市場観下落、為替動向に熱い視線が注がれる…野村證券、2014年10月分の個人投資家動向発表

2014/10/17 15:00

野村ホールディングス(8604)のグループ会社野村證券の一部門である「グローバル・リサーチ本部」は2014年10月16日、個人投資家の投資動向アンケート調査における結果報告書「ノムラ個人投資家サーベイ」の最新版(2014年10月分)を公開・発表した(【野村證券リリース一覧ページ】)。その内容によれば今後3か月後の株価見通しを調査対象母集団に尋ねた結果で算出される「ノムラ個人市場観指数」は、先月から転じる形で小幅ながらも下落し、43.2を示すこととなった。株価の先行きに関しては「小幅な上昇」を見込む意見が先月から続きもっとも多いものの、先月からは最大の下げ幅を示している。その減少分は他の予想選択肢にほぼ均等に割り振られた形で、突出していた「小幅な値上がり期待」が抑えられた感がある。

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今調査は1000件を対象に(有効回答数が1000件に達した時点で締切)2014年10月6日から10月7日に行われたもので、男女比は82.0対18.0。年齢層は60歳以上がもっとも多く32.2%、次いで50代が31.1%、40代が25.8%など。過去の調査と比べてややシニア層に寄っている感はある。金融資産額は1000万円-3000万円の層がもっとも多く31.6%、500万円-1000万円が17.2%、300-500万円が12.9%と続いている。回答者の投資経験年数は10年から20年未満がもっとも多く32.3%を占めている。次いで20年以上が29.2%、5年から10年未満が26.2%となるなど、長期間投資に携わってきた人が多い。

投資に対して重要視する点は、おおむね長期投資が最大値で49.2%と5割近くでもっとも多い。ついで配当や株主優待が23.1%と1/4近く。短中期間の売買に伴う売却益より、配当収入や優待確保などの中長期的な安定感を求める投資方針が多勢(3/4近く)を占めている。

詳細はレポートで確認してほしいが、概要的には次の通り。

・投資指数は43.2ポイント。前回からは5.2ポイントの下落。前月の上昇から転じて値が削られる形となった。この時期、日経平均株価は前月比で400円強の値上げりを示しており、過熱感を覚えて警戒の姿勢を見せる投資家が増え、それが値にも反映されたようだ。

・3か月後の日経平均株価の上昇を見込む比率は合計で71.6%。前月分の74.2%からは2.6%ポイントの下落。こちらも投資指数同様に下落している。「1000円程度の上昇」を見込む意見がもっとも多い状況は先月から同様だが、マイナス11.5%ポイントと大きな減少を示し、小幅な上昇期待の出鼻がくじかれた感はある。他の選択肢がすべて前月から増加している動きを見るに、「小幅な上昇は無さげだが、動向の予想が付きにくい」という雰囲気を覚えさせる。

・市場に影響を与え得る要因としては「国際情勢」がトップにつき、これは先月から変わらず。ただし先月からはマイナス2.5ポイント。東南アジア情勢、中東情勢、ウクライナ情勢など多方面でネガティブな情勢が継続しており、これが市場動向の足を引っ張るとの判断が多分に成されている。さらに昨今ではこれにエボラ出血熱関連も加わることになる。一方で「為替動向」は前月比でプラス9.6%ポイントと大幅な上昇。円安ドル高の動きが市場に与えた影響の大きさを実感しているようだ。

・魅力的な業種は「医薬品」「自動車」「資本財・その他」「通信」の順で、ここまでがDIではプラスかゼロ。そして「電気機器・精密機器」「素材」「金融」「運輸・公共」「消費」はマイナス圏。「運輸・公共」のマイナス幅が拡大しており、ガソリン代の上昇に伴うコスト増への懸念が間接的に表れている。

・ドル円相場に対する見通しは、「やや円安」が大きく増え、「やや円高」の観測が大きく減っている。また「中規模の円安ドル高」を見込む声も大きく増加しており、それなりの円安への動きを予想する向きが増えたようだ。

・通貨への投資魅力は「アメリカドル」が最上位で、「日本円」が続く。「オーストラリアドル」「日本円」は大きく値を落としている。「カナダドル」が大きくそれらに後れを取るもDI値ではギリギリプラスで、それ以外はマイナス。「中国元」は相変わらず大幅なマイナスだがマイナス50台はどうにか回避できた。

・もっとも注目を集めた金融商品は「国内株式」。次いで「預貯金」「国内投資信託」。この順位は先月から変化なし。DI値にもあまり変化は無く、投資性向に動きは無い。

気になる「保有したい、注目していきたい銘柄」、つまり調査対象母集団における個人投資家が購入したいと考えている銘柄は、鉄板銘柄ともいえるトヨタ自動車(7203)がトップに。この鉄板ぶりは同社株式が大いに低迷した一時期をのぞけばダイヤモンドのごとし。

1位……トヨタ自動車(7203)
2位……ソフトバンク(9984)
3位……富士フィルムホールディングス(4901)
4位……みずほフィナンシャルグループ(8411)
5位……武田薬品工業(4502)

先月から富士フィルムが上位についているが、これは同社が開発中でアメリカで現在治験中のインフルエンザ薬「ファビピラビル(アビガン)」が、エボラ出血熱の新薬候補として注目を集め、実際にフランスで未承認薬ながら試験的な投与され、その治癒例が確認されたことなどが影響している。銘柄そのものも手堅いことから、投資対象として大いに注目を集めたのだろう。



今回月においてもっとも市場に影響を与えそうな項目として挙げられた「国際情勢」だが、情勢は一向に回復する気配を見せない。特に中東方面は元々複雑さを見せる地域であるのに加え、周辺諸国の思惑が絡み合い、有効な手立てが打ちにくい状況にある。そしてエボラ出血熱関連では急速に状況が悪化しつつある。

他方「国内情勢」では、「魅力的な業種」のところでも影響が確認されているインフラ周りのコスト問題と、消費税が大きなネック。経済とインフラ、共に国を支え反映させていく必要不可欠な要素であるだけに、正しい道のりが示されることを願いたいものだ。


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