現状DIは水準値を切ったまま、先行きは燃料費・電気代高騰懸念で下落継続…2014年9月景気ウォッチャー調査は現状横ばい・先行き下落

2014/10/08 16:00

内閣府は2014年10月8日付で、2014年9月時点となる景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によれば現状判断DIは先月と変わらずの値を示し、水準値50.0を下回る47.4を継続することとなった。一方先行き判断DIは先月から続いて4か月連続で下落して48.7となり、水準値の50を下回る結果に終わった。結果として、現状横ばい・先行き下落の傾向となり、軟調さから抜け出すことはかなわなかった。基調判断は「景気は、緩やかな回復基調が続いており、消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動減の影響も薄れつつある。ただし、先行きについては、エネルギー価格等の上昇への懸念等がみられる」との文言が使われ、天候要因が省かれたものの、「燃料価格」の表記が「エネルギー価格」と改められ、ガソリンなどの燃料だけでなく電気代の高騰が具体的に圧迫要因となりつつあることがうかがえる状況を反映した形となっている(【平成26年9月調査(平成26年10月8日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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現状指数は横ばい、先行き指数はエネルギー価格高騰が痛手


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧や用語解説ページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

2014年9月分の調査結果はまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前月比プラスマイナスゼロの47.4。
 →下落から横ばいに。「良くなっている」「変わらない」「やや悪くなっている」が増え、「やや良くなっている」「悪くなっている」が減少。
 →家計は消費税率改定の際の駆け込み需要の反動が薄らいだことで上昇したが、製造業が弱含みとなり低下。雇用は求人の増加の勢いに一部でストップがかかったために低下。

・先行き判断DIは先月比で1.7ポイントマイナスの48.7。
 →消費税率改定前の駆け込み需要の反動減の影響が薄らいでいることへの期待感は継続しているが、エネルギー価格などの上昇への懸念が幅広い分野に及び、詳細区分における全部門でマイナス影響となり、低下。

4月の消費税率引き上げの際に発生した、3月までの駆け込み需要の反動、そして税率上昇に伴う消費マインドの低下は5月頃から鎮静化の動きを示し、7月までにはほぼ収束している。そのおかげで7月においては現状DIは上昇したものの、8月では天候不順が大きく足を引っ張る形となり、低下。その失速状態は9月も続いており、本格的な上昇に転じる動きは見られない。今春に発せられた冷夏予想が夏の到来までに秋以降へとずれこみ、夏商戦の期待感が大きく膨らんでいただけに、台風や前線の影響で荒れた天候が相次いだことへの失望、消費マインドの反動的低下もまた、大きなものとなり、尾を引いているようだ。

一方で先行きDIは先月同様に燃料、電気料金の高騰に対する懸念は強く、これが多部門で足を引っ張っている。冒頭で触れた通り、8月の時点では価格高騰による景気への足かせが「燃料価格等」と表現されていたのに、9月では「エネルギー価格等」とあらためられており、ガソリンだけでなく電気代も大きな負担としてその存在感を示しつつある。

↑ 景気の現状判断DI(全体)推移
↑ 景気の現状判断DI(全体)推移

↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移
↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移

現状判断DIは雇用のみ下落


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向について、その状況を確認していく。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2014年9月)
↑ 景気の現状判断DI(-2014年9月)

今回月は消費税率改定後6か月目の月。概況説明にもある通り、小売店側から見た反動に伴う影響はほぼ無くなったものと判断して良い。一方で凹んだ景況感を回復させるに必要となる機運が無く、上昇に転じた項目も少なく、下げ続けている項目もあり、全体値としての現状判断DIを上向かせることはかなわなかった。燃料費などに絡んだ圧迫による影響が目立つ。

また今件調査の回答者は一般消費者自身サイドの考えではないため言及もほとんどないが(数件「消費税の再増税が控えていることが、景気回復の最大の障害」「再増税ということになれば、更に悪くなる」とする懸念的記述が見受けられる)【消費税率は8%に固定し、一度白紙に戻して再審議すべきという提案】でも指摘の通り、消費税率10%引上げへの懸念が重しとなり、消費者レベルでの消費抑制思考が働き始めている可能性は否定できない。

