日米安保のアメリカ側評価は約7割(2013年)

2013/12/22 09:00

外務省は2013年12月19日付で、アメリカ合衆国での対日世論調査の結果を発表した。その内容によれば調査対象母集団では日米安全保障条約(日米安保)に対し、約7割の人が維持すべきだと考えていることが分かった。また日米安保が日本・極東の平和・安定へ貢献していると考えている人、アメリカ自身の安全保障にとっても重要と考える人の割合もそれぞれ8割から9割に達している(【発表リリース:米国における対日世論調査(結果概要)(2013年)】)。

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一般人で大きな下落を示す「安保」維持への支持


調査概要については先行する今調査に関する記事【アメリカの日本への一般人信頼度76%・有識者は93%で過去最高値(2013年)(最新)】を参考のこと。

現在において日本の安全(国防、軍事的な国の保安を中心とした「安全」)は、自衛隊、そして日米安全保障条約に基づいた安全保障体制の二本柱で守られている。このうち日米安保について、アメリカ側がこのまま維持すべきか、そうでないのかを聞いた結果が次のグラフ。2008年に一般人の意見でやや凹みが確認できるが(これは2008年に行われた大統領選挙において、現大統領のオバマ氏を推す民主党が日本からやや距離を置く政策を取ったのが遠因と考えられる)、一般人は概して漸増、有識者は8割後半から9割の高水準で「維持すべき」と肯定的意見を持っていたのが分かる。

↑ 日米安全保障条約の維持について(「維持すべき」「そうは思わない」「分からない」のうち「維持すべき」の回答者)
↑ 日米安全保障条約の維持について(「維持すべき」「そうは思わない」「分からない」のうち「維持すべき」の回答者)

最新の2013年分では一般人肯定者が22%ポイント、有識者の肯定者が16%ポイントと大幅な下落を示しており、データが残っている1996年以降においては一般人・有識者共に最低の値を示している。また、2013年分のデータを精査すると、昨年2012年から「維持すべき」で減った分のほとんどが、「分からない」に流れていることが確認できる。

この下落については2008年の時のような特段の理由も想定できない(オスプレイ周りの過剰な否定的報道がトリガーとなった可能性はゼロではないが、その程度でここまで下がるような情勢には見えない)。後述するが、多分にイレギュラー的なところがあったと見た方が道理は通る。

日米安保はアジア、アメリカ自身に貢献しているか


ではその日米安保は、日本と極東の平和と安定へ寄与貢献しているものなのか否か。軍事的、戦略的、政略的な現実問題の上での判定は別として、「貢献している」と認識・判断をしている人の割合は次の通り。

↑ 日米安全保障条約は日本と極東の平和と安定へ貢献しているか(「非常に貢献している」「やや貢献している」「わずかしか貢献していない」「全く貢献していない」「意見無し」のうち「非常に貢献している」「やや貢献している」の回答者合計)
↑ 日米安全保障条約は日本と極東の平和と安定へ貢献しているか(「非常に貢献している」「やや貢献している」「わずかしか貢献していない」「全く貢献していない」「意見無し」のうち「非常に貢献している」「やや貢献している」の回答者合計)

有識者は高い値で安定、一般人は2008年の大統領選時に多少の凹みを見せるも全般的には漸増傾向を見せている。一般人の方が選挙運動で心境を左右されやすいという点でも注目すべきる内容だが、ともあれ直近データでは一般人82%・有識者87%が「日米安保は日本と極東の平和と安定へ貢献している」と評価をしていることが確認できる。直近2013年分では「維持すべきか否か」の項目と比べ下げ幅は小さいものの、値を減らしているのが気になる点ではある。

最後に、日米安保が日本やアジア諸国では無く「アメリカ合衆国自身の」安全保障にとって重要か否かという問題。これは日本サイドでも気になる項目だが、結果としては直近で約9割から「重要視している」との回答が得られた。

↑ 日米安全保障条約は米国自身の安全保障にとって重要か(「極めて重要」「ある程度重要」「あまり重要でない」「全く重要でない」「分からない」のうち「極めて重要」「ある程度重要」の回答者合計)
↑ 日米安全保障条約は米国自身の安全保障にとって重要か(「極めて重要」「ある程度重要」「あまり重要でない」「全く重要でない」「分からない」のうち「極めて重要」「ある程度重要」の回答者合計)

興味深いのは、この点、つまり日米安保におけるアメリカへの直接的な利益という観点においては、一般人も有識者もさほど変わりないレベルで高評価を与えている点。これをどのように解釈するかは人それぞれだが、少なくとも【「安保は日本の平和と安全に役立つ」はじめて8割を超える】と合わせて考えれば、日米安保はお互いにとって重要度が高いという認識が、一般レベルでは浸透していると考えて問題はなさそうだ。



今回2013年分のデータについて「安保維持」の項目で「支持」の値が急落し、「分からない」がその分急増している件だが、他項目の動きを見ると「日本の常任理事国入りを求める有識者の増加(前年比18%ポイント増)」「日本の防衛力増強を肯定する一般人意見の増加(前年比5%ポイント増、否定派は13%ポイント減)」などが確認できる。これらを合わせると、日本の自立した軍事力や常任理事国入りという外交的権限の増強により、安保への傾注度を軽減するべきであるとの意図が背景にある……という解釈も可能である。

一方、先行記事【アメリカから見た一般の日米協力・相互理解関係の推移をグラフ化してみる(2013年)(最新)】で詳しく解説している通り、今調査ではこれまでの継続調査から複数面で異なる手法・様式が用いられており、裏付けの無いイレギュラーな値が出た項目については、連続性に疑問符を投げかけるべき内容であるとの解釈もできる。

他の事項の状況も合わせて考察すると、前者よりは後者の可能性が多分にあると見た方が良いだろう。先行報道の中には、一部イレギュラーな数字のみを取り上げ、その背景を半ばこじつけ、読者を煽動するような内容を伝えているものが見受けられる。

特異な動きを示す値が出たら、まずは調査そのもの・元データを確かめ、原因を調べる。調査側、元データに問題が無いことを確認できたら、はじめてその特異値が生じた事象が何かを調べ、連想されるものを検証していく。このプロセスがデータの精査には欠かせない。突出した値に驚かされて、特定の内容に煽動されてしまうことの無いよう、注意を心掛けてほしいものだ。


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