責任感、想像力、倹約心…世界各国での子供への教育方針の違いをグラフ化してみる(2010-2014年)(最新)

2014/11/19 08:19

生物としての本能は別として、人は成長する過程で親をはじめとする多くの人から行動様式を学び、模倣し、経験を得て成長し、人格を形成していく。その成長過程で親の教育方針は大きな影響を及ぼすことになる。それではその方針は、国によって違いが生じるものだろうか。今回は世界規模で国単位の価値観を定点観測している【World Values Survey(世界価値観調査)】から、4つの教育指針にスポットライトをあてて、各国の姿勢の違いを見ていくことにする。

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今調査「World Values Survey(世界価値観調査)」に関する概要、調査要項、信頼度の算出方法などは今調査に関する先行記事の【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度をグラフ化してみる】を参考のこと。今回は子供に対する教育指針のうち、責任感、想像力、節約・倹約心、そして自己表現能力の計4つの指針について、子供に身に着けさせることが重要か否かを答えてもらい、肯定した人の割合を見ていくことにする。

まずは責任感。

↑ 子供に責任感を身に着けさせるのは重要か(2010-2014年)(重要だと思う人)
↑ 子供に責任感を身に着けさせるのは重要か(2010-2014年)(重要だと思う人)

最大の肯定値を示したのはオランダで90.8%。次いで韓国の87.8%、日本はその次の87.3%に達している。低めの値はエジプトの59.2%、ニュージーランドの56.1%。とはいえ今回対象となった国ではすべて過半数を超えており、責任感は重要視されていることが分かる。

高低に関する国の特性のようなものは無い。地域別や過去の社会体制別で高め、低めといった傾向は見出しにくい。もっとも特定国に限れば、「子供に責任感を習得させるのを重視しているのにその国の大人ときたら……」や「なるほど、その位の値だから国全体で」、さらには「低い値だけど国そのものは強い責任感を持っている行動が多いな」という感想を抱く人も少なくあるまい。

続いて想像力。創作などの芸術方面に重要なだけでなく、何か選択を求められるような事態に陥った時に先を見通す、予見するという観点でも重要である。自分の知識、情報から多様な組み合わせを行い、予想を立てる能力に長けていれば、柔軟な対応が出来る。

↑ 子供に想像力を身に着けさせるのは重要か(2010-2014年)(重要だと思う人)
↑ 子供に想像力を身に着けさせるのは重要か(2010-2014年)(重要だと思う人)

もっとも値が高いのはスウェーデンで46.7%。同国の教育システムの質の高さと柔軟性は良く知られたところであり、また同国の移民の多さ(=母国語のスウェーデン語が出来ない子供が多い)もサポート体制の充実を促している。放置をしてしまうと言葉の壁で、教育そのものがその子に与えられなくなってしまう。その社会全体における教育姿勢が、想像力の育成を大切にする点にも表れたのだろう。

次いでオーストラリア、ニュージーランド、ルーマニアが付き、その次に日本が入っている。序列上では高めだが、それが教育制度として体現化されているか否かを考えると、やや不安になる。

逆に低めなのはエジプトやウクライナ、フィリピン、韓国など。韓国は先の責任感では上位についている一方で、想像力では低い値に留まってるのが興味深い。

続いて節約・倹約心。教育指針とはいくぶん違うかもしれないが、子供の成長過程において学ぶべき要素としては、欠かせない概念の一つには違いない。

↑ 子供に節約・倹約心を身に着けさせるのは重要か(2010-2014年)(重要だと思う人)
↑ 子供に節約・倹約心を身に着けさせるのは重要か(2010-2014年)(重要だと思う人)

韓国がずば抜けて高く、約2/3。続いてスロベニア、台湾、タイ、中国、ロシアが続き、そこまでが5割超え。後続としてロシアやポーランド、そして日本が続く。日本が思ったほど高い場所に無いのには驚いた人もいるかもしれない。また地域特性別では、アジア地域がやや高めの値を示しているように見える。

最後は自己表現能力。日本人は他国と比べて低いと評されることが多い能力だが。

↑ 子供に自己表現能力を身に着けさせるのは重要か(2010-2014年)(重要だと思う人)
↑ 子供に自己表現能力を身に着けさせるのは重要か(2010-2014年)(重要だと思う人)

今項目は他項目と比べると国の差が大きい。最大値の韓国は49.9%、最低値のスペインは8.3%。40%ポイント以上の差が出ている。日本は33.6%で諸国の中ではほぼ中庸。日本人から見れば過剰にも見える自己表現を行う人を多々見かける国が高い値を示して「やっぱりそうか」と実感したり、値の低さに驚きを覚える人がいるだろう。



今件取り上げた指標はあくまでも子供への教育指針のうちの一部に過ぎず、しかも重点を置いてもその通りに子供が育つとは限らない。さらにいえば親の教育姿勢ですら、各指標対象の能力を正しく収得するために役立つわけではない。例えば親が自己表現能力を身に着けるために日々教え諭したところ、自己表現能力というよりはワガママな意思表示の姿勢が強く表れるようになってしまうという場合もあり得る。また節約・倹約心も国によって社会文化的な違いがあるため、同じ「倹約心」でもそれが指し示す、体現化されるものは異なってくる。

一方で、言葉の上でのくくりでも、国により教育指針に大きな違いがあるのが確認できるのも事実。各国の行動姿勢や事象を眺め見た時、あるいは推測を行う際、多分に参考になることだろう。


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