今回月は一部上昇する項目もあったが、水準値(50)以下の項目は雇用関連以外全部という状況に変わりはなく、大きく下がったマインドが低迷したままの状態にあることは否めない。やはり前月比ではマイナスだが、雇用関連のみ50超を維持しているのが幸いといえば幸い。ただしこの値も間もなく50を切る気配を示しており、予断を許さない状態にある。

景気の先行き判断DIは全項目でマイナス。

↑ 景気の先行き判断DI(-2014年9月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2014年9月)

最大の下げ幅を示したのは住宅関連でマイナス3.2ポイント、次いで非製造業のマイナス2.8%。住宅関連は順調に戻していたが9月は勢いよく失速し、先行きの不安感を覚えさせる。また全般的に家計に身近な部門よりも、生産分野での下げ幅が大きめに出ているのが懸念材料。

ガソリン代と電気料金の上昇がプレッシャー


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたって用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国での統括的な内容、そして各地域ごとに細分化した上で公開している。その中から、世間一般で一番身近な項目となる「家計(現状・全国)」そして「家計(先行き・全国)」の事例を抽出し、その内容についてチェックを入れてみる。

■現状
・消費税増税前の駆け込み需要の反動減があった高額品や化粧品などが回復してきたことに加え、気温低下によりセーター、ジャケットなど秋物の動きが良く、紳士、婦人共に衣料品が好調である(百貨店)。
・秋物衣料品、特にヤングブランドの売上動向が2けた増と好調である。食品関連でも物産展催事や生鮮食品が好調に推移している。また、売上構成比ではまだ低いが、インバウンド売上も前年に対し2倍の伸びを見せている(百貨店)。
・北陸新幹線の開通に向けて、改装などリニューアルオープンしたショップが好調に推移しており、前年を上回っている。リニューアルしたショップの周りも、影響を受け好調に推移している(百貨店)。
・観光客増に加え、気温が前年に比べ2度高く、雑誌、たばこを除く他の部門は顕著に動いている。単価のダウンもなく、当月は好調に推移すると思われる(コンビニ)。
・分譲マンションは施工費の上昇が顕著であり、販売時期の延期が続くなど、品薄の状態が続いている(その他住宅[情報誌])。
・天候の影響もあるが、生鮮食品では価格上昇に見合った売上の増加がない。価格に対する客の慎重さが散見される。商品全般に値上げの傾向が強く、今後、状況は厳しくなると予想している(スーパー)。

■先行き
・現在、外国人観光客の受入体制を整えており、10月以降の外国人観光客の来店が期待できるため、売上の悪化傾向が止まり、ほぼ現状維持で推移することになる(百貨店)。
・12月に待望の新型車が発売される。来場者数が増え、新車販売台数が増加し、久々に会社全体が活気づく(乗用車販売店)。
・来客数の低迷はこのまま続く。また、各カテゴリーで商材の値上げが発表されているため、今後も値上げラッシュが続くことになる。今後も燃料価格が上昇し、電気料金の再値上げが実行されれば、客の財布のひもはますます固くなる(スーパー)。
・暖房を使用するシーズンに入るが、燃料価格が高止まりしている現状のままでは、節約志向も依然として高いままである(コンビニ)。
・秋の訪れで国内旅行は順調に申込増加が予想されるが、反面海外旅行は円安の状況が続けば大幅な需要の落込みが懸念される(旅行代理店)。
・見積依頼は来るものの、予約までには至らない。また、予約が入っても例年の団体客であり、新規客が少ない(旅行代理店)。

8月は天候不順による影響が大きく、9月に入ればその雰囲気も払しょくされるものと思われた。コメント部分を見る限りでは景気の良い話があちこちで見受けられるが、DIにまでは反映されていないようだ。

