責任感、想像力、倹約心…世界各国での子供への教育方針の違い(2017-2020年)(最新)

2021/01/29 05:35

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2021-0121生物としての本能は別として、人は成長する過程で親をはじめとする多くの人から行動様式を学び、模倣し、経験を得て成長し、人格を形成していく。その成長過程で親の教育方針は大きな影響を及ぼすことになる。それではその方針は、国によって違いが生じるものだろうか。今回は世界規模で国単位の価値観を定点観測している【World Values Survey(世界価値観調査)】から、3つの教育指針にスポットライトを当てて、各国の姿勢の違いを見ていくことにする。

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今調査「World Values Survey(世界価値観調査)」に関する概要、調査要項などは先行記事の【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度】を参照のこと。

今回は子供に対する教育指針のうち、責任感、想像力、節約・倹約心の計3つの指針について、子供に身に付けさせることが重要か否かを答えてもらい、肯定した人の割合を見ていくことにする。

まずは責任感。

↑ 子供に責任感を身に付けさせるのは重要か(重要だと思う人)(2017-2020年)
↑ 子供に責任感を身に付けさせるのは重要か(重要だと思う人)(2017-2020年)

最大の肯定値を示したのは韓国で87.6%。次いでオランダの87.2%、日本は75.3%に達している。低めの値はイギリスの44.2%、ニュージーランドの53.2%、ギリシャの54.6%など。とはいえ今回対象となった国ではイギリス以外のすべての国で過半数を超えており、責任感は重要視されていることが分かる。

高低に関する国の傾向のようなものは無い。地域別や過去の社会体制別で高め、低めといった傾向は見出しにくい。もっとも特定国に限れば、「子供に責任感を習得させるのを重視しているのにその国の大人ときたら…」や「なるほど、そのぐらいの値だから国全体で」、さらには「低い値だけど国そのものは強い責任感を持っている行動が多いな」という感想を抱く人も少なくあるまい。

続いて想像力。創作などの芸術方面に重要なだけでなく、何か選択を求められるような事態に陥った時に先を見通す、予見するという観点でも重要である。自分の知識、情報から多様な組み合わせを行い、予想を立てる能力に長けていれば、柔軟な対応ができる。

↑ 子供に想像力を身に付けさせるのは重要か(重要だと思う人)(2017-2020年)
↑ 子供に想像力を身に付けさせるのは重要か(重要だと思う人)(2017-2020年)

もっとも値が高いのは韓国で52.4%。次いでスウェーデンの43.8%。両国の教育への熱心さはよく知られたところであり、またスウェーデンでは移民の多さ(=母国語のスウェーデン語ができない子供が多い)もサポート体制の充実を促している。放置をしてしまうと言葉の壁で、教育そのものがその子に与えられなくなってしまう。その社会全体における教育姿勢が、想像力の育成を大切にする点にも表れたのだろう。

次いで日本が入り、オランダ、スペイン、オーストラリア、イギリスが続く。日本は序列上では高い値だが、それが教育制度として体現化されているか否かを考えると、やや不安になる。

逆に低めなのはエジプトやキプロス、フィリピンなど。

最後は節約・倹約心。教育指針とはいくぶん違うかもしれないが、子供の成長過程において学ぶべき要素としては、欠かせない概念には違いない。

↑ 子供に節約・倹約心を身に付けさせるのは重要か(重要だと思う人)(2017-2020年)
↑ 子供に節約・倹約心を身に付けさせるのは重要か(重要だと思う人)(2017-2020年)

ロシアがもっとも値が高く48.2%、次いで韓国の45.0%、そして日本の43.7%が続く。ただどの国も5割を超えていない。日本が思ったほど高い場所にいるのには驚いた人も、そして一方で納得している人もいるだろう。こちらも地域別特性の類はないように見える。

ちなみに値がもっとも低いのはブラジルの18.0%、次いでイラクの18.3%、イギリスの18.9%が続く。イギリスの値の低さには意外さを覚える人もいるだろう。



今件取り上げた指標はあくまでも子供への教育指針のうちの一部に過ぎず、しかも重点を置いてもその通りに子供が育つとは限らない。さらにいえば保護者の教育姿勢ですら、各指標対象の能力を正しく習得するために役立つわけではない。教える側が曲解している可能性もあれば、子供が曲解して習得してしまう可能性もある。また例えば節約・倹約心は国によって社会文化的な違いがあるため、同じ「倹約心」でもそれが指し示す、体現化されるものは異なってくる。

一方で、言葉の上でのくくりでも、国により教育指針に大きな違いがあるのが確認できるのも事実。各国の対外的な姿勢や国内事案を眺め見た時、あるいは推測を行う際、多分に参考になることだろう。


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