四半期販売台数は全世界で82万台、今期販売目標1200万台…ニンテンドー3DS販売数動向(2014年度Q1)

2014/07/31 11:00

任天堂(7974)は2014年7月30日、2014年度(2015年3月期、2014年4月から2015年3月)第1四半期決算短信を発表した。市場予想の50億円強を上回る100億円近い純損失を計上し、前年同期における86億円の黒字と比べて赤字に転落、特に新型家庭用据え置きタイプのゲーム機Wii Uのセールスの伸び悩みが目立っている。今回はそれらの業績は脇においておき、現在のところ任天堂の主力携帯ゲーム機の座をキープしているニンテンドー3DS(3DS LL、海外では2DS含む。要は3DSファミリー)における販売状況の分析を、今回発表された最新の各種データを基に行っていく。

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前年同期から失速、海外は2DSが半ば支えている状態


データの取得場所の解説や、今記事で対象となる機種(3DSシリーズ)の概要などは一連の記事まとめページ【定期更新記事:ニンテンドー3DS販売動向(任天堂)】で説明しているので、必要な場合はそちらを確認のこと。

今回短信の添付資料で発表された各種データを元に、同機の販売動向をグラフ化したのが次の図。今回四半期は新しい年度の第1四半期となっている。言葉通り積み上げ型のグラフなので、一番上にあるのが、直近四半期の値。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2014年6月)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2014年6月)

現時点で発売開始からの累計販売台数は、全世界で4414万台。直近年度の第1四半期のみならば82万台。今年度では販売目標を1200万台と設定しているが、それには遠く及ばない状況であることはいうまでもない。

何かイレギュラーなイベントが無い限り、4月から6月期は1月から3月期ほどではないにせよ、セールスが伸び悩む四半期ではある。しかしながら前年同期と比べても売り上げは大きく落ち込んでおり、約4割も減退している。明らかにセールスの勢いが落ちた感は否めない。

なお「3DSシリーズ」の中身だが、日本に限らず世界全体で3DS LLの販売が大きな割合を占めている。しかし上記で挙げた「2DS」が意外と健闘しており、アメリカでは8万台、その他地域では13万台との記録が確認できる。つまり旧スタイルの3DSはアメリカで1万台、その他地域でも2万台のみで、海外の3DSファミリーの市場は3DS LLと2DSでほぼ二分されている状況にある。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2014年4月-6月期、3DS LLと3DS LL以外区分)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2014年4月-6月期、3DS LLと3DS LL以外区分)

「2DSが堅調」というと威勢の良いように聞こえるが、上記に有る通り3DSファミリーは前年同期比で4割ほどのセールス減退にあるのが実情。「堅調」との表現よりは「かろうじて急落を支えている」とした方が適切かもしれない。見方を変えれば日本では2DSが未発売だからこそ、3DS LLが売れている、3DS LL以外が伸び悩んでいるともいえる。

現時点で未達度93%…長期的流れと今期販売目標に対する実績


続いて各種データを四半期(最初の期は発売時期の都合から1年間で仕切り)で区分し、各四半期における3地域の販売数を積み上げた形にしたのが次のグラフ。2011年度第1四半期の不調ぶり(全世界で72万台のみ)、そして値下げ効果と年末商戦効果により2011年度第3四半期が大きなセールスをあげた実態(836万台)、その反動で次四半期が再びセールスを落とした動向など、季節変動と各種販売方針で販売実績が大きく変化する様子が把握できる。また、大まかな流れとしては、年明けはもっとも売れず、少しずつ伸びはじめ、年末セールスで一挙に上昇するというパターンが見られるのも分かる。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2014年6月)(四半期推移)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2014年6月)(四半期推移)

四半期単位の動向では、年末商戦を含む第3四半期(10月から12月)が一番大きなセールスが見込める。直近の年末セールスに該当する2013年10月から12月期は、3DSというハードが登場してから3回目の年末商戦にも関わらず、前年よりも世界規模でのセールスはわずかではあるが伸びていたことが分かる。これは2DSによる日本国外での底上げ、そして3DS LLの登場などの影響によるもの。しかしそれが最後の勢いのごとく、2014年に入ってからは四半期単位の売れ行きは前年同期比と比べて値を落としたものとなっている。

2014年1月から3月期は前年同期比で5割強、そして今回の2014年4月から6月期は4割強の減退を示している。対応ソフトの売れ行きは好調で、昨今のゲームランキングでは常連モードに突入した「妖怪ウォッチ」シリーズをはじめ、多数のタイトルが上位入りしているが、ハードの方は思わしくない。欧米で2DSの売れ行きが3DS LLの半分からほぼ同数に肉薄するほどのセールスを挙げているところを見ると、現行価格で3DS LLを購入したいと考えている人にはほぼ行きわたってしまったのかもしれない。

