フジ・テレ朝は順調、日テレ・テレ東・NHKは軟調…主要テレビ局の直近視聴率をグラフ化してみる(2019年3月期下半期・通期)

2019/05/20 05:10

このエントリーをはてなブックマークに追加
2019-0519従来型4マス、つまりテレビ・新聞・雑誌・ラジオの中では最大の広告市場規模と媒体力を誇り、昨今の広告市場動向を見るに復調の兆しを示しているとも評されているテレビ。そのテレビにおいて、各局の権威、メディア力、力量を推し量る一つの指針となるのが「視聴率」。雑誌や新聞なら購読者数に該当するこの値は、テレビ全体のすう勢とともに、各局のパワーバランスを見決めるのにも欠かせない。今サイトではテレビ局のうちキー局でもあり上場を(直接、あるいは間接的に)果たしている企業の(半期)決算短信資料などを基に、ほぼ半年間隔でキー局の動向を確認している。今回は2019年5月付で発表された各社の決算短信資料を基に、2019年3月期(2018年4月から2019年3月)における下半期、そして通期の視聴率動向をチェックしていく。

スポンサードリンク


全日・プライムともに日テレトップ


日本国内のテレビ局における視聴率は以前【「テレビをつけている時間」と「視聴時間」、「視聴率」を考え直してみる】で解説したように、現在ではビデオリサーチ社のみが計測を実施している。上場テレビ局・企業では各社が程度の差はあれど投資家への経営の状況判断材料として、短信資料で視聴率の提示を行っている。しかしいずれの資料もビデオリサーチ社提供の値を基にしているため、基本的に同じものとなる。

なお【タイムシフト視聴率の採用と、それ以外のテレビ閲覧方法と】などにある通り、2017年秋からは視聴率に関してはこれまでのリアルタイム視聴による視聴率に加え、本放送から一週間以内に視聴した場合の視聴率「タイムシフト視聴率」、さらにはリアルタイムとタイムシフトを合わせ、少なくともどちらか一方でも視聴していればカウントする「統合視聴率」の概念が導入されている。しかしながら今回の各種資料では単に「視聴率」として言及されていることから、これまで通りリアルタイムによる視聴率が提示されているものと考えられる。なお一部局資料では特定期間におけるタイムシフト視聴率も併記しているものが確認されている。

まずは現時点で直近にあたる2019年3月期通期の、キー局の視聴率をグラフ化する。データは【TBSホールディングス・決算説明会資料集ページ】内にある「2019年3月期決算説明会」および【東証開示資料】における「2019年3月期 決算資料」から取得した。また下期単独のデータは非公開だが、上期の値は存在するため、そこから逆算して算出し、こちらもグラフ化している(解説は通期の値で行う)。なお「キー局」と表現した場合、NHKは含まれないが、よい機会でもあるので併せてグラフに収めておく。

↑ 主要局視聴率(週ベース、ビデオリサーチ、関東地区)(2019年3月期・下期)
↑ 主要局視聴率(週ベース、ビデオリサーチ、関東地区)(2019年3月期・下期)

↑ 主要局視聴率(週ベース、ビデオリサーチ、関東地区2019年3月期・通期)
↑ 主要局視聴率(週ベース、ビデオリサーチ、関東地区)(2019年3月期・通期)

テレビ東京は区分の上では在京キー局の5局に収められているものの、他の4局と比べれば放送エリアの問題や放送内容の特異性の都合上、視聴率で他局と比べて低めの値が出るのは、ある意味やむを得ない。その特異性を考慮し順位精査の際に除外すると、フジテレビが主要キー局では視聴率が一番低迷している。これは同年上半期から変わらない。数年前まではフジテレビとTBSの立ち位置が逆だったことを思い返せば、フジテレビの凋落ぶりがよく分かる。

視聴率が低迷しやすい昼間や深夜を除いていることから、全日と比べて高い視聴率が期待できるのがゴールデンタイム(19時から22時)とプライムタイム(19時から23時)。その時間帯で10%を切っているのは(テレビ東京以外では)、TBS(プライムタイムのみ)、フジテレビ、NHK。上位陣では日本テレビが群を抜き、テレビ朝日とTBS、そしてやや遅れてNHKが後を追う形。

今件で選択したテレビ局の中ではやや特異な動きを示しているのがNHK。他局と比べてゴールデンタイムとプライムタイムの差異が大きいのが目に留まる。ゴールデンタイムよりもプライムタイムの方が低いことから、22時から23時の夜間における視聴率がとりわけ低く、平均値を下げてしまっているのが分かる。もっともこれは番組構成上、民放ではこの時間帯に番組のクライマックスや人気の高い番組が入ることが多いのに対し、NHKではそうとは限らないこともあり、仕方が無い話ではある。

