弱肉強食と弱者保護、日本社会はどちらを重視すべきか

2014/11/17 15:24

完全な平等社会はいわゆる「ディストピア」的なものとなりかねず、一方で自由放任な競争社会を容認すると弱肉強食、アニメや映画の世紀末伝説的な情景が現実のものとなりかねない。人の社会が健全な安定と成長を維持していくためには、両者の程よいバランスが求められる。それでは日本では「自由競争できる社会」「弱い立場の人々を保護」のどちらを重視すべきと世間一般では考えられているのだろうか。統計数理研究所による定点観測的調査【日本人の国民性】から、その現状を見ていくことにする。

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調査要件などは今調査に関して先行で掲載した記事【「若者は自分勝手で他人より自分のことばかり」は本当か】などで確認のこと。

今件精査項目は今後の日本社会のあり方について質問している。2つの選択肢「自由に競争できる社会にすることが、もっと必要だと思う」「弱い立場の人々を保護することが、もっと必要だと思う」を挙げ、どちらの意見に賛成かを尋ねたものだが、次のグラフはそのうち前者、自由競争・弱肉強食を回答した割合。直近2013年とその前回の2008年のみ調査が行われているため、回答も2調査分のみ。そして「その他」「無回答」は数%ずつしかなく、今グラフに記載されていない弱者保護的な考え方は、実質的に残りの部分だと思えば良い。例えば2013年における自由競争回答者は全体で31%とあるが、弱者保護は63%に達している。

↑ 日本の社会のこれからのあり方について、自分の考えはどちらに近いか(重点を置くべきこと)「自由競争できる社会」「弱い立場の人々を保護」(「自由競争」回答率)
↑ 日本の社会のこれからのあり方について、自分の考えはどちらに近いか(重点を置くべきこと)「自由競争できる社会」「弱い立場の人々を保護」(「自由競争」回答率)

30代が自由競争容認派がもっとも多くなるが、それでも4割に留まっている。日本では大よそ社会のあり方として弱者保護を推し進めるべきだとの意見が強いようだ。そして一部イレギュラーがあるものの、歳を経るにつれて自由競争派が減る=弱者保護派が増えていく。これは5年前の傾向とさほど変わりが無く、世代ベースでの認識とは別で、回答者自身の年齢に寄るところが大きそうだ。つまり歳を重ねるに連れて身体的な面などでの弱体化を自覚し、だからこそ自らを保護して欲しいとの意見が増えるという次第。

一方で5年前の結果と比べると、一様に自由競争派が増えているのが分かる。当然その分、弱者保護派は減っている。高齢層でも増えていることから、社会全体として自由競争を推し進めるべきだとの意見が高まりを見せていると見た方が無難ではある。それでもなお、弱者保護派が多数派なのに違いは無いのだが。

なお学歴別でみると、当然のごとく高学歴の方が自由競争派の値は高い。自らの経歴・スキルを活かすには自由競争の方が都合は良く、むしろそのために勉学を積み重ねてきた人も多いからである。

↑ 日本の社会のこれからのあり方について、自分の考えはどちらに近いか(重点を置くべきこと)「自由競争できる社会」「弱い立場の人々を保護」(「自由競争」回答率)(学歴別)
↑ 日本の社会のこれからのあり方について、自分の考えはどちらに近いか(重点を置くべきこと)「自由競争できる社会」「弱い立場の人々を保護」(「自由競争」回答率)(学歴別)

とはいえ、年齢階層の別なく5年前と比べて自由競争派が増えていることもあり、学歴別の上昇ぶりも大きな変化は(%ポイントの上では)見られない。



今件はあくまでも概念的な二択で、具体的な事例を挙げれば回答傾向は大きな違いを見せることは容易に想像できる。他方、社会全般的に自由競争のより一層の容認により、活力を見出そうとする気概を覚えることはできる。

これが一過性のものなのか、あるいは継続的な傾向なのか。次の調査2018年分の動向に注目したい。


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