最終的な2014年度期における販売目標台数(1200万台)に対する到達状況を換算したのが次のグラフ……とは言ってもまだ第1四半期だからスカスカになってしまうのは致し方ない。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2014年4月-2015年3月期における目標販売台数1200万台に対する達成状況)(2014年6月末時点での同期内販売累計)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2014年4月-2015年3月期における目標販売台数1200万台に対する達成状況)(2014年6月末時点での同期内販売累計)

達成率はおおよそ7%。元々新年度第1期に該当する今四半期は閑散期にあたり、年度目標に対する達成率の動向はあまり意味を成さない。しかし前年同期における達成率が8%であったことを思い返すと、その1%の差は大きなものとも認識できる。盛り返せるのは次と、さらにその次の四半期ではあるが、どこまで手を伸ばし、背伸びできるだろうか。



今回発表された四半期決算短信では、Wii Uの「マリオカート」がミリオンセラーを果たしたものの、それ以外はソフトもハードも押し並べて不調で、今件本文に有る通り3DSも業績を引っ張り上げるまでには至らず、全体的に不調な状況にあることが見て取れる。

短信に表記されている「今後の動向」を抽出すると、

・ニンテンドー3DS
『大乱闘スマッシュブラザーズforニンテンドー3DS』を9月に日本で、10月に欧米で発売。『ポケットモンスターオメガルビー・アルファサファイア』を全世界で11月に発売。サードパーティーからも夏から年末にかけて数多くの有力タイトルの発売を予定。これらのソフトの展開で、ニンテンドー3DSのプラットフォームビジネスからの利益を見込む。

・Wii U
『マリオカート8』が好調な出足。年末にかけて『ゼルダ無双』『ベヨネッタ2』『進め!キノピオ隊長』『大乱闘スマッシュブラザーズfor Wii U』などの有力タイトルを発売。

・その他
ゲームとつながり連動するキャラクターフィギュア『amiibo(アミーボ)』を発売し、プラットフォームのさらなる活性化に努める。

とある。それぞれのソフトに対して任天堂では大いなる期待をしているが、ソフトセールスは多分に水物なため、期待外れに終わる可能性もあるし、逆に期待を大いに(良い意味で)裏切ることもあるため、予測動向がそのまま当たる前提で考えるのはリスクが高い。

また「amiibo(アミーボ)」についてだが、これは2014年6月にE3 2014で発表されたもので、任天堂の持ち味の一つであるさまざまなキャラクターやゲームをモチーフにしたミニチュアフィギュア。昨今のフィギュアブームに、任天堂が本腰を入れた形になる。しかも単なるフィギュアでは無く、ゲームソフトとさまざまな連動性を持たせており、まさに2Dと3Dとの連動性が図られることになる。

説明でも「amiiboは対応するゲームの遊びの幅を広げ、キャラクターたちと交流する新しい楽しみをみなさんに提供します」としており、今後具体的にどのような形でそのコンセプトを実現していくのか、そしてその考えがゲームファンに受け入れられるのかに注目したい。昨今のARの流行とも合わせ、非常に興味深い、色々な意味で「任天堂らしい」切り口ではある。


↑ E3で発表された「amiibo(アミーボ)」の解説(公式)。【直接リンクはこちら:amiibo E3 2014 出展映像】

……ではあるが、これは直接3DSと連動するものでは無いので、今件記事ではあまり取り上げることも無い。

一方、各種情報関連の調査結果を見るに、スマートフォンやタブレット型端末の普及、特に若年層への浸透は著しく、家庭用ゲーム機はますます肩身が狭くなる一方といえる。インターネットへのアクセス端末として未成年においては家庭用ゲーム機を挙げる声も少なくないことから、それなりに存在感は維持されているが、今後立ち位置の切り替えし、盛り返しという状況は考えにくい。

家庭用ゲーム機ならではのこともある。よく言われるセリフではあるが、果たしてそれは何なのか。そしてそれはスマートフォンやタブレット型端末のような、競合他機種の優先順位を下げる程の価値があるものなのか。主要な需要層である若年層が、今何を考えているのかについて、3DSはもちろんだがそれを含めた家庭用ゲーム機業界全体で、考える時期が来ているのかもしれない。

そもそも家庭用ゲーム機とは、何のために作られたのか、あるいはそこから考え直す必要すらあるのだろう。


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