ゴールデンタイムで視聴率動向を見るとトップは日本テレビ、次いでテレビ朝日、TBS、NHK、フジテレビの順。プライムタイムで比較すると、トップにはやはり日本テレビが付き、次いでテレビ朝日、TBS、NHKが続き、そしてフジテレビが収まることになる。要はゴールデンタイムとプライムタイムとの間で、各局の視聴率の順位は変わらない。

他方、それぞれの局のゴールデンタイムとプライムタイムの視聴率を比較すると、おおよその局でプライムタイムの方が低い値を示しているが、唯一テレビ朝日だけが高い値となっている。これは22時から23時の時間帯で放送される番組の人気が影響を与えていると見てよい。具体的には同局の「報道ステーション」がプライムタイムの値をけん引しているのだろう。

前年同期からの変化で各局の勢いを推し量る


通期について視聴率の変移を前年同期比で表すと次の通りになる。比較対象は当然、前年の2019年3月期通期のもの。

↑ 主要局視聴率前年同期比(週ベース、ビデオリサーチ、関東地区、ppt)(2019年3月期・通期)
↑ 主要局視聴率前年同期比(週ベース、ビデオリサーチ、関東地区、ppt)(2019年3月期・通期)

昨今巷で話題に上っている、各キー局のすう勢が色々とにじみ出る結果が出ている。堅調なのはフジテレビとテレビ朝日、軟調は日本テレビとテレビ東京、NHK。

フジテレビの放送事業 収入と原価フジテレビではここ数年放送事業などの主事業で売上が低迷し、視聴率も減少を継続していた。しかし今期では視聴率において久々のプラスを示すこととなった。もっともフジテレビ単体の決算内容を精査すると、放送事業は原価・番組制作費・売上ともに減少し、副事業となる催事や映画の売上が大きく伸びて、フジテレビ単体全体の売上、そして利益を底上げしていることが分かる。視聴率は前年と比べてアップしているが、放送収入は減少してしまっているのが実情。

もっとも視聴率がアップしたこと(、にもかかわらず放送収入が増えなかったこと)を受けてか、現在進行期においては「制作費を増額して戦略的に投下、レギュラー番組を中心にタイムテーブルを強化放送収入の増収を目指す」とし、テレビ事業の商品となる番組の制作への投入リソースを増やすという、あるべき姿に立ち戻ろうとしているのは評価できる(直近期では番組制作費は前年比でマイナス3.7%だった)。もっとも同時に「構造改革を継続的に実行、一般管理費などは一層の効率化を図る」としており、局全体の士気や作業効率の低下が懸念される。

日テレ視聴率トピックス他方、一番視聴率を下げた日本テレビだが、決算短信および説明会資料を見る限りでは、「平昌オリンピック2018」の反動がある一方でレギュラー番組は好調さを見せたなどの説明がある。他方、番組制作費は前年比で0.8%のマイナスを示しているのが気になるところ。

また第3四半期の資料を見るに、「デジタルメディアに対抗し、テレビ番組の個人へのリーチ力・コンテンツ力を把握人の数を基準とする指標により、テレビの価値をより正しく表現できると判断番組を「世帯」ではなく、より多くの「人」にみてもらう、ということを改めて意識」などとの文言があり、構造改革の際に生じがちなマイナス影響が先行して出たのも一因と考えられる。

経年変化で視聴率動向を見ると、この数年は各局ともターニングポイントを迎えている雰囲気がある。ある局はVの字回復を見せ、ある局は低迷を続け、ある局は下落傾向が収まらない。例えばかつてのTBSにおける「半沢直樹」のように、一時的な躍進を後押しする特異点が生じることもあるが、体制そのものの変化や時節の動きが無い限り、中期的な変化にはつながらない。食生活そのものを改めなければ、一時的な断食で体重が減っても、すぐに元に戻ってしまうのと同じである。

4大従来メディアの中では最大の影響力を持つ存在としての自覚の上で、各局がいかなる姿勢を見せ、それが視聴率の動向に結びついていくのか。今後も注意深く見守りたいところだ。


■関連記事:
【テレビは4割を切り、タブレット型端末と従来型携帯・スマホで1/4を超え】
【「テレビをつけている時間」と「視聴時間」、「視聴率」を考え直してみる】
【テレビアニメを観ている人は49.7%…40代と50代にまたがる大きな世代間格差の「壁」】
【高齢者は夕食前からずっと、30-40代は午後10時がピーク…世代・性別で異なる平日夜間のテレビ視聴スタイル(2016年)(最新)】
【5年の間にこれだけ変わる…テレビ視聴と新聞購読時間の変移をグラフ化してみる(2011年版情報通信白書より)】

スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2019 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー