高齢化で増える社会保障、そろばん勘定はどうしよう?

2014/10/29 08:30

少子化に伴う全体人口の減少と高齢層の人数・人口比率の増加に伴い、高齢者向けの社会保障給付(医療体制の充実、年金支給、高齢者向け公共サービスの無料化などの負担分散など)が増え、それをまかなうための国民全体として負担増加が予想される。稼ぐ人が減り、使う人が増えるのだから、一人頭の分担額が増えるのは当然の話。それではこのような状況において、今後国のかじ取りはいかなる方向に進めば良いと思われているだろうか。全体負担を増やしても高齢者への便益を増やすべきか、それとも全体負担を維持する一方で高齢者への便益を確保するため、若者への便益を削るべきだろうか。内閣府大臣官房政府広報室が2014年10月20日に発表した、人口や経済などの社会の視点から見た「日本の将来像に関する世論調査」の結果から、求められている方向性を確認していくことにする(【発表リリース:人口、経済社会等の日本の将来像に関する世論調査】)。

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「高齢者も若者も便益そのまま、負担増加はやむなし」が3割で最多


調査要件は先行記事の【歳を経るほど「日本は成長しなくてもいいヤ」「縮小もアリだね」と思う人が増える現実】を参考のこと。

冒頭で触れた通り、日本では少子化に伴う高齢化により、人口そのものの減少に加え、総人口に対する高齢者の比率、そして高齢者の数そのものが増加しつつある。生産人口が減り、扶養人口が増えるため、社会全体において高齢者への社会保障の給付に必要なリソースが増え、そのリソースの供給は減っていくことになる。この状況を踏まえ、どのような手立て、対処が望まれるだろうか。いくつかの取りうる選択肢を提示し、もっとも望まれるであろうものを選んでもらった結果が次のグラフ。

↑ 高齢化進行に伴い高齢者への社会保障給付のための国民負担増加が予想されるが、どのような対処を望むか(2014年)(択一)
↑ 高齢化進行に伴い高齢者への社会保障給付のための国民負担増加が予想されるが、どのような対処を望むか(2014年)(択一)

全体では「負担はそのまま維持。高齢者への便益を増やし、足りなくなる分は若者への割り振りを減らすべき」とする意見は16.5%。逆に「負担は維持。高齢者への便益を減らし、若者への割り振りを増やすべき」との意見は23.5%。「高齢者も若者も便益はそのまま。全体的な負担を増やして対応する」は29.0%と最多意見となっている。一方でその逆「全体の負担を維持し、足りない分は高齢者も若者も同様に我慢してもらう」は22.8%という次第。

男女別では男性が「全体負担増、若者も高齢者も現状維持」の意見が多く、女性では「全体負担は維持、若者も高齢者も便益減少」の意見が多い。また女性は男性よりも、高齢者への便益を優先する傾向があるのが分かる。

世代別ではやや意外な動きが


今件につき回答者の属性別に傾向を確認したのが次以降のグラフ。まずは世代別。

↑ 高齢化進行に伴い高齢者への社会保障給付のための国民負担増加が予想されるが、どのような対処を望むか(2014年)(択一)(世代別)
↑ 高齢化進行に伴い高齢者への社会保障給付のための国民負担増加が予想されるが、どのような対処を望むか(2014年)(択一)(世代別)

社会保障関連の調査では大よそ「回答者自身に有利になるような政策を望む」傾向があることから、今件でも「若者は若年層への便益増加」「高齢者は高齢層への便益増加」を望むような動きを見せることが予想された。しかし実際には若年層ほど「全体負担は現状維持。若年層の便益を減らして、高齢層への便益を底上げ」の意見が多い結果が出ている。「全体負担を維持し、若者の便益を増やし、代わりに高齢層の便益を減らす」はどの世代も大よそ一定。30代がやや低い程度に留まっている。

また差異に違いはあれど、望む政策への姿勢の最上位は「全体負担を上げて、若者も高齢者も便益は現状維持」との意見。多少の負担は増加しても良いので、受けるサービスなどは現状を維持してほしいとの考えは、世代を超えたものであるようだ。

一方居住地域別となると、やや大きな変化が生じてくる。

↑ 高齢化進行に伴い高齢者への社会保障給付のための国民負担増加が予想されるが、どのような対処を望むか(2014年)(択一)(都市規模別)
↑ 高齢化進行に伴い高齢者への社会保障給付のための国民負担増加が予想されるが、どのような対処を望むか(2014年)(択一)(都市規模別)

大都市圏、東京都区部では全体負担が増加する意見は避けられる傾向が強い。若者・高齢層双方の便益が下がってもいいので、全体負担の増加は避けるべきとの意見が多く、特に東京都区部では最大値を示している。

一方地方に行くに従い、「全体負担を増やしても良いので、若者・高齢層双方の便益は現状維持をすべし」との意見が増え、「全体負担を維持し、高齢層の便益を増やして若者の分を減らせ」との意見は減っていく。特に町村部では4割近くが、世代を超えた便益維持のためなら全体負担の増加を容認する意見を持っているのが特徴的ではある。



継続的なリソースの供給維持のためには若年層への便益は欠かせない。一方で政治参加への意志の強さ、影響力、資産力は高齢者の方がはるかに上であるため、政策指針の上で現状は、どちらかといえば高齢者への便益を重視する傾向にある(労働市場関連の動きが好例)。

今件調査項目では世代間の思惑の違いもあり、意見が一つに集約されている状況では無いこと、一応もっとも多い意見としては「若者へも高齢者へも便益の現状維持が望ましい。そのためには全体の負担が増えても仕方がない」が挙げられることが明らかになった。とはいえ他の調査結果に見受けられる通り、具体的な案件になると、多分に自我が前面に出ることが容易に予想されるのも事実。

社会保障の問題に関しては現時点においてだけでなく、将来を見据えたかじ取りを願いたいものである。


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