アメリカから見た一般の日米協力・相互理解関係の推移をグラフ化してみる(2013年)

2013/12/21 20:00

外務省は2013年12月19日、アメリカ合衆国における対日世論調査の結果を発表した。それによると調査母体においては、2013年時点で一般的な日米協力関係の状態・現状に対し、「良好」「極めて良好」の評価をした人は一般人で58%・有識者で86%に達していることが分かった。また日米の協力関係への評価、及び日米両国民の相互理解度双方において、1990年代以降は上昇傾向にあるが、今回調査分においては一般人の値が大きく下落したことが確認できる(【発表リリース:米国における対日世論調査(結果概要)(2013年)】)。

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調査概要については先行記事【アメリカの日本への一般人信頼度76%・有識者は93%で過去最高値(2013年)(最新)】を参考のこと。

まずは日米の協力関係において、軍事や政治などに限定せず、一般的にどのような評価を下しているかという質問。「極めて良好」「良好」「普通」「良くない」「意見無し」のうち、ポジティブな意見である「極めて良好」「良好」双方を足した値の推移をグラフ化したのが次の図。有識者は1992年から質問を設定しているため、答えもそれ以降のものとなっている。

↑ 日米協力関係一般への評価(「極めて良好」「良好」「普通」「良くない」「意見無し」のうち、「極めて良好」「良好」の回答者合計)
↑ 日米協力関係一般への評価(「極めて良好」「良好」「普通」「良くない」「意見無し」のうち、「極めて良好」「良好」の回答者合計)

有識者の方が概して一般人の10-20ポイントの上乗せをしているが、上昇の仕方は双方で変わりが無い。有識者の計測を始めた1992年以降、一貫して上昇傾向を見せている。一般的な協力関係については良好であるという認識を持っていると考えてよい。

ところが今年、2013年に限ると、一般人では前年から22%ポイントと大きな下落が確認できる。詳細を見るに、その分「普通」の回答者が増えているのだが、この一年で日米協力関係に劇的なマイナス要因となる事態が起きたとも思えず、また仮に前年に生じた震災関連における上昇の反動だとしても、その勢いが大きすぎる。後述するが、調査上の問題があったと考えた方が道理は通る。

一方、国全体も含めた包括的なものではなく、あくまでも国民の視線に降りた形で、両国国民における相互理解度をどのように認識しているかを聞いたのが次のグラフ。「普通」との回答が多い事もあり、「よく理解し合っている」の割合は先の「協力関係一般」と比べれば低い。

↑ 日米両国民の相互理解度(「良く理解し合っている」「普通」「そうは思わない」「分からない」のうち「良く理解し合っている」の回答者)
↑ 日米両国民の相互理解度(「良く理解し合っている」「普通」「そうは思わない」「分からない」のうち「良く理解し合っている」の回答者)

こちらも1990年代前半以降漸増傾向に違いは無い。そして2013年におけるイレギュラー的なマイナスの動きも「協力関係一般」と同様である。詳細を確認すると一般人では「普通」も前年から減っており「そうは思わない」が大幅に増えている。他方有識者では「普通」が増え、「そうは思わない」は減っている。

今件はあくまでも日本全体・包括的な日本そのものについて言及していることに注意してほしい。他の項目では一部影響が及んでいるのも確認できるが(例えばある項目では、2008年のアメリカ大統領選挙前後に、日本への傾注度が落ちている動きが確認できる)、少なくとも今項目では各調査時期の両国の政権政党や基本政策は、影響を与えていないと見てよい。

またデータの概要だけを見ると日米関係が急速に悪化しているようにも思われるが、その一方で一般人・有識者共に「日米関係は今後どうあるべきと考えるか」との設問では「より緊密にすべき」の回答率が大幅に増加していることから(一般人は44%から59%、有識者は43%から52%)、「昨年と比べると状況的には後退しているように見えるので、日米間はより緊密になる必要があるのでは」と憂いているとの解釈もできよう。



先行記事【中国一番日本が二番…米のアジア地域諸国に対するパートナー意識の重要度推移をグラフ化してみる(2013年)(最新)】の文末で詳しく解説しているが、今年度調査は従来のギャラップ社からハリス・インタラクティブ社に調査依頼会社を変更している(依頼時にギャラップ社で不祥事疑惑が持ち上がったからとのこと。来年以降もハリス社になるのか、ギャラップ社に戻るのかは現時点では不明)。また調査のタイミングも従来とは異なり、さらに質問様式や調査対象母集団層など(表面上はともかく内情的に)変化が生じている可能性は高い。

例えばPew Research Center社のように調査要項の詳細(methodology)が記載されていればある程度状況を推し量れるのだが、それについては外務省側でも把握はしていないという。先行分析記事でも、特に一般人の項目でイレギュラーと思われる値をいくつか見つけることができる。また、結果を算出する際のカウント方法が前年までと変わっているため、突出した結果が出ている項目事例も確認できる。

特段変わった重大事件・外交問題が日米間で起きておらず、また対日批判の動きが急速に高まったという話も聞かず、他の調査機関の調査結果でもそのような兆しは見受けられない。今回の一連の調査結果については、説明が非常につきにくく、むしろ条件の変化によるイレギュラーの可能性の方が高い。特に前年までとの比較において、慎重にその内容を判断すべきであると断りを入れておく。


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