一方で上記抽出内容にも見受けられる通り、企業動向関連を中心にガソリン代をはじめとした燃料費の高騰や電気代の引上げに伴う悲鳴が随所で起きている。燃料費の価格上昇は輸送費のアップにつながり、それは流通される商品すべてに価格上昇のリスクをもたらすことになる。キーワード抽出を行うと「燃料」で11か所、「ガソリン」で4か所、「電気」で11か所確認でき、少なからぬ言及が成されている。社会全体を動かすための血液に相当する、電気や燃料の価格上昇が、景気全体の足を少しずつ、しかし確実に引っ張っているのが明確化している。また燃料費に限ればこれから冬期に向かうことから、特に北部地方における懸念が高まりを見せつつある。

燃料価格の高騰は原油価格によるもので、海外要因が大きい。一方電気料金は一部に海外からの輸入資源価格の上昇があるが、多分に震災以降の発電様式のアンバランスな状態を起因としており、大部分の原因は国内問題によるもの。早期の改善が自らの手で行えうるのは後者であり、早急な対応が求められる。

家電量販店やコンビニの現状下落著しく…詳細精査


2014年4月分の公開値を基に、消費税率動向について細かい部門別に別途記事として精査をした【景気ウォッチャーの指標動向から消費税率改定後の景気行き先を推し量ってみる】の手法を用い、簡略的にではあるがしばらく継続的に現状・先行きDIの詳細動向を確認している。今回もその例にならい、9月分とその前月の8月分との差異、つまり一か月分の変化を詳しく見ていくことにする。まずは現状DIについて。

↑ 2014年8月から9月における現状DIの変動値
↑ 2014年8月から9月における現状DIの変動値

スーパーと飲食の下げが気になるが、それ以外は概して小売・サービスといった直接消費者と相対する部門はプラス、製造関連はマイナスを示している。対照的な動きをしているのが印象的ではある。電気代やガソリン代などの影響が、消費者ベースではまだそれほど影響していないということだろうか。

↑ 2014年8月から9月における先行きDIの変動値
↑ 2014年8月から9月における先行きDIの変動値

↑ 2014年9月における先行きDI
↑ 2014年9月における先行きDI

現状DIと比べると先行きDIはマイナス部門が多く、プラスを見つけるのが難しいほど。現状DIから一律数ポイントずつ引いたような形で、小売り関係がややマイナス、製造関係が大きなマイナス幅を示している。百貨店の下げ幅が大きいのは元々大きく上昇していたことの反動だが、乗用車・自動車備品販売店はそれに加えてガソリン価格の高騰が、消費者の購入性向の足を引っ張るとの懸念があるのだろう。



複数の報道で伝えられている通り、今年の8月はエルニーニョ現象による冷夏こそ避けられたものの、台風や前線の影響である意味冷夏以上の悪天候を迎えることとなり、特に西日本では日照時間の短さが今後の農作物の育成動向に大きな影を落としかねないとして、不安視されるものとなっている。【気象庁の発表「8月の天候」】でも、降水量は西日本でかなり多く、17観測地点では史上最大を記録し、日照時間では東西日本で少なく、29観測地点で史上最短を記録したと報告されている。さらに9月においても8月ほどでは無いものの低温などの悪天候が確認されている。とはいえ、8月と比べれば消費性向に与えた影響は小さい。

一方、天候条件をはるかに超える大きな影響を与えているのが、燃料費や電気代のような、インフラに直結するコストの増加。幅広い方向でマイナスを及ぼしている。そして消費税率の再引き上げへの不安・消費引締め感と合わせて相乗効果的なものとなり、消費マインドの減退に拍車がかかる感は否めない。

燃料費の高騰は海外要因が大きいため、対策は打ちにくい(国内油田の開発を即時行うわけにもいくまい)。一方、電気料金周りは震災後の悪癖を引き継いだ現況が大きく影響しており、理性と知性をもってすれば必ず解決しえる問題に違いない。

とはいえ、これらの問題はいずれも1か月で解決するような話でないのも事実。大きな情勢変化が無い限り、来月もまた、現状DIは回復基調の歩みは遅く、先行きDIも低迷を続けるのだろう。少なくとも大きく持ち直すような材料は、現時点では見当たらないのが残念ではある。


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