諸外国の人たちがどんな組織・制度に信頼を寄せているかをグラフ化してみる(下)……諸外国編

2009/11/06 17:00

ワールドワイドな信頼イメージ今記事は、先に【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度をグラフ化してみる】で『世界主要国価値観データブック』のデータを元にした、「主要国における新聞・雑誌やテレビ(要はマスコミ)に対する信頼度」についてグラフ化した後に寄せられた意見を元に、その返答代わりに構成された企画記事の下編。上編では日本にスポットライトを当ててみたが、下編では先の記事で対マスコミ信頼度が特に低かった諸外国などについてグラフ化してみることにした。

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今調査結果は世界数十か国(80か国以上)が参加して実施している国際プロジェクト「世界価値観調査」によるもの。各国・地域毎に全国の18歳以上男女1000サンプル程度(実際には1000-2000人程度)の回収を基本とした個人対象の意識調査。調査そのものは2005-2006年にかけて行われており、該当冊子は先行して集計が終わった25か国分のデータが収録されている。

今回グラフ化するのは、資料編に掲載されている「組織・制度への信頼」において、先の記事で対マスコミ信頼度が特に低かったオーストラリア・アメリカ・イギリス・イタリア、そして日本に類似する傾向を見せていた国のうち(特殊事情も推し量れるという点から)中国を対象とした値。

調査対象となったのは「宗教団体」「軍隊(自衛隊)」「新聞・雑誌」「テレビ」「労働組合」「警察」「裁判所」「政府」「政党」「国会」「行政」「大企業」「環境保護団体」「女性団体」「慈善団体」。それぞれの組織・制度に対して選択項目として「非常に信頼する」「やや信頼する」「あまり信頼しない」「全く信頼しない」「わからない」「無回答」が用意されているが、このうち「非常に信頼する」「やや信頼する」を足して、そこから「あまり信頼しない」「全く信頼しない」を引き、各組織・制度の信頼度(DI値)を算出することにした。要はこの値が大きいほど、その国では対象の組織・制度が信頼されていることになる。

まずは「新聞・雑誌」への信頼度が一番低かったオーストラリア。

オーストラリアにおける組織・制度への信頼度(2005年)(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)
オーストラリアにおける組織・制度への信頼度(2005年)(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)

一番信じているのは「警察」、そして「軍隊」となった。「公的実力行使組織」への信頼度が非常に高いことが分かる。また、日本では最高値を示していた「裁判所」への値が低い(ぎりぎりプラスのレベル)なのも興味深い。

続いてメディア先進国でもあり、既存メディアへの信頼度が低いアメリカ。

アメリカにおける組織・制度への信頼度(2005年)(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)
アメリカにおける組織・制度への信頼度(2005年)(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)

「警察」もさることながら「軍隊」への信頼度が極めて高い。これはくだんの「9.11.」に始まる愛国心の高まりが反映されているものと思われる。また、「-団体」といった各種民間団体の値が高いのも(とはいえかろうじてプラスのものもあるが)特徴の一つ。良しにつけ悪しにつけ、民間による自主活動が進んでいる結果といえる。

アメリカとは違ったメディア文化を育んでいるように見えるイギリスはどうだろうか。

イギリスにおける組織・制度への信頼度(2005年)(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)
イギリスにおける組織・制度への信頼度(2005年)(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)

「公的実力行使組織」のうち「軍隊」への信頼度が高いのは他国と同じだが、「慈善団体」の高さは注目に値する。ジョンプル魂が発揮されている、ということか。一方、産業革命の発祥地でもあるだけに「労働組合」の信頼度も高いイメージがあるのだが、実際にはかなり低い部類に入る。

イタリア。組織・制度への信頼度と言われても、日本人からはいまいちイメージがわきにくいが……。

イタリアにおける組織・制度への信頼度(2005年)(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)
イタリアにおける組織・制度への信頼度(2005年)(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)

「警察」の値はともかく、「軍隊」の値が低めなのが意外。それより「裁判所」がプラスマイナスゼロに近いのは、イタリアの特殊事情というところなのだろうか。

最後に中国。共産圏で、かつ一党支配の国ということで、かなり特殊な数字が出ている。

中国における組織・制度への信頼度(2005年)(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)
中国における組織・制度への信頼度(2005年)(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)

この値をそのまま信じるならば「政府も国会も軍隊も政党もみんな信頼のおける、ハッピーパラダイスな国家」ということになるのだろうが(それでも「宗教団体」がマイナスなのはこの国らしい)、数字をそのまま受け止めても良いのかどうか、そしてこのような結果そのものが「信頼度」の総値としてどうなのか、色々と考えさせられるものがある。例えば「政党」なら事実上一党しか選ぶものがないため、まさに「イエスかハイか」を選択させられているようなものとなるからだ(そして選択肢に無い物を選ぼうものなら以下略)。



以上、二回にわけて諸外国の「組織・制度への信頼度」を見てみたわけだが、これらの値は2005年当時のもののため、現在ではかなり変動している可能性がある。特に金融危機における経済状況の変化、インターネットの普及を起因とする情報伝達スピードと量の加速化、各種国際情勢の変化などにより、各組織・制度の権威が変動している可能性は否定できない。

しかしながら、これらのデータを読み解くことで、各国が持つ根本レベルでの組織・制度に対する思惑や認識は、大体の範囲でつかみとれることだろう。

(終わり)

※追伸(2009/11/6 21:30):
リクエストがありましたのでフランスの分を追加しておきます。


フランスにおける組織・制度への信頼度(2005年)(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)
フランスにおける組織・制度への信頼度(2005年)(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)



■一連の記事:
【諸外国の人たちがどんな組織・制度に信頼を寄せているかをグラフ化してみる(上)……日本編】
【諸外国の人たちがどんな組織・制度に信頼を寄せているかをグラフ化してみる(下)……諸外国編】

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