被災三県で未処理地域は福島県のみ、同県では79.7%まで処理終了…震災がれき処理動向(2014年9月30日時点)

2014/11/08 11:00

2011年3月の東日本大地震・震災では被災三県(岩手県・宮城県・福島県)において特に大きな被害が発生し、災害廃棄物や津波堆積物で構成される、いわゆる「震災がれき」が大量に生じた。先日2014年4月末付で発表された2014年3月末分の進捗状況公開値において、そのうち岩手県と宮城県の処理が終わり、残すは福島県内部のものにつき、作業が進んでいる状態であることが分かった。そして現在もなお福島県内でその作業は行われ、逐次状況は変化をとげている。今回は復興庁が2014年11月7日付で発表した(リリース上は10月31日付)、同年9月末時点の進捗状況に関して、過去のデータも含め、当サイトで独自算出した指標も合わせグラフを生成し、分析を行うことにする。

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福島県内では震災がれきは299万トン、そのうち未処理分は61万トンに減少


「災害廃棄物」「津波堆積物」「災害廃棄物等」(「震災がれき」)など、今記事内で用いられる各種がれきに関する専門的用語の意味などは、関連記事の一覧ページ(【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】)にまとめて解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。なお公開資料の体裁は2014年5月末発表・同年4月末分から大きくそのフォーマットを変化させている。これは記述対象が、未処理対象が残る福島県の動向のみに限定されるようになったのが原因。

最初に確認するのは、がれきなどにおける「仮置き場」への搬入状況。災害廃棄物などは災害発生現場から直接処理場に運ばれ処理されるのではない。一度、仮の置き場に搬送され、その仮置き場から色々な方法で処分(焼却、埋め立て、再利用など)先へと運ばれ、処分が行われる。直接現場から処理現場に運ぶ方がスマートに思えるが、それでは処理工程や作業上の混乱が懸念される。要は商品の物流と同じで、量が多いだけにスムーズな作業の流れが求められる。そして現場(大部分は生活の場やその隣接地域)からの「がれき」排除を最優先事項としているのが、理由としては大きなものとなる。全体(福島県だけでなく被災三県における総合値。以下特記無き限り同)では2014年9月30日時点で災害廃棄物が99.3%・津波堆積物は98.8%との値が出ている。

なお災害廃棄物の進捗状況が先月末から停止しているが、これは主な処理未達地域である南相馬市と広野町について、選別後の可燃物に関して国が代行処理を行うこととなり、現在仮説処理施設の設置に向けて準備中であることから、その対応が開始するまで処理がストップしているのが原因。なお家屋解体に関しては、福島県でなお作業が残っている南相馬市(避難区域以外)では1940件のうち1660件の解体を終了、広野市では残り20件との説明がなされている。

↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2014年9月30日時点)
↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2014年9月30日時点)

がれき処理の作業進行に連れて仮置き場に運ばれたがれきの総量は増加する(仮置き場から各実処理へ移行したものは差し引かない。あくまでも累計である)。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を示すグラフで、処分の現状確認を行う。「処分」は多用な手法が用いられる。単純な埋め立て処分だけでなく、焼却、再生燃料化、素材として売却処分、リサイクルなどが主な選択肢として挙げられる。今グラフ内の「未処理」とは、被災現場に残された状態だけでなく、「仮置場」に搬入されたままの状態の対象も含まれる。「仮置場」に移しただけでは言葉通り仮に置かれただけ。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年9月30日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年9月30日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年9月30日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年9月30日時点)(万トン)

上記にある通り全体で仮置き場への集約率は災害廃棄物は99.3%・津波堆積物は98.8%までと、双方とも9割8分以上にまで進んでいる。しかしその先の行程の結果となる処理・処分済みの状況では、岩手・宮城両県はすべて終了しているのでものの、福島県ではそこまでは達していない。

