競争社会は善か悪か、国ごとの捕え方の違いをグラフ化してみる(2010-2014年)(最新)

2014/11/22 15:08

完全に平等な社会はある意味理想郷ではあるが、同時に地獄であるとも解釈できる。どのような成果を生み出してもそれが評価されることが無ければ、やる気を見出すすべが無くなってしまう。一方で過度な競争社会はさまざまな弊害を人々にもたらすとの意見も少なくない。欲望に駆られて悪の道に走ったり、機会を得られない人との間の格差が理不尽なまでに大きく開きかねないからだ。それでは競争社会に対する人々の思いは、国によって違いがあるのだろうか。今回は世界規模で国単位の価値観を定点観測している【World Values Survey(世界価値観調査)】から、競争社会の是非、そしてそれに類する形で「大きな政府」「小さな政府」への考え方を確認していくことにする。

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競争社会は大よそ肯定的


今調査「World Values Survey(世界価値観調査)」に関する概要、調査要項、信頼度の算出方法などは今調査に関する先行記事の【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度をグラフ化してみる】を参考のこと。

次に示すのは競争社会という概念に対し、働く気力を起こす有益な仕組みであるか、それともさまざまな罪悪を導く悪しき仕組みであるかを、10段階評価で答えてもらい、その平均値を国ごとに算出したもの。数字が大きいほど有害、小さいほど有益であるとの意見が強くなる。

↑ 競争社会は働く気力を起こす有益な仕組みか、それとも有害か(1(有益)-10(有害))(2010-2014年)(平均値)
↑ 競争社会は働く気力を起こす有益な仕組みか、それとも有害か(1(有益)-10(有害))(2010-2014年)(平均値)

中央となる値は5.5になるので、それより低ければ競争社会肯定、それより高ければ否定と仕切ることができる。今回の対象国では全部の国が5.5を下回っており、競争社会は大よそ肯定されていることになる。

とはいえその度合いは国によってさまざま。あまり積極的でないのはポーランドやオランダ、タイ、ウクライナ、シンガポールなど。大よそ(旧)共産圏に多い感はある。ただし中国は別で、むしろ強めの領域にある。

強いと言えばエジプトの際立った強さも目に留まる。詳細を確認すると実に過半数の50.5%が「1」、つまり「競争社会は絶対良い」と答えている。他の調査項目でも似たような動きを示しており、エジプトは特に個人主義、競争による利益の確保に対する飽く無き欲求が強い感はある。

日本はといえば4.140といくぶん弱めな競争主義賛意派。ほぼ同じ値を示す他の国を見比べると、同意感を得る人も多いのではないだろうか。

大きな政府か小さな政府か


競争社会の肯定否定と類似した社会構成に関する論議として、大きな政府か小さな政府かというものがある。政府機関の場所そのものが大きいか否かでは無く、国が積極的に社会に介入して福祉などを充実させる一方で、保護主義的、官僚主義的に陥りやすい「大きな政府」を望むか、極力民間に委任することで国の関与を少なくし、国の運用コストを減らして自己責任の面を強くする「小さな政府」を望むかという問題。前者の極論的体制が社会・共産主義であり、後者が突き進んだ形態は夜警国家とも呼ばれている。

↑ 国民の暮らしには政府が責任を持つべきか、個人が責任を取るべきか(1(政府)-10(国民))(2010-2014年)(平均値)
↑ 国民の暮らしには政府が責任を持つべきか、個人が責任を取るべきか(1(政府)-10(国民))(2010-2014年)(平均値)

完全な中庸派となれば理論的には5.5に収まるはずだが、概して大きな政府を望む声が強く、小さな政府派の国は少数でしかない。もっともそれらの国でも個人主義的な考え方が強い以外に、単純に国の運営コストがかかりすぎて負担が大きいので、小さな政府的にリフレッシュしてほしいとの考えもあるのだろう。

小さな政府派としてはニュージーランド、アメリカ合衆国、香港、フィリピンなど。一方でウクライナ、エジプト、ロシア、韓国などは政府による大規模な介入を望む声が強い。日本も大きな政府派に近く、意見留保的な意味を持つ「分からない」の回答率も5.2%でしかない。広範囲な社会保障を求める動きも、この「大きな政府」を望む声の強さを起因としているのだろう。


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