幸いにもそのような事態は起きなかった。ただし鳥取県のように議席数が1の選挙区が生じている。

現状との差異を確認すると、小見出しの通り関東と近畿で大よそ増加を示し、それ以外の地域では減少する結果が出ている。特に東京のプラス6議席、神奈川県のプラス3議席、愛知県のプラス2議席が目立つ。

東京への集中化…衆議院議員比例代表区選挙


続いて比例代表区。算出方法は小選挙区と同じ。表示対象項目が少なめなので、グラフも現状議席数と厳密議席数配分の値を一つにまとめる。

↑ 衆議院議員比例代表区選挙・各都道府県別議員定数……現状と有権者数による厳密議席数配分
↑ 衆議院議員比例代表区選挙・各都道府県別議員定数……現状と有権者数による厳密議席数配分

↑ 衆議院議員比例代表区選挙・各都道府県別議員定数(現状から有権者数による厳密議席数配分への変化)
↑ 衆議院議員比例代表区選挙・各都道府県別議員定数(現状から有権者数による厳密議席数配分への変化)

元々複数の都道府県を一つのブロックとしてまとめている(東京都は例外)のため、大きな変化は無い。東京都がプラス2、東北と九州ブロックがそれぞれマイナス1の議席動向となる。……案外小さな改定で是正は出来そうだ。



今件はあくまでも都道府県、ブロック単位での是正試算のため、都道府県内部の「一票の格差」はまた別の話となる。少なくとも比例代表区選挙の議席区分は容易に是正が出来そうだが、小選挙区では鳥取県や東京都の事例にあるように、地域単位での「国政へ声を届けるための代議士」の数に大きな隔たりが生じるため、別の問題が生じることは容易に想像が出来る。

極端な話、仮に今件試案をそのまま適用すれば、東京都の衆議院議員小選挙区選挙の議席数は31議席、鳥取県は1議席。その差は実に31倍となる。人口比を基にすれば当然の話となるのだが、果たしてそれで良いのか否か、よく言われる「平等と公平の違い」について、考える必要はあるのだろう。


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