独身世帯で減る公的年金への信頼、夫婦世帯で増える老後の再就職希望(2013年)

2013/12/04 14:00

若い時分と異なり就業そのものに難儀する高齢世代。労働そのものがおぼつかなくなり、あるいは就職が継続できても手取はかつての額よりも少なく、多分に公的・私的年金で日々の生活を営むことになる。しかしその収入源の確保の仕方は人によりさまざま。中には利子配当所得だけで優雅な日々を過ごす人もいるだろう。今回は金融広報中央委員会の「知るぽると」が2013年11月7日に発表した「家計の金融行動に関する世論調査」の最新版である2013年分などのデータを基に、「老後の生活費の収入源として考えている手立て」について焦点を当てることにする(【知るぽると:調査・アンケート公開ページ】)。

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老後の支えは公的年金、就業収入、私的年金の順


一部自営業などを除けば60歳以降の定年退職で就業していた職場を離れ、セカンドライフ(第二の人生)を堪能するようになる。その際の生活費をどのような手段でまかなうかは人それぞれ。冒頭で触れたように年金や利子配当所得だけで十分の人もいれば、到底足りずに再び職に就く人、これまでの蓄財を切り崩していく人もいる。今件では老後の生活費をどのような収入源で補うかについて尋ねたものだが、単身・二人以上世帯双方ともトップは「公的年金」となっている。

↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(2013年)
↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(2013年)

二人以上世帯の方が「公的年金」への依存度が高いが、これは多分に受給額が大きい厚生年金を対象としているからだと考えられる。また夫婦二人分ともなれば、単純計算で額が大きくなり、やりくりもしやすくなるのも道理である。

第二位には「就業収入」がついているが、こちらは単身世帯の方が4%ポイント高い。配偶者の就業収入に頼ることも出来ず、「公的年金」の不足分は自らの手で稼ぐという選択肢として考えれば納得はいく。一方第三位の「企業・個人年金、保険金」は老後を迎える前の備えを利用するものだが、やはり雇用事例や老後に至るまでの金銭的な余裕の比較で、二人以上世帯の方が高い値を見せる。

「公的年金」がメインで、「就業収入」「企業・個人年金など」が補完、余裕がある人は「金融資産の取り崩し」も併用。一人身ほど自らの手で稼ぐ傾向が強いなど、世帯構成によるお金周り事情の違いがすけて見えてくる。

ちょっとした変化が起きた雰囲気の2013年


さてこれらの動向をデータが取得可能な2007年以降の推移でみると、いくつかの動きが確認できる。

↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(単身世帯)
↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(単身世帯)

↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(二人以上世帯)
↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(二人以上世帯)

過去においても大まかなウエイトは直近の2013年と変わらないものの、

・単身世帯では「就業収入」「企業・個人年金、保険金」への傾注が増えると共に、「公的年金」が減っている。
 →「公的年金」への期待低下、それを補完するために自ら働こうという意志の高まり
・二人以上世帯では「就業収入」「企業・個人年金、保険金」への傾注が増える
 →漠然とした収入の減退不安、それを補完するために自ら働こうという意志の高まり
・2011年以降の「金融資産取崩し」回答者急減
・2013年における「企業・個人年金、保険金」「金融資産取崩し」の下落と、単身世帯における「その他」の急増化。

の傾向が確認できる。単身世帯と二人世帯それぞれの、世間一般に語られる「リスク」の違いがそのまま表れている。

一方、2011年に発生した「金融資産取崩し」への回答者の急減は原因を特定できない。単身・二人以上双方の世帯で同じ動きが確認できるため、データ上の「ぶれ」とも考えられない。景気悪化、あるいは震災による被害の回復のために漸次取り崩しを行い、将来まで維持できそうにないとの考えが急速に広まった可能性もある。

また2013年に限ればこの数年間続いてきた傾向のいくつかが、変化を示す兆しが見受けられる。「企業・個人年金、保険金」の減少化への動きは、そこまで備えとして蓄積する余裕が無くなってきたことの表れか、あるいは非正規雇用者の増大で企業年金制度を適用できない人が増えたことによるものなのか。単年によるイレギュラーの可能性もあるため、来年以降に注目したい。

さらに単身世帯の「その他」の増加も気になる。具体的にどのような収入源なのか想像がつきにくいが、その選択肢を「老後におけるメインの収入源のトップ3」とする回答が1割を超えている状況は、注視すべきものといえる。

ともあれ、老後の生活を支える収入源としては、「公的年金」に依存期待をしながらも、単身・二人以上世帯それぞれが各個の事情や思惑に従い、対策を練り実行していることがうかがえる。特に二人以上世帯で「就業収入」への傾注が継続して高まりを示す状況は、現時点でも大きな社会問題化している失業率・雇用市場との関係も深いことから、今後の動きを見据える必要がある。少なくとも現状では、高齢者の労働への参加意欲は、さらに高まりそうである。


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