競争社会は善か悪か、世界各国の考え方の違いをグラフ化してみる(2017-2020年)(最新)

2021/02/01 05:40

このエントリーをはてなブックマークに追加
2021-0122完全に平等な社会はある意味理想郷ではあるが、同時に地獄であるとも解釈できる。どのような成果を生み出してもそれが評価されることがなければ、やる気を見い出すすべが無くなってしまう。一方で過度な競争社会はさまざまな弊害を人々にもたらすとの意見も少なくない。欲望に駆られて悪の道に走ったり、機会を得られない人との間の格差が理不尽なまでに大きく開きかねないからだ。それでは競争社会に対する人々の思いは、国によって違いがあるのだろうか。今回は世界規模で国単位の価値観を定点観測している【World Values Survey(世界価値観調査)】から、競争社会の是非、そしてそれに類する形で「大きな政府」「小さな政府」への考え方を確認していくことにする。

スポンサードリンク


競争社会はおおよそ肯定的


今調査「World Values Survey(世界価値観調査)」に関する概要、調査要項などは先行記事の【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度をグラフ化してみる】を参照のこと。

次に示すのは競争社会という概念に対し、働く気力を起こす有益な仕組みであるか、それともさまざまな罪悪を導く悪しき仕組みであるかを、10段階評価で答えてもらい、その平均値を国ごとに算出したもの。数字が大きいほど有害、小さいほど有益であるとの意見が強くなる。

↑ 競争社会は働く気力を起こす有益な仕組みか、それとも有害か(1(有益)-10(有害)の選択肢での平均値)(2017-2020年)
↑ 競争社会は働く気力を起こす有益な仕組みか、それとも有害か(1(有益)-10(有害)の選択肢での平均値)(2017-2020年)

中央となる値は5.50になるので、それより低ければ競争社会を肯定、それより高ければ否定と判断することができる。今回の対象国ではイラク以外のすべての国が5.50を下回っており、競争社会はおおよそ肯定されていることになる。唯一イラクのみが競争社会を否定しているが、これは宗教観によるものか、それとも国家体制によるものか。

競争社会を否定する国がほとんどではあるが、その度合いは国によってさまざま。あまり積極的でないのはタイやオランダ、韓国、トルコなど。おおよそ旧共産圏で値が高い≒競争社会を否定気味な雰囲気はあるものの、中国では逆に、むしろ非常に低い、つまり競争社会を肯定する側に位置している。

エジプトの際立った肯定感も目に留まる。詳細を確認すると実に41.3%が「1」、つまり「競争社会は絶対によい」と答えている。他の調査項目でも似たような動きを示しており、エジプトは特に個人主義、競争による利益の確保に対する飽くなき欲求が強い印象がある。

日本はといえば4.57といくぶん弱めな競争の肯定派。ほぼ同じ値を示す他の国を見比べると、同意感を覚える人も多いのではないだろうか。

大きな政府か小さな政府か


競争社会の肯定否定と類似した社会構成に関する論議として、大きな政府か小さな政府かというものがある。政府機関の場所や建物そのものが大きいか否かではなく、国が積極的に社会に介入して福祉などを充実させる一方で、保護主義的、官僚主義的に陥りやすい「大きな政府」を望むか、極力民間に委任することで国の関与を少なくし、国の運用コストを減らして国民の自己責任の要素を大きくする「小さな政府」を望むかという問題。前者の極論的体制が社会・共産主義であり、後者が突き進んだ形態は夜警国家とも呼ばれている。

↑ 国民の暮らしには政府が責任を持つべきか、個人が責任を取るべきか(1(政府)-10(国民)の選択肢での平均値)(2017-2020年)
↑ 国民の暮らしには政府が責任を持つべきか、個人が責任を取るべきか(1(政府)-10(国民)の選択肢での平均値)(2017-2020年)

完全な中庸派となれば理論的には5.50に収まるはずだが、5.50で区切るとポーランドとイタリアの間となり、おおよそ半分ぐらいになる。ずば抜けて値が高い、つまり「小さな政府」を望んでいるのはイラクで、上記の競争社会に関する設問ではもっとも高い値、つまり競争社会を否定しており、同国では競争社会を否定しつつも、政府よりも個人の責任を優先すべきだとする、相容れないような国民感情を抱いていることになる。

「小さな政府」を望む国としては、スイスやスウェーデン、フィンランド、イギリス、フランスなど。一方でエジプト、ブラジル、ギリシャ、日本、キプロスなどでは「大きな政府」を望む声が大きい。日本はこの設問に関しては意見留保的な意味を持つ「分からない」の値も1.8%、他に無回答の値も1.0%でしかなく、明確な意思の上での結果といえる。広範囲な社会保障を求める動きも、この「大きな政府」を望む声の強さを起因としているのだろう。


■関連記事:
【弱肉強食と弱者保護、日本社会はどちらを重視すべきか】
【政府に求める「子供をネットの有害情報から守るための施策」、トップは該当サイトへの規制強化】
【20-30代は満足派1割のみ…年金制度への不満感、若年層ほど大きい傾向】
【世界の対外債務状況をグラフ化してみる(2014年)(最新)】
【自由競争か弱者保護か、年収次第で変わる選択】

スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2021 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS