男女平等かそれとも…世界各国の女性観をグラフ化してみる(2010-2014年)(最新)

2014/11/22 10:03

身体的な性質、生物学上の役割の上での相違以外に、歴史的背景や宗教的観念などの影響で、男性と女性の間には性の上での区別・差別が生じることがある。国や地域によって捕え方は多種多様で、ある国では常識的な考え方でも、他の国では問題視される行為も少なくない。今回は世界規模で国単位の価値観を定点観測している【World Values Survey(世界価値観調査)】から、男女の違いをもとにした社会的観念について、4つの観点で国ごとの違いを確認していくことにする。

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今調査「World Values Survey(世界価値観調査)」に関する概要、調査要項、信頼度の算出方法などは今調査に関する先行記事の【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度をグラフ化してみる】を参考のこと。今回焦点を当てる設問は4つ。特に順番そのものに意味は無い。

まずは「妻が夫より稼ぐとトラブルが生じやすい」。賛意はプラス1、反意はマイナス1で計算した結果が次のグラフ。マイナス幅が大きいほど「妻が夫より稼いでも全然問題は無く、トラブルなど発生するはずが無い」ということになる。次以降の項目も合わせ、回答者における考え方を述べてもらっていることに注意。

↑ 妻が夫より稼ぐとトラブルが生じやすい(2010-2014年)(賛成=+1、反対=−1)
↑ 妻が夫より稼ぐとトラブルが生じやすい(2010-2014年)(賛成=+1、反対=−1)

夫よりも妻が稼いでも特に問題は無いのでは、とする意見が多勢を占めている。特に男女平等感の強い欧米でその傾向が強い。日本はといえばギリギリでマイナス圏、つまり問題は無いとする派だが、やや値の伸びが弱い。これは他の国際調査でも良く見られる傾向、「どちらともいえない」の回答率が極めて高く(46.3%)、意見そのものが大きな動きを示していないことによるもの。

プラス、つまり妻の稼ぎが多いとトラブルになりうるとする意見は、エジプト、コロンビア、チリ、メキシコの4か国。エジプトは宗教的な問題もあり、大きな値となるのも仕方がないのかもしれない。

続いて「女性が一人前として認められるのには、自分自身の仕事を持つのが一番」とする意見。要はこの人間として認められるには、仕事を立派にこなすのが良いとする考え方。

↑ 女性にとって自分の仕事を持つことが個人として認められるのには一番重要だ(2010-2014年)(賛成=+1、反対=−1)
↑ 女性にとって自分の仕事を持つことが個人として認められるのには一番重要だ(2010-2014年)(賛成=+1、反対=−1)

今項目では全部の国がプラスで、女性の積極的な就業には好意的であることがうかがえる。特にブラジルやコロンビア、チリといった南米諸国での好意度の高さが目に留まる。チリや台湾、ルーマニア、そしてドイツも抜きんでた高さを示している。中でもドイツは現在アンゲラ・メルケル首相という具体例があり、賛意を示す人も多いのだろう。

一方低めなのはニュージーランド、スウェーデン、オーストラリア、中国、アメリカ合衆国など。選択肢は設問内容に対してはい・いいえの2択のため、具体的にどのような思惑でいいえを選んだかまでは不明だが、たとえば家庭を守る事でも立派に個人として認められるとの認識を有している可能性は高い。

続いて子育てにも関する話。母親が働きに出ると、子供は不幸になることが多いとする意見に対する賛否。今件と次の項目は、強い賛成・賛成・反対・強い反対の4選択肢が原則的に用意されているため、加重の上で値を算出している。今項目の場合、プラスが大きいほど同意、マイナスが大きいほど反意を意味する。

↑ 母親が働きに出ると子供は不幸になる(2010-2014年)(強い賛成=+2、賛成=+1、反対=−1、強い反対=−2)
↑ 母親が働きに出ると子供は不幸になる(2010-2014年)(強い賛成=+2、賛成=+1、反対=−1、強い反対=−2)

賛意派の解釈としては「母親が働きに出ると当然子供との時間が少なくなる。収入の面ではプラスとなるが、その分、愛情が注がれる機会が減ってしまう」というものだろう。この考えに全体的な傾向として賛意を示す国はタイ、エジプト、香港、ポーランド、ブラジル、そして韓国。強い反意を見せる国はオランダ、オーストラリア、台湾、アメリカ合衆国など。日本はやや反対派というあたり。

各国の兼業主婦の現状や社会福祉体制、宗教観、家事の実態などは別々のため、一概にくくるのは難しいが、国ごとの母子の愛情や兼業主婦のとらえ方などの違いが垣間見えて興味深い。

最後は政治的な問題。女性よりも男性の方が政治指導者として優れているか否かとの意見に、賛意を持つか、反対意見を持つかというもの。

↑ 概して女性より男性の方が良い政治指導者になりやすい(2010-2014年)(強い賛成=+2、賛成=+1、反対=−1、強い反対=−2)
↑ 概して女性より男性の方が良い政治指導者になりやすい(2010-2014年)(強い賛成=+2、賛成=+1、反対=−1、強い反対=−2)

エジプトは強い同意感を示しており、男性による政治主導を強く求めている。これは上記の通り、宗教的な問題が主な理由。それ以外ではフィリピン、ロシア、タイ、ウクライナ、そして中国が女性による政治指導者に対し、否定的な状態。

反対派、つまり女性でも良い政治指導者になることは十分可能であるとする意見は、スウェーデンやオランダ、スペイン、ドイツなど西ヨーロッパ諸国に多い。特にドイツは上記の通り、実例が現在も活躍中であることが影響しているのだろう。

日本は反対派ではあるが、かろうじて、というところ。詳細を見ると、やはり「分からない」とする回答事例が35.0%と1/3を超えており、これが値の伸びを押しとどめていることが分かる。いかにも日本らしい、といえばそれまでなのだが。



冒頭でも触れているが、他の属性関連の話同様、男女間における仕切りも国や地域の文化特性などによって常識やしきたりが定められる場合が多く、何が唯一無比の正解であるとの回答は存在しない。今件もまた、国ごとの傾向、姿勢を示したに過ぎないもので、どの国の考えが正しく、また間違っているという話では無いことを、改めて記しておく。


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