これは「震災がれき」の処理では内容が複雑で量も多く、処理に時間がかかるから。がれき自身がどのような物質から構成されているか、それすらも分からない場合が多く(特に津波の被害地域では、その場に存在していた建物によるがれき「のみ」とは限らない。他からの漂着物の場合も多々ある)、震災がれきの処理には内容物の選り分けをはじめとした、各種処理行程が必要となる。遅れが生じているのは、主にそれが原因である。

被災三県で概算した全体的な処理の推移


復興庁では同庁公式サイト上で2011年12月時点分以降、災害廃棄物などの搬送動向情報をほぼ一か月のペースで公開している。その公開資料上で、処理・処分動向が公開されたのは2012年2月14日分、一方で津波堆積物は2012年7月31日分以降。

それらの公開値を逐次取得し、処理状況の推移を示したのが次のグラフ。上記にある通り被災三県のうちすでに岩手県と宮城県は処理を終えており、作業中なのは福島県に限定されているが、次のグラフは被災三県全体としての処理状況を示したものである。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2014年9月30日)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2014年9月30日)

災害廃棄物の処理は2012年の年末、津波堆積物は2013年の春先から処理が加速している。「福島県における国の直轄処理地域での処理状況が計算から除外された」のも一因だが、むしろ主要因は政情変移に伴う処理への姿勢・対応の変化によるものだろう。それ以外に該当しうる理由が見つからない。

また災害廃棄物では2013年半ばから、津波堆積物でも2013年末から、上昇カーブがやや緩やかになりつつある。これは処理が終盤に迫るに連れて、困難な場所での作業を手掛ける事例が増えたことによるもの。現在では福島県のみ作業が行われ、数字が上乗せされる状況であることから、今後はグラフの形状もこのままほぼ横ばいを維持するものとなることが予想される。

全体進捗率は97.7%…進行現状のまとめ


最後に現時点での処理状況を一目で把握するため、各県ごとの災害廃棄物と津波堆積物双方(つまり「震災がれき」全体)の処理済み・未処理トン数、さらには総推定重量に対する処理進捗状況を公開値をベースに当サイト側で独自に算出し、その値を元にグラフを生成する。繰り返しになるが現在も処理作業を続けているのは福島県のみであることから「未処理」項目の表示がなされている(グラデーション処理がされた部分が表示されている)のは福島県と全体の項目のみである。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年9月30日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年9月30日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年9月30日時点)(対全体進捗比率)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2014年9月30日時点)(対全体進捗比率)

現時点では震災がれきの処理は被災三県合計では97.7%まで進んでいる。

今グラフのうち、特に万トン数の積み上げグラフから見るに、今なお60.8万トンもの震災がれきが処理されず、その姿のままで(福島県の)仮置き場や現場に残されている。引越しに使われることもある大型の4トントラックなら15.2万台分、戦艦大和(満載時、7.11万トン)ならば約8隻分と半分程度と表現できる。



2014年4月公開・3月末分までの報告記事で伝えている、そして今記事でも繰り返し書き記しているが、現時点で被災三県のうち岩手県・宮城県における震災がれきの処理は終了しており、福島県のもののみが処理作業を続けている。復興庁発表の公開データも体裁を変えており、変動する数字もその領域を狭まることになったのを受け、2014年5月公開・4月末までの値に関する精査記事以降、今件記事もいわゆる「上書きタイプ」のものにスタイルを変更している(ただし最近では過去の記事について、検索エンジンにはインデックスをさせないとの指示の上で掲載を成し、記録保全は継続している)。

二県の処理終了がなされたことは喜ぶべきだが、それで二県の震災に関する作業すべてが終わったわけでは無い。むしろそこからスタートとなり、復興、回復、そして発展への歩みが待っている。それらを果たすための各種事業でも、極力いわれなきハードルが取り除かれるよう、心から願いたいものだ。そしてもちろん福島県においては、一刻も早い作業の進行、そして今記事の更新作業の終了宣言が出せるよう、望みたいところではある。


■関連記事:
【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】
【震災がれき広域処理、賛成派88.3%・反対派8.9%】(2012年8月)
【「がれきの撤去」はまだ半ば…被災三県がボランティアに望むこととは】(2011年11月)

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