ついに「自分のことだけ」を超えた「他人の役に」な傾向
2014/11/10 11:26


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調査要件などは今調査に関して先行で掲載した記事【「若者は自分勝手で他人より自分のことばかり」は本当か】などで確認のこと。その記事にある通り、世代間ではやや若年層が低い値を示しているものの、大よそ5割強は「自分自身の考えとして」自分の好きなことか否かはともかく、人のためになるような暮らし方に賛意を示している。人のためにならなくとも自分の好きなことをする暮らし方に賛成する人は4割強。

↑ 「自分の好きなことか否かはともかく人のためになる事」の比率(再録)
それでは回答者自身も含め、回答者が認識している世間一般として、人は他人のために役立とうとしているように見えるのだろうか、それとも自分のことだけに気を配っているのだろうか。その回答率の経年変化を示したのが次のグラフ。

↑ 一般的に人は他人の役に立とうとしているか、自分のことだけに気を配っているか
回答者が認識している一般論で、という話だが、「自分本位」の回答率は漸減し、「他人に役立つ」は漸増。特に2008年から2013年には大きな減少・増加の動きを示し、ついに今項目の調査が始まって以来初めて「他人に役立つ」が「自分本位」を上回る形となった。
元々両者はそれぞれ減る・増える傾向にあったものの、2013年の動きはややイレギュラーな雰囲気がある。これは多分に2011年3月に発生した東日本大地震・震災により、ボランティア活動などに励む人たちの姿を見聞きし、「他人に役立つ」活動の様相を強く心に刻んだのが原因といえよう。
これを世代別に見たのが次のグラフ。

↑ 一般的に人は他人の役に立とうとしているか、自分のことだけに気を配っているか(「他人の役に」回答率)
前世紀末期までは20代から30代で低めの傾向が見受けられた。要は「自分本位」が高いということ。ところが今世紀に入ると30代までの若年層も値がグンと伸び、他の世代とさほど変わらない結果が出ている。これは上記のグラフ「自分の好きなことか否かはともかく人のためになる事」の挙動とほぼ一致しており、21世紀に入ってからのこの年齢層の世代において、これまでの同年齢層とは異なる心境の変化が生じたことを思わせる。
本来歳をある程度重ねないと会得できなかった他人への貢献という社会的意識を、早めに会得できるようになったのかもしれない。また、この21世紀に入ってからの若年層の変化が、全体値としても「他人に役立つ」が「自分本位」を上回ることに貢献した一因であることを考えれば(もっとも2008年から2013年においては、全世代とも同様に大きく上昇しているのだが)、関心をそそられる話ではある。
もっとも2013年に至る上昇が、震災効果によるものであることも否定できない。次の調査結果が出る2019年において、この「他人に役立つ」の上昇傾向が継続するのか否か、大いに注目したいところではある。
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